一条真也です。
17日の早朝、松柏園ホテルの神殿で月次祭が行われました。わが社は「礼の社」を目指していますので、何よりも儀式を重んじます。しかし、わたしは喪中なので参列しませんでした。月次祭に参加しなかったのは初めてです。
「天道塾」の開講前のようす
最初は、もちろん一同礼!
開塾の挨拶をしました
9月20日以降を振り返りました
神事後は恒例の「天道塾」です。
この日も松柏園のメインバンケット「グランフローラ」で行われました。最初にわたしが登壇し、開塾の挨拶をしました。わたしは、「おはようございます。久々にお会いする方も多いですが、先月は佐久間進名誉会長が緊急入院したため、天道塾を初めて欠席しました。その名誉会長は、9月20日に堂々と人生を卒業しました。通夜・葬儀告別式にご弔問、ご参列、お心遣いをいただいたみなさまに心より感謝いたします」と述べました。
松柏園に昇った月
魂のドライブ
通夜の直前の虹
「月への送魂」in能登半島
それから、昨夜UPされたムーンサルトレター第236信の内容を紹介しながら、佐久間名誉会長の死去に始まって、ブログ「忌中」、ブログ「魂のドライブ」、ブログ「父の通夜」、ブログ「父の葬儀」で紹介した一連の葬送儀礼を振り返りました。名誉会長の死後も「天下布礼」の旅は続きます。ブログ「映画『男神』に出演しました」、ブログ「日本エンドオブライフケア学会発表」、ブログ「月への送魂in能登半島」で紹介した葬儀後の一連の出来事も紹介しました。本当に、めまぐるしい日々でした。
財団の理事長就任を改めて報告
続いて、わたしは一般財団法人 冠婚葬祭文化振興財団の理事長に就任しましたが、就任後初の理事会が一昨日の16日に無事に終了したことを報告しました。わたしは、冠婚葬祭は「文化の核」であり、冠婚葬祭業者は「文化の防人」であると考えています。この一般財団法人 冠婚葬祭文化振興財団の理事長の職責を天命ととらえ、全身全霊、命をかけて取り組む所存です!
財団の事業内容などを説明
それから、一般財団法人 冠婚葬祭文化振興財団について説明しました。設立より8年目を迎えるに当たり、財団としての独自性を出していくために、本年度より新たに立ち上げた儀式委員会と資格委員会を中心に財団事業を推進してまいります。儀式委員会では冠婚葬祭講座のプログラムを推進し、日本最大級の冠婚葬祭情報サイト「sikisaisai」による一般の生活者への発信を行っています。また、冠婚葬祭産学連携事業として、大学との公開講座、寄付講座を設けています。資格制度事業にはグリーフケア資格認定制度・終活コーディネーター資格認定制度・ブライダルプロデューサー資格認定制度などがあり、消費者の皆様の安全と安心を目的として、冠婚葬祭の役務サービスについての施行レベルと技術の向上を目指し、各種の資格認定制度を全互協の加盟互助会各社等を対象に運営しています。この他、調査・研究、冠婚葬祭承継事業を行う団体や個人に対する助成を行う社会貢献基金事業・冠婚葬祭総合研究所事業として多くの調査研究を実施しています。
発信したい3大テーマを紹介
これらを通じて、一般の生活者の方に冠婚葬祭や年中行事等の情報に触れる機会を増やし、冠婚葬祭や行事が日常の行動としてこれからも実施され、冠婚葬祭文化への関心が高く、文化として継承されていく状態を目指して参りたいと考えています。また、超高齢社会を迎えたわが国にとって、葬儀も変わらなければいけないと思っています。要・不要論ではなく、どう変化していくかです。わたしはそれを「アップデート」と呼びたいです。残さなければいけないもの、変化させていいもの(場合によっては取りやめてもいいもの)と精査する時期だということです。このような日本人の精神文化に与える影響の大きな財団の理事長として、わたしは個人的に3つの提案を重点的に発信していきたいと思います。それは、「1.冠婚葬祭業のサービス業から文化産業への転換」「2.互助会加入の義務化」「3.互助会営業員の民生委員化」の3つです。
サービス業から文化産業への転換を!
熱心に聴く人びと
まず、「1.冠婚葬祭業のサービス業から文化産業への転換」に関しては、日本の伝統文化に注目したいと思います。日本の伝統文化といえば、代表的なものに茶道があります。わが社の 佐久間名誉会長が小笠原家茶道古流の会長を務めた関係で、わたしも少しだけ茶道をたしなみます。茶道といえば、茶器が大切です。茶器とは、何よりも「かたち」そのもの。水や茶は形がなく不安定です。それを容れるものが器です。水と茶は「こころ」です。「こころ」も形がなくて不安定です。ですから、「かたち」としての器に容れる必要があるのです。その「かたち」には別名があります。「儀式」です。茶道とはまさに儀式文化であり、「かたち」の文化です。人間の「こころ」は、どこの国でも、いつの時代でも不安定です。だから、安定するための「かたち」すなわち儀式が必要なのです。
冠婚葬祭は「文化の核」である!
日本には、茶の湯・生け花・能・歌舞伎・相撲・武道といった、さまざまな伝統文化があります。そして、それらの伝統文化の根幹にはいずれも「儀式」というものが厳然として存在します。武道は「礼にはじまり、礼に終わる」と言いますが、儀式なくして文化はありえません。儀式とは「文化の核」と言えるでしょう。そしてこの儀式を行う冠婚葬祭はまさに「文化の核」であり、この仕事をすることは、日本人の「かたち」を守ることであり、ひいては「こころ」を守ること。そのために冠婚葬祭業は単なるサービス業から「文化産業」へと転換する必要があります。
互助会加入の義務化を!
次に「2.互助会加入の義務化」については、高齢化や単身化などを背景に、病院や施設に入る際の保証人や手続き、葬儀や遺品整理など、家族や親族が担ってきた役割を果たす人がいない高齢者が増え、誰が担うかが課題になっていることを紹介しました。本人の死後、契約通りにサービスが提供されたかを誰かが確認する仕組みもないとのことで、深刻な問題です。国が支援制度を検討するといいますが、国や行政だけでは問題の解決は難しいでしょう。日本の超高齢社会は大きな危機に直面しているのです。一例として、生活困窮者が亡くなった際の火葬代などとして支給される葬祭扶助費の総額が2021年度、全国で約104億円にのぼりました。厚生労働省によると、100億円を超えたのは、統計の残る1957年度以降初めてだといいます。生活に困窮する独居高齢者や故人の引き取りを拒否する親族の増加が背景にあります。多死社会における公的支援のあり方が問われています。
親の葬儀は人の道である!
「親の葬儀は人の道」というのはわが信条ですが、孔子が開いた儒教では、親の葬儀をあげることを「人の道」と位置づけました。同じく孟子は、人生の最重要事と位置づけています。儒教における「孝」とは、何よりも親の葬儀をきちんとあげることなのです。韓国では「孝の啓蒙を支援する法律」が制定されていますが、これは日本でも見習うべきでしょう。日本には親の葬儀を確実にあげることができる冠婚葬祭互助会というシステムがあるわけですから、いっそのこと、すべての国民に互助会への入会を義務づけてもいいのではないか。いわゆる「互助会加入義務化」ですが、義務教育や自賠責保険のようなものをイメージすると、わかりやすいでしょう。各自が入りたい互助会に入ることで、「わたしは親の葬儀を必ず行います」という証明になると思います。
互助会営業員を民生委員に!
熱心に聴く人びと
そして「3.互助会営業員の民生委員化」では、地域で高齢者や子供の見守り活動を行う民生委員の定員割れが続いていることを紹介しました。人間関係が希薄になるなかで民生委員の重要性が増す一方、働く高齢者の増加や負担の大きさなどで担い手が不足しています。確保策として、地域の住民以外に広げるなど要件緩和も検討され、民生委員のあり方が問われているようです。民生委員は一定の要件を満たした人が推薦され、厚生労働相から委嘱される非常勤で特別職の地方公務員です。交通費などの実費は支払われますが、無償のボランティアです。児童委員と兼任し、高齢者などの安否確認や見守り、子供たちへの声かけのほか、医療や介護、生活に関するさまざまな相談に応じ、行政など関係機関へのつなぎ役を担います。任期は3年で、再任も可能。1人当たり200世帯前後を担当することが多いといいます。
行政が困っているときは民間に委託すべき
1人暮らしの高齢者の増加や子育て家庭へのサポートで、地域の相談役である民生委員の存在意義は大きいです。しかし、全国で定員割れが生じていいます。わたしは、行政が困っているときは民間に委託すべきだと考えます。これは郵便局の事業の一部をヤマト運輸などの宅配便業者が行ったり、警察の仕事の一部をセコムなどの警備業者がやるのと同じようなこと。つまり、行政サービスの民間委託ということですね。それで、民生委員が少なくて困っているのなら、冠婚葬祭互助会業界に委託するのが良いと思います。互助会には、営業員さんがたくさんいます。それなら、例えばその営業員さんが独居老人のお宅の数を控えておいて、時々訪問する。行政からそういう委託を受け、互助会が老人宅を訪問して安否確認を行えば、これは互助会の社会貢献であるだけでなく、「相互扶助」をコンセプトとする互助会が本来の使命を果たすことになります。
冠婚葬祭互助会が日本を救う!
このように、「1.冠婚葬祭業のサービス業から文化産業への転換」「2.互助会加入の義務化」「3.互助会営業員の民生委員化」は、ハートフル・ソサエティとしての互助共生社会を実現するための3本の矢です。わが社は、「互助社会をつくろう!」「共生社会をつくろう!」「支え合う社会をつくろう!」というスローガンを掲げてきました。それらは、まさに日本人が持っている最大の美点を表現しています。冠婚葬祭互助会であるわが社は、それを長年にわたって言い続けてきたのです。佐久間名誉会長は「かつて絆を大切にしてきた日本人の心が覚醒し、お互いに助け合うこと、支え合うことが再認識され、われわれ冠婚葬祭互助会に対する評価も必ず上がってくると思います」と述べています。「助け合い」から「支え合い」へ・・・・・・わたしたち互助会は、冠婚葬祭を通して、もう一度人と人との絆を結び直す「互助共生社会」を実現したいです。亡くなった佐久間名誉会長の口癖は、「互助会システムは日本人に合う」「互助会には無限の可能性がある」でした。冠婚葬祭互助会が日本を救うのです!
最後は、もちろん一同礼!
2024年10月18日 一条真也拝