月への送魂in能登半島

一条真也です。
14日、能登半島珠洲にある「ラポルトすず」の中庭において、「月への送魂」が行われました。夜空に浮かぶ月を目指して、故人の魂をレーザー(霊座)光線に乗せて送る新時代の「月と死のセレモニー」です。


金沢から珠洲に向かいました


日没して月が見えました

ラポルトすず」の前で


月への送魂」の看板前で

 

金沢を15時半に出発して、珠洲に到着したのは18時ぐらいでした。初めて訪れた「ラポルトすず」は立派な施設でしたが、能登半島地震で多大な被害を受けたようです。まずは、屋内で夕食のお弁当をいただきました。金沢の「八寿栄」で作られたお弁当で、美味しかったです。食事をしていると、空に月が上ってきました。今日は晴れですが、明日からは天気が不安定とのこと。「太陽を追う男」が守ってくれたのかもしれません。


この夜、能登半島に昇った月


あの月に魂を送る!

それにしても、なぜ、月に魂を送るのか? 
この質問は、これまで数え切れないほど受けてきました。その答えは、月は死者の霊魂が赴く死後の世界だからです。多くの民族の神話と儀礼において、月は死、もしくは魂の再生と関わっています。規則的に満ち欠けを繰り返す月が、死と再生のシンボルとされたことは自然です。科学的事実から見ても、わたしたちの肉体とは星々のかけらの仮の宿です。入ってきた物質は役目を終えていずれ外に出てゆく、いや、宇宙に還っていくのです。宇宙から来て宇宙に還るわたしたちは、宇宙の子なのです。そして、夜空にくっきりと浮かび上がる月は、あたかも輪廻転生の中継基地そのものではないでしょうか。人間も動植物も、すべて星のかけらからできています。その意味で月は、生きとし生ける者すべてのもとは同じという「万類同根」のシンボルでもあります。かくして、月に「万教同根」「万類同根」のシンボル・タワーである「月面聖塔」を建立し、レーザー(霊座)光線を使って、地球から故人の魂を月に送るという計画をわたしは思い立ち、実現をめざして、各所で構想を述べ、賛同者を募っています。

慈経 自由訳』(現代書林)



 

わたしは『慈経 自由訳』(現代書林)も上梓しましたが、「月の経」の別名を持つ「慈経」を重視するミャンマーなどの上座部仏教の国々では今でも満月の日に祭りや反省の儀式を行います。仏教とは、月の力を利用して意識をコントロールする「月の宗教」だと言えるでしょう。仏教のみならず、神道にしろ、キリスト教にしろ、イスラム教にしろ、あらゆる宗教の発生は月と深く関わっています。今夜のセレモニーでは、冒頭に『慈経 自由訳』のムービーが流されました。


月下のステージに向かいました

月下での主催者挨拶のようす

 

慈経 自由訳』のムービーが流された後、わたしが「月への送魂」の主催者挨拶を行いました。わたしは、「一言ご挨拶させていただきます。令和6年1月1日に発生した能登半島地震は最大震度7の揺れで家屋の倒壊、津波など甚大な被害が発生し、多くの方が犠牲となりました。そして9月の奥能登豪雨においても川の氾濫や土砂崩れなどによって大きな被害が発生し、家を失い、家族や友人を失った方のその喪失による悲嘆の大きさは計り知れないものであります」と述べました。


多くの方々の前で挨拶しました


愛する人を亡くした人へ

 

また、わたしは「わたしたちの人生とはさまざまな喪失の連続であり、その喪失により多くの悲嘆が生まれますが、その中でも『愛する人を亡くす』という悲嘆はもっとも大きいものといわれています。今回の能登半島で発生した大災害によって犠牲になられた方々へ、そして残されたご家族に対してわたしたちはいったい何ができるのか、ということを考え続けました」と述べました。

わたしたちに何ができるのか?

月は「死と再生のシンボル」である!

 

さらに、わたしは「世界中の古代人たちは、人間が自然の一部であり、かつ宇宙の一部であるという感覚とともに生きていました。死後への幸福なロマンを持っており、死者の魂は月に行くと信じました。多くの民族の神話と儀礼において、規則的に満ち欠けを繰り返す月は、人間の『死と再生』のシンボルとされております」と述べました。


父は最後まで能登半島を心配していました

父の遺影を持って歌を詠みました

 

そして、わたしは「そこで、月にわれわれの供養の想いとしての『魂』を送る『月への送魂』を行い、このたびの能登半島地震および奥能登豪雨の犠牲者の方々への鎮魂として哀悼の意を捧げたいと思います。わたしたちは、これからも愛する人を亡くされた方々とともに歩んでいきたいと思います」と言ってから、父の遺影を持ちながら即興で以下の二首の道歌を詠んだのでした。

 

父逝きて 行くべき月ぞ輝けり
     ラポルトすずに光そそぎて

 

父逝きて 行くべき月ぞ輝けり
     能登半島に光そそぎて

 

月への送魂」ムービーを上映


月は「死」と「再生」のシンボル

f:id:shins2m:20211018185406j:plain月への送魂」ムービー

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人類と月の関係を説明

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月は「魂の理想郷」である!

月への送魂」が始まる!


魂弓で魂を送る!


霊座(レーザー)とは霊魂の乗り物

魂弓にて霊座(レイザー)光線で月に送る!

 

続いて「月への送魂」のプレ・ムービーが流れた後、皇産霊神社の瀬津隆彦神職が登場、魂弓(たまゆみ)を射って、送魂の儀を行いました。「魂弓を祈りを込めて引きつらむ 光の矢をば月に送らむ」という庸軒道歌が披露されました。そして、瀬津神職が持つ神弓から発せられたレーザー(霊座)光線が夜空の月に到達すると、満場のお客様から盛大な拍手が起こりました。

矢に魂を込めて月に放つ!

父の遺影を持って月を見上げる

 

月への送魂」は、21世紀にふさわしいグローバルな葬儀の“かたち”であると思います。何より、レーザー光線は宇宙空間でも消滅せず、本当に月まで到達します。わたしは「霊座」という漢字を当てましたが、実際にレーザーは霊魂の乗り物であると思います。「月への送魂」によって、わたしたちは人間の死が実は宇宙的な事件であることを思い知るでしょう。

これが「月への送魂」だ!!


能登半島地震の被災者の大谷賢博氏と


わたしと一緒に父を看取った矢野貴大氏と


神事を司った瀬津隆彦氏と

 

新時代のセレモニーである「月への送魂」は、ロマンティック・デス〜月と死のセレモニー国書刊行会)、ロマンティック・デス~月を見よ、死を想え幻冬舎文庫)をはじめとして、葬式は必要!ご先祖さまとのつきあい方(ともに双葉新書)、決定版 終活入門実業之日本社)、墓じまい・墓じたくの作法(青春新書インテリジェンス)、永遠葬』(現代書林)、『唯葬論(三五館、サンガ文庫)、宗教学者島田裕巳氏との共著葬式に迷う日本人(三五館)、人生の修め方日本経済新聞出版社)、人生の四季を愛でる毎日新聞出版)、葬式不滅オリーブの木)、供養には意味がある産経新聞出版)でも、そして、今年33年ぶりに復活を遂げたロマンティック・デス 死をおそれないオリーブの木)でも紹介。今では、すっかり多くの人たちに知っていただきました。

 

 

月への送魂」の終了後は、多くの方々から「月も綺麗だったけど、儀式が本当に素晴らしかった」「月が死後の世界というイメージが素晴らしい!」「これで寿命が延びた」「なつかしい故人に会えた気がした」などのお言葉を頂戴し、わたしの胸は熱くなりました。わたしは、「死は不幸ではない」ことを示す「月への送魂」の普及に、死ぬまで、そして死んだ後も尽力したいと思っています。最後に、能登半島地震および奥能登豪雨の犠牲者の方々の御霊が安らかでありますように・・・・・・。


最後に月に向かって拝礼しました

北國新聞」2024年10月14日朝刊

 

2024年10月18日 一条真也