サロンの達人の書評

一条真也です。姫路に来ています。
サロンの達人」こと佐藤修さんといえば、書評の達人でもありますが、拙著『死を乗り越える名言ガイド』『心ゆたかな社会』(ともに現代書林)を主宰されるCWSコモンズのHPとフェイスブックで取り上げて下さいました。

f:id:shins2m:20200706112116j:plainHP「CWSコモンズにようこそ」より 

 

まず、『死を乗り越える名言ガイド』ですが、HP「CWSコモンズにようこそ」(左端の「ブック」をクリックしてお読み下さい)で、佐藤さんはこう述べられています。
一条真也さんの『死を乗り越える』シリーズの第3弾が出版されました。現代書林から出版された『死を乗り越える名言ガイド』(1400円)です。読書、映画に続き、今回は名言です。副題は『言葉は人生を変えうる力をもっている』。一条さんが多彩な活動の中で出合った、人生を変える力を持つ言葉を100集めて、それぞれに一条さんの思いを添えた名言集です。新型コロナウイルスで、世界中に『死の不安』が蔓延している現在、『死の不安』を乗り越える言葉を集めた本書を上梓することに、一条さんは大きな使命を感じていると書かれていますが、まさに時宜を得た出版で、ぜひ多くの人に読んでほしいと思います」

 

死を乗り越える名言ガイド 言葉は人生を変えうる力をもっている

死を乗り越える名言ガイド 言葉は人生を変えうる力をもっている

  • 作者:一条 真也
  • 発売日: 2020/05/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 続けて、佐藤さんは以下のように書かれています。
「100のメッセージからいろんなことが示唆されますが、きっと自分にとって心にすとんと落ちる言葉が見つかるはずです。そして、生きる元気が得られるでしょう。また100の言葉を通読すると、長年、死と生の現場に関わってきている一条さんの深いメッセージも伝わってきます。一条さんの死生観にかかわる著作はこれまでもこのホームページでたくさん紹介させてもらってきていますが、一条さんの死生観を貫く3つの信念が、本書の最後にまとめられています。その3つとは、『死は不幸ではない』『死ぬ覚悟と生きる覚悟』『死は最大の平等』です。そうした信念に基づいて選ばれた100の名言には、それぞれに『人生を変える力』が秘められています。この時期にこそ、じっくりと噛みしめて、そこから力を引き出してほしいと思います」

f:id:shins2m:20200706112148j:plainHP「CWSコモンズにようこそ」より 

 

次に『心ゆたかな社会』です。
「こういう時だからこそ読んでほしい本があります」として、佐藤さんは以下のように書かれています。
「企業の社長という激務のかたわら、社会への働きかけを目指した著作活動にも積極的に取り組んでいる一条真也さんが100冊目の本「心ゆたかな社会」を現代書林から出版しました。これからの社会ビジョンと私たちの生き方を考える示唆が盛り込まれた本です。新型コロナで社会のあり方が改めて問われているいま、まさに時宜を得た出版だといえます。多くの人に読んでいただきたいと思い、紹介させてもらうことにしました。15年前、一条さんは、ドラッカーの遺作『ネクスソサエティ』の問いかけに応じたアンサーブックとして『ハートフル・ソサエティ』を出版しています。しかし、最近の日本は、一条さんのビジョンとは反対に、心を失った『ハートレス・ソサエティ』になってきていることを一条さんは活動の現場で実感しているようです。さらに、コロナ騒ぎで、人と人とのつながりさえもが難しくなってきている。だからこそ、『心ゆたかな社会』としてのハートフル・ソサエティを改めて目指すべきだと考え、前著を全面改稿した『ハートフル・ソサエティ2020』として本書を出版したのです。ハートフル・ソサエティとは、『あらゆる人々が幸福になろうとし、思いやり、感謝、感動、癒し、そして共感といったものが何よりも価値を持つ社会』だと一条さんは定義しています。平たく言えば、『人と人が温もりを感じる社会』です」

 

心ゆたかな社会 「ハートフル・ソサエティ」とは何か
 

 

続いて、佐藤さんは以下のように書かれています。
「最近の日本の社会は、どこかぎすぎすしていて、楽しくありません。フェイスブックのやり取りでも、ネガティブな意見や人の足を引っ張るものが多く、『温もり』どころか『寂しさ』に襲われることも多いです。そこで、『人と人が温もりを感じる社会』を目指して生きている私としては、本書を多くの人に読んでほしいと思い立ったわけです。社会のビジョンは、これまでもさまざまな人たちが語っていますが、そういう人たちのビジョンや思いが、とてもわかりやすく整理・解説されているのも本書の特色です。この一冊を読めば、社会について語られた主要な考えに触れられます。しかも、一条さんらしく、たとえば、『超人化』『相互扶助』『ホスピタリティ』『花鳥風月』『生老病死』といった視点から議論が整理されていて、それを読んでいるうちに自然と一条さんの『ハートフル・ソサエティ』の世界に引き込まれていきます。つづいて、その社会の根底ともなる哲学や芸術、宗教が語られ、『共感から心の共同体へ』というビジョンへと導かれていきます。宗教嫌いの人にはぜひ読んでほしいところです。宗教を語らずに社会を語ることはできないでしょう」

 

さらに、佐藤さんは以下のように書かれています。
「最近、社会の全体像が見えにくくなっていますが、本書を読むと、社会というものが捉えやすくなると思います。少なくとも、社会と自分の生き方を考えるヒントが見つけられるはずですし、『心ゆたかな』とは一体何なのかを考える材料もたくさんもらえると思います。一条さんの個人的な夢が語られているのも親近感がもてます。一条さんにとって、ハートフル・ソサエティの象徴の一つは月のようです。ご自分でも書いていますが、一条さんはルナティック(月狂い)なのです。ちなみに、私はフェイスブックも時々書いていますが、お天道様信仰者ですので、私にとってのハートフル・ソサエティの主役はお天道様です。まあそんなことはどうでもいいですが、一条さんの提唱するハートフル・ソサエティをベースに、自分にとってのハートフル・ソサエティを構想してみるのも面白いでしょう」

 

そして、最後に佐藤さんは、「いつか一条さんに湯島でサロンをやってもらえるように頼んでみようと思っています。九州にお住まいなのでなかなかお会いする機会も得られないのですが。もし読まれたら、ぜひ感想を聞かせてください」と書かれています。拙著を2冊も心ある文章でご紹介いただき、佐藤さんには感謝の気持ちでいっぱいです。これまでも、佐藤さんにはたくさん励まされてきました。そういえば、『心ゆたかな社会』の前作である『ハートフル・ソサエティ』を最も評価して下さったのも佐藤さんでした。佐藤さんほど、「社会を良くしたい!」と考えておられる方も、なかなかいないと思います。コロナ騒動が落ち着いたら、ぜひ、湯島のサロンにお伺いしたいです。佐藤さんに再会できる日を心から楽しみにしています!

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佐藤修さんと

 

2020年7月9日 一条真也

那覇から姫路へ!

一条真也です。
8日、早朝から九州豪雨の情報を収集し、各地に連絡などをしました。その後、サンレー沖縄の営業推進部の瀬名波部長がホテルまで迎えに来てくれたので、瀬名波部長の運転する車に乗って那覇空港に向かいました。

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那覇空港の前で

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那覇空港にて

 

今日の那覇空港は、けっこう人が多かったです。7月に入ってバカンスに訪れる人が増え始めた印象です。沖縄県玉城デニー知事が心配しているかもしれません。わたしは、ANAラウンジでキューサイの青汁を飲んだ後、ANA1207便で伊丹空港に向かいました。機内も乗客が多かったです。

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機内のようす

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コーヒーを飲みながら読書しました

積読こそが完全な読書術である

積読こそが完全な読書術である

 
頭がいい人の読書術

頭がいい人の読書術

  • 作者:尾藤 克之
  • 発売日: 2020/02/05
  • メディア: 単行本
 

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なんと、わたしの名前を発見!!
 

機内ではコーヒーを飲みながら、本を2冊読みました。1冊目は半分ぐらい読みかけだった『積読こそが完全な読書である』永田希著(イースト・プレス)。アメリカ合衆国コネチカット州生まれの若き書評家による逆説的読書論で、面白かったです。2冊目は『頭がいい人の読書術』尾藤克之著(すばる舎)です。「最強のネット書評家」と呼ばれる著者が自身の読書術を披露したベストセラーですが、なんと、わたしの名前が出てきてビックリしました。尾藤氏は、寝る前の儀式として枕元に置いた本を読むそうですが、その数冊の中に、小学生の頃の愛読書であるという眉村卓著『ねじれた町』(この本、わたしも好きでした!)を紹介した後で、「一条真也さんの『ハートフルに遊ぶ』と『遊びの神話』もお気に入りです。発刊が1988年、1989年なのでバブル経済の真っただ中ですが、この2冊ほど、バブル経済を照射している本はないと思っています」と書かれていました。いやあ、これは不意を衝かれて驚きました。
「バブルの申し子」のように思われるのはちょっと複雑な心境ではありますが(笑)、わたしの処女作&2冊目を今でも愛読して下さる方がいるなんて、非常に感激しました。

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大阪の街が見えてきました

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伊丹空港に到着しました

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伊丹空港から新大阪駅へ!

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JR新大阪駅のホームにて

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新幹線のぞみで姫路へ!

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JR姫路駅の前で

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姫路は晴天でした!

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ホテルで健康チェックシートを書かされました 

 

『頭がいい人の読書術』を読み終えた頃、飛行機は伊丹空港に無事に到着しました。わたしは関西空港は何度も利用していますが、じつは伊丹空港は初めて降り立ちました。2年ぐらい前にリニューアルしたそうで、綺麗な空港でした。そこからJR新大阪駅へ。そして、新幹線のぞみ98号でJR姫路駅へ向かいました。大阪や姫路も雨が降っていることを覚悟していたのですが、晴天で良かったです。JR姫路駅前のホテルに投宿しましたが、チェックイン時、那覇のホテルと同じようにフロントデスクで検温され、さらには健康チェックシートを書かされました。

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夕食に入った「おらが蕎麦」

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ニシン蕎麦が絶品でした!

 

夕食は、駅の構内にある「おらが蕎麦」(「俺のイタリアン」をはるかに凌駕する素敵なネーミング!)という蕎麦屋さんでニシン蕎麦を食べました。最高に美味しかったです。関西に来ると、わたしはニシン蕎麦が食べたくなるのです。先日、関西テレビが制作し、フジテレビ系列で放送しているドラマ「探偵・由利麟太郎」で、吉川晃司演じる京都在住の由利麟太郎が旨そうに食べていました。



わたしは普段、基本的にテレビを観ないのですが、大ファンである吉川晃司が初主演のドラマということで、「探偵・由利麟太郎」だけは観ているのです。残念ながらドラマの完成度は高いとは言えませんが・・・・・・。明日は、姫路に本社を置く冠婚葬祭互助会の雄・117グループ元常務取締役の故山下澄子様の「偲ぶ会」に参列いたします。

 

 

2020年月日 一条真也

 

沖縄より祈りをこめて

一条真也です。
出張で沖縄に来ています。これから那覇空港に向かい、そこから伊丹空港へ飛びます。今朝の那覇は晴天ですが、新聞やテレビで九州豪雨の惨状を知り、呆然としています。まさか、観測史上最大の豪雨だったとは!

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琉球新報」2020年7月8日朝刊

f:id:shins2m:20200708083957j:plain沖縄タイムス」2020年7月8日朝刊

 

犠牲となられた方々の御冥福を心よりお祈りいたします。
被害に遭われた方々には心からお見舞いを申し上げます。
これ以上、被害が拡がらないことを願っています。
21世紀に入って、明らかに自然災害も感染症も猛威を増しており、人間の心に大きなグリーフを与えています。時代の核心は「グリーフケア」に向かっていることを痛感します。ただ、人々の悲嘆が増せば増すほど、「心ゆたかな社会」を求める人々の数も今後ますます増えると思います。

f:id:shins2m:20200708085026j:plainOTV「とくダネ!」より

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OTV「とくダネ!」より

f:id:shins2m:20200708083332j:plainOTV「とくダネ!」より

f:id:shins2m:20200708083152j:plainOTV「とくダネ!」より

f:id:shins2m:20200708085013j:plainOTV「とくダネ!」より

f:id:shins2m:20200708084953j:plainOTV「とくダネ!」より

 

わたしには、豪雨のたびに聴きたくなる歌があります。
桑田佳祐の「明日晴れるかな」です。
気づいたのですが、「明日晴れるかな」というのは祈りの言葉なのですね。世界中のシャーマンたちは雨乞いをしました。孔子の母親も雨乞いをするシャーマンだったそうです。そこでは、「雨よ降れ」が民衆の祈りの言葉でした。
でも、今は、「明日晴れるかな」が祈りの言葉です。



 雨が降るのも止むのも自然現象です。人智を超越した世界であり、いわば天の意思によるものです。そう、「雨」とは「天」そのものなのですね。だから、「雨」も「天」もアメと読むのでしょう。昔から、「雨降って地固まる」などと言います.でも、とりあえず雨はこれくらいで十分ですね。
今日はこれから伊丹空港から新大阪駅へ向かい、そこから新幹線で姫路へ。そして明日、業界の大先輩の「お別れ会」に参列してから九州に帰ります。
明日晴れるかな? 明日天気になあれ!
晴天の沖縄より祈りをこめて・・・・・・

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今朝の那覇は晴天

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那覇空港の前で

 

2020年7月8日 一条真也

『嘘と正典』

嘘と正典

 

一条真也です。沖縄に来ています。
梅雨前線の停滞で九州北部は記録的な大雨となり、気象庁は福岡、佐賀、長崎の3県に「大雨特別警報」を出し、135万人に避難指示しました。7月7日は「七夕」ですが、このままでは「天の川」も氾濫するような気がします。
さて、緊急事態宣言の期間中、急にSFが読みたくなって、アマゾンで見つけた『嘘と正典』小川哲著(早川書房)を読みました。著者は1986年、千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学。2015年に第3回ハヤカワSFコンテスト“大賞”を『ユートロニカのこちら側』で受賞し、デビュー。2017年に発表した第2長篇『ゲームの王国』が第39回吉川英治文学新人賞最終候補となり、その後、第38回日本SF大賞と第31回山本周五郎賞を受賞しています。著者の作品を読むのは本書が初めてです。

f:id:shins2m:20200516120332j:plain本書の帯

 

本書のカバー表紙にはカール・マルクスの顔半分の写真が使われ、帯には「『SFが読みたい!2020年版』が選ぶベストSF2019国内篇第4位」「CIA工作員共産主義者の消滅を企む表題作をはじめ、SFとエンタメの最前線を軽やかに飛翔する六篇」と書かれています。ランキングの第1位なら別ですが、「第4位」というのをことさら強調する必要があるのでしょうかね?

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本書の帯の裏

 

アマゾンの「内容紹介」には、こう書かれています。
「零落した稀代のマジシャンがタイムトラベルに挑む『魔術師』、名馬・スペシャルウィークの血統に我が身を重ねる『ひとすじの光』、無限の勝利を望む東フランクの王を永遠に呪縛する『時の扉』、音楽を通貨とする小さな島の伝説を探る『ムジカ・ムンダーナ』、ファッションとカルチャーが絶え果てた未来に残された『最後の不良』、CIA工作員共産主義の消滅を企む『嘘と正典』の全6篇を収録」

 

本書は、過去に早川書房の「SFマガジン」に収録された作品を中心に作られた短編集です。「魔術師」はマジック、「ひとすじの光」はサラブレッド、「時の扉」はパラドックス、「ムジカ・ムンダーナ」は音楽、「最後の不良」は流行、そして「嘘と正典」は共産主義・・・・・・それぞれの作品のテーマはバラエティに富んではいますが、いずれも時間SFであることに変わりはありません。わたしは基本的に時間SFが好きなので、楽しめました。

 

時間SFの文法: 決定論/時間線の分岐/因果ループ

時間SFの文法: 決定論/時間線の分岐/因果ループ

  • 作者:浅見 克彦
  • 発売日: 2015/12/17
  • メディア: 単行本
 

 

前に『時間SFの文法』浅見克彦著(青弓社)という本を読みました。社会理論、社会思想史を専攻する和光大学表現学部教授が200作品を超える時間SFを読み解き、タイムトラベル、並行世界への跳躍、自己の重複などの基本的なアイデアや物語のパターンを紹介した本です。それを読むと、いかに時間SFがパラドックスに陥りやすく、ガラスのように壊れやすい物語なのかを再認識しました。わたし自身は「タイム・パラドックス」という概念を『ドラえもん』のマンガで初めて知りましたが、もちろん『嘘と正典』に収められた6つの物語はそのへんはしっかりクリアしています。

 

遊びの神話

遊びの神話

 

 

いずれもよく練られた時間SFであるとは思いましたが、特に気に入ったのは最初の「魔術師」と最後の「嘘と正典」でした。「魔術師」は、マジックとタイムトラベルという、わたしの大好物が2つもテーマになっているので、たまりません。この短編の参考文献として、『ゾウを消せ 天才マジシャンたちの黄金時代』ジム・ステインメイヤー貯(河出書房新社)、『タネも仕掛けもございません 昭和の奇術師たち』藤山新太郎著(角川学芸出版)の2冊が挙げられていますが、ともにわたしの愛読書です。わたし自身は、マジックへの想いを『遊びの神話』(PHP文庫)の「マジック」の章に書きました。

 

死を乗り越える映画ガイド あなたの死生観が変わる究極の50本

死を乗り越える映画ガイド あなたの死生観が変わる究極の50本

  • 作者:一条 真也
  • 発売日: 2016/09/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

「魔術師」では、究極のマジックとして、タイムトラベルが登場します。その方法は、動く映像、すなわち動画を使ったものですが、わたしは「なるほど」と大いに納得しました。というのも、拙著『死を乗り越える映画ガイド』(現代書林)にも書きましたが、わたしは映画を含む動画撮影技術が生まれた根源には人間の「不死への憧れ」があると思います。映画と写真という2つのメディアを比較してみましょう。写真は、その瞬間を「封印」するという意味において、一般に「時間を殺す芸術」と呼ばれます。一方で、動画は「時間を生け捕りにする芸術」であると言えるでしょう。かけがえのない時間をそのまま「保存」するからです。

 

嘘と正典より「魔術師」無料配信版

嘘と正典より「魔術師」無料配信版

 

 

それは、わが子の運動会を必死でデジタルビデオで撮影する親たちの姿を見てもよくわかります。「時間を保存する」ということは「時間を超越する」ことにつながり、さらには「死すべき運命から自由になる」ことに通じます。写真が「死」のメディアなら、映画は「不死」のメディアなのです。だからこそ、映画の誕生以来、無数のタイムトラベル映画が作られてきたのでしょう。その動画の本質というものが、「魔術師」という短編SFには見事に表現されていました。

 

法則の法則: 成功は「引き寄せ」られるか

法則の法則: 成功は「引き寄せ」られるか

  • 作者:一条真也
  • 発売日: 2019/03/15
  • メディア: オンデマンド (ペーパーバック)
 

 

最後の「嘘と正典」は中編というべき長さですが、スリリングな内容で、飽きさせずに一気に読ませてくれました。物語は、フリードリヒ・エンゲルスの裁判シ-ンから始まります。東西冷戦を背景に、共産主義の誕生は偶然か必然かの議論が交わされるのですが、このくだりが非常に面白かったです。クラインという名の大学生が「仮にニュートンがこの世に存在していなかったら、万有引力は発見されなかったと思いますか?」と、モスクワのアメリカ大使館で駐在武官をしているホワイトに質問します。ホワイトは、「そうは思わない」と言い、その理由について、「万有引力の発見にはストーリーがあるからだ。すでにケプラーが楕円軌道の法則や、公転周期と軌道半径の関係を発見していた。当時の科学者はその原因を探ろうと必死になっていた。ニュートンは偶然最後のピースになっただけだ。彼がいなくても、万有引力が発見されるのは時間の問題だった」と語ります。ちなみに、この問題は拙著『法則の法則』(三五館)でも取り上げました。

 

オリバー・ツイスト (光文社古典新訳文庫)

オリバー・ツイスト (光文社古典新訳文庫)

 

 

次に、クラインは「ディケンズがこの世に存在していなかったら、『オリバー・ツイスト』は書かれたと思いますか?」と問いかけるのですが、ホワイトは「書かれなかっただろうね。『オリバー・ツイスト』に歴史的必然はない」と答えます。クラインは「そうなんです。そこが重要なところでして、僕が言いたいのは、歴史上の成果は2つの種類に分けることができるということなんです。ある特定の人物がいなくても存在したものと、ある特定の人物がいなければ存在し得なかったものの2つに」と言うのですが、ホワイトは「その理論は、君の研究とどう関係している?」と問うのでした。そこで、クラインは本書のテーマとなる理論を述べるのでした。

 

共産党宣言 (光文社古典新訳文庫)

共産党宣言 (光文社古典新訳文庫)

 

 

「同じ問いを、共産主義に当てはめてみましょう。現在の共産主義思想は、マルクスエンゲルスが共同で書いた『共産党宣言』が元となっています。マルクスエンゲルスのどちらかがいなかったとして、共産主義は存在していたでしょうか?」
「非常に難しい問いだね」とホワイトは答えた。「君はどう考えている? 共産主義万有引力なのか、それとも『オリバー・ツイスト』なのか」
「『オリバー・ツイスト』だと思っています。それも、オリバー・ツイスト』よりもはるかに高度な歴史的偶然です。もちろん、共産主義という言葉自体はマルクスエンゲルスと関係なく存在していましたが、いわゆる『共産主義』、つまりソビエトが採用したマルクス主義的な共産主義は、二人が出会わなければ誕生しませんでした。ヘーゲルの系譜を継いで極端な無神論者だったマルクスと、産業革命後のイギリスでチャーティスト運動に触れ、労働者の階級問題に深い関心を持っていたエンゲルス。この二人が偶然出会ったことによって誕生した思想だと思っています」(『嘘と正典』P.199~200)

 

あらゆる本が面白く読める方法: 万能の読書術

あらゆる本が面白く読める方法: 万能の読書術

  • 作者:一条真也
  • 発売日: 2019/06/14
  • メディア: オンデマンド (ペーパーバック)
 

 

ちなみに『共産党宣言』や『資本論』が誕生した「知のリレー」については、拙著『あらゆる本が面白く読める方法』(三五館)の「DNAリーディング」のくだりで書きました。DNAリーディングは、わたしの造語で、いわゆる関連図書の読書法です。1冊の本の中には、メッセージという「いのち」が宿っています。その「いのち」の先祖を探り、思想的源流をさかのぼる、それがDNAリーディングです。当然ながら古典を読むことに行き着きますが、この読書法だと体系的な知識と教養が身につき、現代的なトレンドも完全に把握できるのです。現時点で話題となっている本を読む場合、その原点、源流をさかのぼり読書してゆくDNAリーディングによって、あらゆるジャンルに精通することができます。たとえば哲学なら、ソクラテスの弟子がプラトンで、その弟子がアリストテレスというのは有名ですね。また、ルソーの大ファンだったカントの哲学を批判的に継承したのがヘーゲルで、ヘーゲル弁証法を批判的に継承したのがマルクスというのも知られていますね。マルクスの影響を受けた思想家は数え切れません。こういった影響関係の流れをたどる読書がDNAリーディングです。

 

マルクス 資本論 全9冊 (岩波文庫)

マルクス 資本論 全9冊 (岩波文庫)

  • 発売日: 1997/06/12
  • メディア: 文庫
 

 

さて、共産主義誕生についてのクラインの考えを聞いたホワイトは「つまり、マルクスという精子エンゲルスという卵子が受精しなければ、共産主義は生まれなかったということか」と言うのですが、クラインは「僕は今、マルクスと出会う前のエンゲルス――つまり受精前の卵子の研究をしているというわけです」と語るのでした。そして、CIAとKGBの抗争後、旧ソ連の"反体制"の技術者が発明した時空間通信によって、冒頭の裁判の瞬間に戻ろうという途方もない計画が企てられます。そこで、証人がエンゲルスが有罪となるような証言をすれば、共産主義が生まれなかったという計画なのですが、果たしてこの史上最大のミッションは成功するのでしょうか? 最後に、「正典」とは『共産主義宣言』か『資本論』のことだと思っていたのですが、じつは「時間」そのものだと知って唸りました。
そう、この物語に登場する「正典の守護者」とは、時間を守るタイム・パトロールだったのです!

 

嘘と正典

嘘と正典

  • 作者:小川 哲
  • 発売日: 2019/09/19
  • メディア: 単行本
 

 

2020年7月7日 一条真也

半年ぶりに沖縄へ!

一条真也です。
6日の北九州は朝から大雨で、気温は22度くらいでした。
熊本県を襲った豪雨では、多くの犠牲者が出ました。心よりご冥福をお祈りいたします。人吉市には互助会の仲間もいるので心配です。そんな中、福岡空港からANA1207便で沖縄に飛びました。今回の出張の主な目的は、わが社の冠婚葬祭施設の建設用地を視察するためです。

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福岡空港の登場口前で

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ANA機で沖縄へ!

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機内のようす

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コーヒーを飲みながら読書しました

 

少し前に比べて、福岡空港には人が増えていましたが、沖縄便も満席に近かったです。機内で昼食を取った後、コーヒーを飲みながら『それでも読書はやめられない』勢古浩爾著(NHK出版新書)を読みました。約1万冊を読んできた、名うての市井読書家による渾身の読書論です。自分自身を相手に、自分なりの読書の道筋として「守・破・離」を見つけること薦めています。大いに共感しながら、読み進めました。

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機内の窓から雲海が見えました

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だんだん空が晴れていきました

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沖縄本島が見えてきました!

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那覇空港は晴天でした

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那覇空港のロビーで

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那覇空港の出口で

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那覇は素晴らしい晴天!

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那覇は素晴らしい晴天!

 

機内の窓からは雲海が見えましたが、次第に空が晴れて陽光に輝きだしました。沖縄はすでに梅雨が明けていますが、那覇空港に着く頃にはすっかり晴天になっていました。那覇空港に着くと、暖かい空気が身体を包み込みました。北九州は22度でしたが、那覇は34度もありました。ふと石田純一山田孝之、真剣佑といった芸能人たちの顔が浮かんできて、いるはずもないのに彼らの姿を探してしまいました。沖縄に来たのはじつに半年ぶりですが、サンレー沖縄の小久保本部長とマリエールオークパイン那覇の崎山支配人が迎えに来てくれました。

f:id:shins2m:20200706222532j:plainチェックイン時に健康チェックされました

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夜はホテルの部屋で美崎牛のお弁当を

 

ホテルにチェックインするとき、フロントデスクで検温が行われ(35.9度でした)、問診票のようなものを書かされました。東京や金沢のホテルに投宿するときはここまでされませんでしたので、やはり沖縄県は県外からの訪問者に慎重なのだなと思いました。まだホテルのレストランをはじめ、外食できる店が開いていないので、夕食は買ってきてもらった美崎牛の幕の内弁当を食しました。美味しかったですが、ボリュームがありすぎて、ちょっと胸焼けしました。明日は、朝から営業所を回ります。

 

2020年7月6日 一条真也

コロナ後は「ハートフル社会」

一条真也です。
6日、久しぶりに沖縄に出張します。
新しい冠婚葬祭施設の建設用地の視察が目的ですが、大雨で飛行機が飛ぶかどうかが心配です。この日、「毎日新聞」の朝刊にわたしの記事が掲載されました。

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毎日新聞」2020年7月6日朝刊 

 

「コロナ後は『ハートフル社会』の大見出しがついた記事は、「100冊目の著書を出版」の大見出しで、「 一条真也ペンネームで執筆活動をする冠婚葬祭業サンレー北九州市小倉北区)社長の 佐久間庸和さん(57)が、100冊目となる著書『心ゆたかな社会「ハートフル・ソサエティ」とは何か』(現代書林)を出版した。新型コロナウイルス禍を人類連帯の好機ととらえ、コロナ後は思いやりあふれた『心の社会』が到来すると予見する【伊藤和人】」とのリード文が書かれています。

 

また、「人類連帯の好機『ピンチはチャンス』」の見出しで、「尊敬する経営学者、ピーター・ドラッカーの著書『ネクスト・ソサエティ』に触発されて2005年に出版した『ハートフル・ソサエティ』を、社会の変化を踏まえて大幅に改訂した。孤独死の増加など日本で進む『無縁社会化』に抗して、サンレーが催してきた地域イベント『隣人祭り』や、北九州市に提言した『高齢者特区』を紹介。文明論や心理学など100冊を超す古今東西の本を引用しながら、思いやりと感謝、癒やしや共感が価値を持つ『ハートフル社会』実現を訴える」と書かれています。

 

さらに記事には、「『何事も陽にとらえる性格』と話す佐久間さん。あとがきではコロナ禍を『国家や民族や宗教を超えて「自分たちは地球に棲む人類の一員なのだ」と自覚する』」契機にと説いた。結婚披露宴の予約が軒並み延期になるなど事業を取り巻く環境は厳しいが『歴史に照らしても感染症大流行の後は人々がぬくもりを求める時代が必ず来る。ピンチはチャンス。全く絶望していません』。四六判255ページ。1500円(税別)」と書かれていました。ちなみに、同書を持ったわたしの写真には、「『コロナ禍は新しい世界が生まれる陣痛のような気がする』と話す佐久間さん」というキャプションがついています。毎日新聞社さんと伊藤和人記者に感謝いたします。

 

心ゆたかな社会 「ハートフル・ソサエティ」とは何か
 

 



2020年7月6日 一条真也

ハートフル

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一条真也です。
新コーナーの「死を乗り越える名言」に合わせて、もう1つ新しいコーナーを開始したいと思います。わたしがこれまでに世に送り出してきた言葉について、わたし自身が解説するコーナーです。わたしの造語の数々は一条真也オフィシャルサイト「ハートフルムーン」の中の「キーワード」にまとめてあります。しかしながら、この際もう一度おさらいして、その意味を定義したいと思います。言葉の出典や意味が混乱してきているような気がするからです。

 

まずは、わたしの代名詞とされている「ハートフル」から始めましょう。人は感動する事によってハートフルになれます。天にも昇るような、おいしいものを食べてハートフルになったり、魂を揺り動かすような音楽を聴いて、映画を観て、テーマパークで遊んで、ハートフルになったりします。素晴らしい自然に触れたり、スポーツで汗を流したりするうちにハートフルになることもあります。 また、結婚式という人生で最も輝いたセレモニーにおいてハートフルになる人も 多いでしょう。

f:id:shins2m:20200705162743j:plain「ハートフル」は心の満月!

 

「ハートフル」とは心の満月です。月が人間の精神に与える影響については『ロマンティック・デス〜月を見よ、死を想え』(幻冬舎文庫)に詳しく書きましたが、その人間の精神そのもの、つまり心というものも月に似ていると思います。人は倦怠しているとき、下弦の月のごとく、その精神の4分の3が影となっています。何かで悩んだり、ねたみ、そねみ、憎しみなどのネガティブな感情に陥っているとき、暗雲に隠された月のように心も 闇に覆われているのです。しかし、何かで感動したり幸福感などでわかに活気づくと、心の満月が突然現れ、人は自分の 内側にある生命の源と触れ合っていると感じます。この心の満月が「ハートフル」です。

 

「ハートフル」をつきつめてゆくと、心理学者エイブラハム・マズローが唱えた究極の幸福感である「至高体験」、ロマン主義 文学者や宗教家たちの解く「神秘体験」、宇宙飛行士たちが遭遇した「宇宙体験」、そして死にゆく人々を強い幸福感で 包むという「臨死体験」などにも関わってきます。すべての人間はハートフルという幸福感のビックウェイブを持つサーファーなのではないでしょうか。

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また、現代は「高度情報社会」です。「IT社会」とも呼ばれます。ITとはインフォメーション・テクノロジーの略ですが、重要なのはI(情報)であって、T(技術)ではありません。その情報にしても、技術、つまりコンピューターから出てくるものは過去のものにすぎません。情報社会の本当の主役はまだ現れていません。では、本当の主役、本当の情報とは何でしょうか。

 

情報の「情」とは、心の動きにほかなりません。本来の情報とは、心の動きを報せることなのです。だから、真の情報社会とは、心の社会なのです。そこで「ハートフル」が出てきます。「ハートフル」とは、思いやり、感謝、感動、癒し・・・・・あらゆる良い心の働きを表現する言葉です。それは仏教の「慈悲」、儒教の「仁」、キリスト教の「隣人愛」などにも通じます。それは自らの心にあふれ、かつ、他人にも与えることのできるものなのです。

 

「ハートフル」は、わたしの考え方を集約する言葉です。わたしが1988年に『ハートフルに遊ぶ』(東急エージェンシー)という本を書き、初めて生み出した言葉です。「ハートフル」という言葉は流行語になり、その後、北九州市のスローガンにもなりました。その「ハートフル」とは、じつは「礼」の同義語でもあるのです。「礼」は、儒教の神髄ともいえる思想です。それは、後世、儒教が「礼教」と称されたことからもわかるでしょう。

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そもそも「礼(禮)」という字は、「示」と「豊」とから成っています。漢字の語源にはさまざまな説がありますが、「示」は「神」という意味で、「豊」は「酒を入れた器」という意味があるといいます。
つまり、酒器を神に供える宗教的な儀式を意味します。古代には、神のような神秘力のあるものに対する禁忌の観念があったので、きちんと定まった手続きや儀礼が必要とされました。これが、「礼」の起源だと言われているのです。
ところが、「礼」にはもう1つの意味があります。ここが非常に重要です。「示」は「心」であり、「豊」はそのままで「ゆたか」だというのです。ということは、「礼」とは「心ゆたか」、つまり「ハートフル」ということになります。

 

約10年間の休筆期間を経て、2005年には『ハートフル・ソサエティ』を上梓、06年には「ハートフル・マネジメント」を副題とする『孔子とドラッカー』、07年には「ハートフル・リーダーシップ」を副題とする『龍馬とカエサル』を三五館から上梓しました。同社からは、本名の佐久間庸和として『ハートフル・カンパニー』(三五館)も刊行されています。

 

また、「ハートフル・ティーのすすめ」こと『茶をたのしむ』、「ハートフル・フラワーのすすめ」こと『花をたのしむ』、「ハートフル・ライティングのすすめ」こと『灯をたのしむ』、「ハートフル・フレグランスのすすめ」こと『香をたのしむ』を現代書林から上梓しました。さらには、これまで「ハートフル・ライフ」、「ハートフル・シーズン」、「ハートフル・マネジメント」、「ハートフル・マナー」、「ハートフル・エピソード」、「ハートフル・ブックス」、「ハートフル・メッセージ」、「ハートフル通信」のタイトルで、さまざまな新聞や雑誌に連載コラムを書いてきました。「ハートフル」は一条真也の代名詞だと思っています。
そして、2020年6月、『ハートフル・ソサエティ』がアップデートして、『心ゆたかな社会』(現代書林)として刊行されました。わたしの処女作である『ハートフルに遊ぶ』から数えて、ちょうど100冊目の「一条本」でした。

f:id:shins2m:20200518110844j:plain一条本の1冊目と100冊目 

 

2020年7月6日 一条真也