一条真也です。
9月8日、サンレーグループの営業責任者会議が開催され、各地の営業責任者たちが集いました。
父の遺影に報告しました
会場の松柏園ホテルに到着したわたしは、庭園で桜の散り具合を確認してから、貴賓室に置かれている父の遺影に向かって「今日は、これから営業責任者会議で話をしてきます」と報告しました。すると、父が笑顔で「二次会もやってあげなさい」と言ったように聞こえました。その言葉は、生前の父がいつも口にしていた言葉でした。
営業責任者会議に入場!
最初は、もちろん一同礼!
最初は各種表彰を行いました
表彰状を授与しました
会場は前回に続いて松柏園ホテルの「グランフローラ」です。16時30分から開始、1時間にわたって社長講話を行いました。社長講話に先立って、営業部門の各種表彰を行いました。わたしは感謝の念を込めて、表彰状や金一封を表彰の対象者の方々にお渡ししました。表彰式が終わると、わたしは60分ほどの社長講話をしました。
社長講話を行いました
社長講話では、最初にブログ「リメンバー・フェス~佐久間進名誉会長を偲ぶ会」、ブログ「リメンバー・フェス」、ブログ「月への送魂」で紹介したイベント&セレモニーについて話しました。それから、「死者を忘れて、生者の幸福なし」という言葉に言及しました。死者を忘れて生者の幸福は絶対にありえません。柳田國男らが創設した日本民俗学が明らかにしたように、日本には、祖先崇拝のような「死者との共生」という強い精神的伝統があります。しかし、日本のみならず、世界中のどんな民族にも「死者との共生」や「死者との共闘」という意識が根底にあります。そして、それが基底となってさまざまな文明や文化を生み出してきました。
供養は「こころ」を安定させ、生きる力を与える
そこで重要になるのが「葬儀」であり、「供養」です。最期のセレモニーである葬儀は人類の存続に関わってきました。葬儀は故人の魂を送ることはもちろんですが、残された人々の魂にエネルギーを与えます。もし葬儀を行わなければ、配偶者や子ども、家族の死によって遺族の心には大きな穴があき、おそらくは自死の連鎖が起きたことでしょう。また、葬儀後の法事・法要といった一連の供養は生きている者の「こころ」を安定させ、生きる力を与えます。

全国紙の全面広告を掲げる
2025年8月15日は、80年目の「終戦の日」でした。日本中が死者に想いを馳せたこの日、「産経新聞」全国版の朝刊に、わが社の全面広告が掲載されました。広告には「死者を忘れて、生者の幸福なし。」「『終戦の日』に寄せて」として、「本日、8月15日――日本は、終戦から80年の節目を迎えました。あの戦争において、約310万人もの日本人が命を落としました。それは、日常を生きていた人々が、ある日突然、戦地に赴き、大地に斃れ、海に沈み、空に散った――名もなき個人の物語の連なりでした。たとえば知覧、沖縄、広島、長崎――この国の各地に刻まれた記憶は、そのひとつひとつが、尊い『いのち』の物語であり、わたしたちの『今』を形づくる礎です」と書かれています。
先の戦争は巨大な物語の集合体
熱心に聴く人びと
しかしいま、戦争の記憶は次第に遠のき、「終戦の日」の意味すら知らない世代が増えています。そんな現実に、深い寂しさと危機感を覚えます。それでも、わたしたちは信じています。『死者を忘れて、生者の幸福なし』と。また、「戦争は、歴史の事実であると同時に、人間の心を揺さぶる『巨大な物語の集合体』でもあります。真珠湾攻撃、ミッドウェー海戦、ゼロ戦、ビルマ戦線、神風特別攻撃隊、回天、硫黄島の戦い、東京大空襲、戦艦大和、ひめゆり部隊、沖縄戦、広島原爆、長崎原爆、満州侵攻、ポツダム宣言受諾、玉音放送・・・・・・それぞれ単独でも大きな物語を形成しているのに、それらが無数に集まった巨大な物語の集合体。それが先の大戦だったと思います。
「文化の防人」でありたい!
実際、あの戦争からどれだけ多くの小説、詩歌、演劇、映画、ドラマが派生していったことでしょうか。それらの物語は、未来へと語り継がれることで、はじめて「鎮魂」となります。メッセージの最期には、「わたしたちは、礼を尽くし、祈りをかたちにする「冠婚葬祭」の担い手として、死者と生者の豊かな関係を結び直す「文化の防人」でありたいと願います。――祈り、語り継ぎ、供養する。死者とともに生きること。それが、この国の魂を支え、未来へとつなぐ光となることを願って――」という、わたしの言葉が記されています。想像を超える大きな反響がありました。わが社の志を天下に示す良い機会でした。
9月も死者と関わりの深い月に
「8月は死者を想う月」と述べましたが、この9月も死者と関わりの深い月になります。まずは6日(土)に、サンレーグランドホールで「リメンバー・フェス」が開催され、「月への送魂」が行われました。この日は、昨年9月20日に逝去した佐久間進名誉会長と今年5月30日に帰幽した鎌田東二先生の御霊を光に乗せて月に送りました。13日(土)は、鎌田東二百日祭「かまたまつり」が京都府綾部の大本本部の「みろく会館」で行われ、わたしが葬儀委員長を務めます。20日(土)は、佐久間名誉会長の「一周忌法要」「墓石開眼供養」および納骨があります。じつに3週続けて、土曜日にビッグ・イベント&セレモニーが行われます。
ムーンサルトレターについて
佐久間名誉会長と鎌田先生は國學院大學の院友であり、ともに「日本人の幸福」を追求した人生を送りましたが、わたしに最大の影響を与えてくれた二人でもあります。心して、三大行事に臨みたいと思います。今月、鎌田先生との最後の共著となる『満月交命 ムーンサルトレター』(現代書林)が刊行されます。日本を代表する宗教哲学者であり、わが魂の義兄である鎌田東二先生(Tony)と、わたしの(Shin)がWEB文通の「ムーンサルトレター」を開始したのは、2005年10月18日のことでした。それから毎月、満月が夜空に上がるたびにレターを交換し、それらは『満月交感』上下巻、『満月交遊』上下巻として水曜社から、『満月交心』として現代書林にまとめられました。そして、第181信から第244信が『満月交命』にまとめられたのです。
20年間、「命」の交換をする

熱心に聴く人びと
鎌田先生からのレターを読むたびに、わたしは「これは命の一部だ」と思えてなりませんでした。命とは使命であり、天命であり、何よりも生命です。20年ものあいだ文通が続いたということは、とりもなおさず、わたしたちが20年間生きてきたということになります。わたしたちはWEB上で言葉の交換をしながら、「明るい世直し」や「天下布礼」といった、お互いの使命や天命をレターの交換によって確認し、激励し、鼓舞し合ってきました。そして、まさに生命としての「命」の交換をしてきたのです。

「死」が「命」の輪郭をくっきりと示す
「命」の輪郭をくっきりと示すものこそ「死」です。鎌田先生の遺作となった『日本人の死生観Ⅱ 霊性の個人史』の第一章「死に臨む」の「1、ステージⅣのがんになって『死を光源として即身を生きる』」では、ステージⅣのがんになってから元気になったとして、鎌田宣誓は「元気が出た。覚悟が定まり、余分なものが削がれて、スッキリしたことは確かだ。生のかたちがシンプルになり、いのちのいぶきに素直になったのだ。だから、ずいぶん楽になったし、ある意味、楽しくなった。というより、たのしいことしかしたくない」と書かれています。
また鎌田先生は、「死は光である。死は光の元、すなわち、光源である。それは、くっきりと生を、いのちを照らしてくれる。自分の全体ばかりではなく、『在る』、ということの全体を照らしてくれる。なぜなら、死は自分の生と思っているもの、いのちと思っているものが『無い』ものとなる、なくなってしまう、消滅してしまうと思える事態だからである」とも述べられています。鎌田先生の遺言ともいえる魂のメッセージは、後世に残る卓越した死生観です。改めて、鎌田先生が偉大な実践思想家であったことを痛感します。
鎌田先生への感謝を述べました
鎌田先生には言い尽くせないほど、本当にお世話になりました。父・佐久間進の通夜・葬儀告別式、お別れの会にもご参列いただき、心ある弔辞も賜りました。火葬場にまで同行して下さり、父の骨を一緒に拾って下さいました。感謝の言葉もありませんでした。生涯をかけて「明るい世直し」を目指した鎌田先生の志は、わたしが受け継ぐ覚悟です。それにしても、鎌田東二という、こんな凄い思想家と20年以上も文通させていただいたことは、わが生涯における最大の誇りであり、人生の宝である。わたしもいずれそちらに行くので、そのときはまた文通させていただきたいと思っています。
礼能力について

最後は、もちろん一同礼!
最後に、鎌田先生から教えていただいた「礼能力」という言葉を紹介しました。「霊能力」という言葉がありますが、本当に大事なのは「礼能力」ではないでしょうか。これは他者を大切に思える能力、つまり、仁や慈悲や愛の力のことです。結局、人間関係を良くすることはもちろん、心ゆたかな社会をつくるための最大のカギこそ、わたしたちの礼能力ではないでしょうか。鎌田先生の知人に‟格闘王”前田日明氏がいますが、わたしは初めてお会いしたとき、前田氏の人間性の素晴らしさに感服しました。特にその巨体を折り曲げてお辞儀をされる礼儀正しさには感動すらおぼえました。前田氏は相手を思いやる「こころ」を持ち、それを「かたち」にすることのできる「礼能力」の人でした。最後に、わたしは「文化の防人は礼能力者であれ!」と言って、講話を終えました。
懇親会場に入りました
懇親会の冒頭、挨拶しました
乾杯の挨拶をする岸取締役
カンパ~イ!
社長講話の後は、松柏園ホテルの「松柏の間」で懇親会が開催。最初にわたしが「これから、わたしたちはわたしたちは食事をします。『食事』という文字は『人に良い事』と書きます。一緒に食事をしたり、盃を交わすのは腹を割った人間関係をつくる最高の方法です。営業のみなさんはよく頑張っていますが、さらに高い目標を持って前進していただきたい。これらのコンパッション時代を先取りして、業界のフロントランナーになりましょう!」と述べました。それから、岸取締役の音頭で乾杯しました。
大いに盛り上がりました
緊張感漂うテーブル笑
渋みのあるテーブル笑
歓談のようす
その後、各地から参集したみなさんは、お酒や料理を楽しみながら会話の花を咲かせました。久しぶりに再会した営業責任者も多く、松柏園の美味しい料理に舌鼓を打ちながら互いに近況報告をしたり、それぞれの仕事の悩みを相談したり・・・・・・まさに「食事」は「人に良い事」であると再認識しました。「ここにいる彼らが、冠婚葬祭という『文化の核』を守ってくれる『文化の防人』なのだ」と思うと、胸が熱くなりました。
中締めの挨拶をする小久保取締役
最後は、「末広がりの五本締め」で!
楽しい懇親会も終わりに近づきました。
最後は、小久保取締役による中締めの挨拶でした。サンレー・オリジナルの「末広がりの五本締め」で締めました。これをやると、みんなの心が本当にひとつになる気がします。やはり、リアル・コンパはいいものですね!
カンパ~イ! 見よ、このド迫力!
同志たちよ、これからも一緒に頑張ろう!
その後、二次会も開かれました。二次会では、沖縄の瀬名波執行役員が素晴らしい乾杯の音頭をしてくれました。会場は、 ブログ「人間国宝を囲む会in松柏園」で紹介した加藤唐九郎作の大陶壁「万朶」の前のラウンジです。この日は、みんなの「こころ」が1つになりました。誇り高き同志たちよ、これからも一緒に頑張ろう!

2025年9月8日 一条真也拝
