営業責任者会議

一条真也です。
東日本大震災から13年目となる3月11日、サンレーグループの営業責任者会議を開催。各地から営業の責任者たちが集いました。会場は前回に続いて松柏園ホテルの「ザ・ジュエル・ボックス」です。16時30分から開始、1時間にわたって社長訓話を行いました。

最初は、もちろん一同礼!

各種表彰を行いました

 

社長訓話に先立って、営業部門の各種表彰を行いました。
わたしは感謝の念を込めて、表彰状や金一封を表彰の対象者の方々にお渡ししました。表彰式が終わると、わたしは60分ほどの社長訓話をしました。

社長訓話を行いました

 

社長訓話では、わたしは冒頭で、この日、冠婚葬祭互助会のサン・ライフメンバーズさんの訪問を受けたことを話しました。グリーフケアに対するわが社の取り組みの視察に来られたのです。同社は業界でも数少ない株式上場されている冠婚葬祭互助会で、ホテル、結婚式場、葬祭会館だけでなくケアハウス、保育園、冠婚葬祭の専門学校まで展開されています。まさに、「揺りかごから墓場まで」を実現するトータルライフ・サービスを実現されている素晴らしい互助会です。そんな会社がグリーフケアを重要視していることから、わたしは「互助会の本義」というものを考えてしまうと述べました。


「礼」について話しました

 

それから、わたしは「礼」について話しました。
まずは、ブログ「挨拶は身を守る鎧」で紹介した話題を取り上げました。このたび解散を宣言したお笑いコンビ「プラス・マイナス」の岩橋良昌の「挨拶無視」についてのXのポストを受けて、お笑いタレントの水道橋博士がやはりXで言及しました。水道橋博士は、「挨拶は身を守る鎧」という三島由紀夫の言葉を座右の銘にしているそうです。「挨拶は身を守る鎧」の出典は『若きサムライのために』。三島は剣道をやっていましたが、武道である剣道は「礼に始まり礼に終わる」という絶対の掟があります。

礼儀について語りました

 

三島由紀夫は、次のように言いました。
作法というものが第一関門であるのにも関わらず、この作法がないむき出しの人間性が相手の心に通用するという迷信がある、と。つまり相手の心を通用させるにはまず礼儀が必要なのに、礼儀がない野蛮な状態でも相手の心に通用できるという間違った考え方があるというのです。もちろん礼儀のない野蛮な人間は忌み嫌われ、誰も関わろうとは思いません。人間関係において礼儀を守っている人こそ、お酒が入ってハメを外しても、少々生意気なことを言っても、周りの人から可愛がられるのです。むしろ礼儀を守っているからこそ、ハメを外したり、ふざけたりしても、相手からの信用を勝ち取れるのです。

松本人志について

「挨拶無視」の芸人といえば、何を隠そう、渦中の松本人志がそうです。水道橋博士が言うように、芸能界というところは基本的に礼儀に厳しく、それは吉本興業であっても同じ。しかし、まだ無名だった頃の松本が、あるときオール巨人の楽屋前の廊下を素通りしたそうです。それを目にした巨人が教育の意味も込めて松本を呼び止め、「おい君。挨拶は? やり直せ」と諭しました。すると松本は「あ、すいません」と謝りながら来た道を引き返し、もう一度楽屋の前を素通りしたというのです。この逸話が披露された昨年1月放送の「人志松本の酒のツマミになる話」(フジテレビ系)では、松本の後輩芸人たちが「しびれるわあ」などと感動した様子が映りましたが、何がしびれるのか? 何がカッコ良くて感動するのか? わたしは、まったく理解できません。中学生が反抗的な態度をイキって話をしているようです。大人になれなかった松本と、そんな彼を称賛する取り巻き連中は情けない限りですね。

芸能界にも礼儀は必要!

熱心に聴く人びと

 

もともと、松本は若手時代からきちんとした挨拶というものが苦手だったらしく、先輩芸人の前でも「ちーす!」とかしか言わないため、明石家さんまタモリといった大御所からも怒りを買っていたといいます。吉本興業の大先輩だった故・横山やすしは傍若無人ダウンタウンの2人の芸風や態度をずっと認めませんでした。1995年12月には、横山はダウンタウンに対して「芸人には礼儀が必要や。挨拶ぐらいせい!」と怒ったこともあります。放送コラムニストの高堀冬彦氏は、デイリー新潮のコラムで「やすしさんも決して礼儀正しい人とは言えなかったが、ダウンタウンには手厳しかった。漫才も酷評し続けた」と述べています。やすしは、ダウンタウンの行き過ぎた毒を危険視していたのでしょう。

ビートたけしは「礼」を重んじる

 

横山やすし明石家さんまタモリはみなお笑いの天才ですが、もう1人、ビートたけしの名前を挙げなければいけないでしょう。ブログ「被災地での犯罪に厳罰を!」でも紹介したように、かつて、熊本地震の被災地で発生している空き巣について、ビートたけしは「あいつら射殺しろよ」と怒りをあらわにしました。彼は、自身のTV番組で「こういうときにそういう犯罪すんのは特別に罰しなきゃおかしいだろ」と自身の考えを示しましたが、わたしは深く共感しました。その他にも、まさに儒教の徒といってもおかしくないほど、北野氏は「礼」というものを重んじています。だからこそ、生き馬の目を抜くような芸能界でトップの座にあり続けているのでしょう。ちなみに、挨拶を重んじる水道橋博士の師匠もビートたけしです。

礼法は最強の護身術!

三島由紀夫は「挨拶は身を守る鎧」と言いましたが、わたしは「礼法は最強の護身術」であると拙著人間関係を良くする17の魔法致知出版社)の中で述べました。わたしのマナー観は、小笠原流礼法に基づいています。「思いやりの心」「うやまいの心」「つつしみの心」という三つの心を大切にする小笠原流は、日本の礼法の基本です。特に、冠婚葬祭に関わる礼法のほとんどすべては小笠原流に基づいています。そもそも礼法とは何でしょうか。原始時代、わたしたちの先祖は人と人との対人関係を良好なものにすることが自分を守る生き方であることに気づきました。 自分を守るために、弓や刀剣などの武器を携帯していたのですが、突然、見知らぬ人に会ったとき、相手が自分に敵意がないとわかれば、武器を持たないときは右手を高く上げたり、武器を捨てて両手をさし上げたりしてこちらも敵意のないことを示しました。

礼法の起源について

熱心に聴く人びと

 

相手が自分よりも強ければ、地にひれ伏して服従の意思を表明し、また、仲間だとわかったら、走りよって抱き合いました。このような行為が礼儀作法、すなわち礼法の起源でした。身ぶり、手ぶりから始まった礼儀作法は社会や国家が構築されてゆくにつれて変化し、発展して、今日の礼法として確立されてきたのです。ですから、礼法とはある意味で護身術なのです。剣道、柔道、空手、合気道などなど、護身術にはさまざまなものがあります。しかし、もともと相手の敵意を誘わず、当然ながら戦いにならず、逆に好印象さえ与えてしまう礼法の方がずっと上ではないでしょうか。まさしく、礼法こそは最強の護身術なのです!

ハラスメントとは「礼」の問題である!

 

松本氏の性加害報道に接するたびに、娘を持つ親として怒りを感じるとともに、「俺と同い年なのに、ここまで性欲が強いとは!」と驚愕することもしばしばです。一見、これ以上ないぐらい下世話なスキャンダルとも思える松本問題に、なぜ、わたしはこだわるのか? それは、松本氏がわたしと同い年の還暦者ということもありますが、何よりもこの問題が、わたしの最大のテーマである「礼」と深く関わっているからです。現在、松本氏は女性へのセクシャルハラスメントとともに、後輩芸人へのパワーハラスメントの疑惑を持たれています。セクシャルハラスメントパワーハラスメントの両方を合わせて「セ・パ両リーグ」などと呼ぶようですが、わたしは、ハラスメントの問題とは結局は「礼」の問題であると考えています。

ハートレス・キーワードを生んだ松本人志

 

「礼」とは「人間尊重」の精神ですが、松本氏には人間尊重どころか、その正反対の精神を感じます。ブログ「ハートレス・キーワード」で紹介したように、今では当たり前のように使用される「空気を読む」という言葉は松本人志が作ったもので、彼が大衆化したそうです。「空気を読む」以外では、「イタイ」「サムイ」「かぶってる」「噛む」「絡みにくい」「KY」「すべる」「ドン引き」「グダグダ」といった言葉も松本人志が発祥だとされているそうです。この事実には驚愕しました。人が感じる印象や感情をうまく言葉にすることが松本氏の才能なのかもしれませんが、彼が作ったとされる言葉は1人1人の気持ちを一言にまとめてしまい、しかもそれは同調圧力と価値観の押し付けにほかなりません。まさに、人の心を無視したハートレス・キーワードであると言えるでしょう。


企業の社会的存在意義について

 

それから、以下のような話をしました。互助会の未来についてさまざまな意見がありますが、わたしは何事も陽にとらえて、他者の幸せを願う志を掲げていれば、企業は必然的に発展していくものと確信しています。数年前、志は「パーパス」という言葉でビジネス界でも流行しました。それらによると、「パーパス(=企業の社会的存在意義)」は2020年代の最重要コンセプトだそうです。SDGs、気候変動、ESG投資、サステナビリティジェンダーギャップ、テクノロジーへの反発などを視野に入れ、社会課題の解決が戦略の中心に置かれる時代の、「利益の追求」と「社会を良くする」を両立させる新しいビジネスの形を追求することが求められています。


パーパスからアンビションへ!

 

今、なぜこれほどパーパスに注目が集まるのか?
それは、社会そのものが「意義化」しているからなのかもしれません。「パーパス」はサンレー創立55周年記念出版であるアンビショナリー・カンパニーのテーマである「アンビション」との共通点も多いと言えます。しかしながら、わたし自身は、「パーパス(志)」を超えるものが「アンビション(大志)」であると考えています。かのクラーク博士は「ボーイズ・ビー・アンビシャス」と言いましたが、わたしは「カンパニーズ・ビー・アンビシャス」と言いたい。そして、基本がソーシャルビジネスである冠婚葬祭互助会ほど大志を掲げ、かつ、それを果たせる業界はないのではないかと思います。

わが社は「サンレーズ・アンビション」として、「天下布礼」を進めています。具体的には「社会貢献」「有縁社会再生」「老福社会実現」「グリーフケア」の4つのカテゴリーで数多くのプロジェクトを推進。最近、わが社の社会貢献事業が多大な注目を集めています。わが社の大志が次々に「かたち」となっており、話題を集めているのです。わが社では児童養護施設に入居している新成人に晴れ着などを提供し、記念写真の撮影を行っています。2021年から始めた取り組みで、これまで多くの児童養護施設のお子さんが参加しています。着付けなどは無償で行われ、子どもたちは晴れ着を身にまとい、笑顔で写真に納まりました。さらに、わが社が指定管理者を務める天然温泉「ふるさと交流館 日王の湯」(田川郡福智町神崎)で「子ども食堂」を開催し、小中学生を無料招待します。

天下布礼」の実践を!

これらの活動は大きな話題となり、全国紙をはじめとしたマスコミ各社からも取材の申し込みが相次ぎました。取材ではよく、「なぜ、このような社会貢献事業をされるのですか?」という質問があります。わたしは、「わが社の本業である冠婚葬祭互助会はソーシャルビジネスだからです」とお答えしています。ソーシャルビジネスとは、高齢者や障がい者の介護・福祉、子育て支援、まちづくり、環境保護地域活性化など、地域や社会が抱える課題の解決をミッション(使命)として、ビジネスの手法を用いて取り組むもの。「人間尊重」としての礼の精神を世に広める「天下布礼」の実践です。


最後は、もちろん一同礼!

 

晴れ着の無料レンタルは、儀式というわが社の本業の意味と価値を世に広く問うものです。七五三は不安定な存在である子どもが次第に社会の一員として受け容れられていくための大切な通過儀礼です。成人式はさらに「あなたは社会人になった」というメッセージを伝える場であり、新成人はここまで育ててくれた親や地域社会の人々へ感謝をする場です。長寿祝いも含めて、すべての通過儀礼は「あなたが生まれたことは正しい」「あなたの存在と成長をこの世界は祝福している」という存在肯定のセレモニーです。万物に光を降り注ぐ太陽のように、サンレーはすべての人に儀式を提供する志を抱いています。そして、その志は互助会の「本義」というものに通じていると確信しています。最後に、わたしは「地域社会の太陽となって、世の中を明るくしよう!」と言って社長訓話を終えました。

懇親会の冒頭で挨拶しました


営業のみなさんにメッセージを伝えました


乾杯の挨拶をする岸執行役員

カンパ~イ!

 

社長訓話が終わった後は、松柏園ホテルの「松柏の間」で懇親会が開かれました。最初にわたしが「営業のみなさんはよく頑張っていますが、さらに高い目標を持って前進していただきたい。これらのコンパッション時代を先取りして、業界のフロントランナーになりましょう!」と述べました。それから、岸執行役員の音頭で乾杯しました。その後、各地から参集したみなさんは、お酒や料理を楽しみながら会話の花を咲かせました。


大いに盛り上がりました


渋みのあるテーブル笑

中締めの時間が来ました

最後は、「末広がりの五本締め」で!

 

楽しい懇親会も終わりに近づきました。
最後は、小久保取締役による中締めの挨拶でした。サンレー・オリジナルの「末広がりの五本締め」で締めました。これをやると、みんなの心が本当にひとつになる気がします。やはり、リアル・コンパはいいものですね!

5年ぶりに二次会を開催

万だの前でカンパ~イ!

 

その後、じつに5年ぶりとなる二次会も開かれました。二次会では、沖縄の瀬名波執行役員が素晴らしい乾杯の音頭をしてくれました。会場は、 ブログ「人間国宝を囲む会in松柏園」で紹介した加藤唐九郎作の大陶壁「万朶」の前のラウンジです。この日は、みんなの「こころ」が1つになりました。これからも、一緒に頑張ろう!

 

2024年3月11日  一条真也