コロナ禍の中で「礼」を考える

一条真也です。
18日、ブログ「秋季例大祭」で紹介した神事と朝粥会の後は、同じく松柏園ホテルのメインバンケット「グラン・フローラ」で恒例の「天道塾」を開催しました。最初にサンレーグループ佐久間進会長が登壇し、訓話をしました。

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最初は、もちろん一同礼!

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天道塾のようす

f:id:shins2m:20200818085514j:plain訓話する佐久間会長

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熱心にメモを取る人びと

佐久間会長は、自身が提唱している「八共道」のうちの「共浴」について語り、ウィズコロナ時代の「日帰り湯治天国」の構想などを示しました。また、風呂や茶の湯がいかに人々の心を癒し、絆を強めるかということを述べ、新時代の互助会の在り方を提言しました。最後に、会長は「冠婚葬祭は変わるけれども、冠婚葬祭はなくならない!」と力強く喝破しました。

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沖縄からのメッセージ

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上半期を振り返ってみて


その後、サンレー沖縄の佐久間康弘社長が、「上半期を振り返ってみて」と題して発表しました。冒頭、「さきほど、みんなで朝粥を食べましたが、このような共食信仰は人間ならではの文化です。サルと違って、ヒトは食べ物を奪い合いません」と述べてから、わが社の業界でのポジション、主要業績指標、資金収支、各部門の上半期実績、さらには「新型コロナウイルスによる影響調査」の結果などを報告しました。沖縄からのオンライン参加でしたが、現在、沖縄では猛烈な勢いで感染が拡大しており、病床数なども逼迫しています。わたしも、とても心配しています。

f:id:shins2m:20200818094033j:plain小倉織のマスク姿で登壇しました

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息苦しいので、マスクを外しました

 

そして、最後にわたしが登壇しました。わたしは小倉織のマスクをつけたまま、「みなさん、お元気ですか? こう暑いと、マスクを着けていると息苦しくて辛いですよね」と言ってから、マスクを外しました。それから、「昨日、北九州市新型コロナウイルス感染者ですが、31日ぶりに0人でした。ひとまず安心しましたが、福岡市は50人でしたね。明日は、福岡市の東区に建設する福岡多々良紫雲閣(仮称)の起工式を行います。テントの中での地鎮祭ですが、まあ全国広しといえども、この危険な酷暑の中で地鎮祭を行う会社も珍しいでしょう。それも、わが社が『礼の社』だからです。明日は、熱中症で倒れないように気をつけたいと思います」と言いました。

f:id:shins2m:20200818094148j:plain「幸福度ランキング」 について話しました

 

それから、ブログ「日本人の幸福度ランキングに思う」でも紹介したように、「都道府県版SDGs調査2020」における住民の「幸福度」に関する指標で、宮崎県が2年連続の1位、沖縄県大分県も順位を上げました。4位は福井県、5位は石川県と、北陸地方の県も上位に入ったことについてコメントしました。わが社のエリアでは、1位の宮崎県、2位の沖縄県、3位の大分県とベスト3を制覇しており、石川県もベスト5に入っています。これらの県民のみなさんが幸福なのは「サンレーの存在があるから」などと不遜なことは申しませんが(笑)、少しでも会員様の幸福な人生のお手伝いができるように努力したいものですね。もともと不安定な「こころ」を安定させるのは儀式という「かたち」であり、冠婚葬祭業という儀式産業は人間の幸福の根幹に関わっているのです。

f:id:shins2m:20200818095223j:plainベスト5をわが社のエリアで独占したい! 

 

わが社の本社がある福岡県は14位と、他のエリアに比べると低いです。ちょっと残念ですが、昨年は38位だったことを考えると、20位以上もアップしたというのは朗報です。福岡県の県庁所在地は言うまでもなく福岡市ですが、わが社は福岡市博多区に福岡浦田紫雲閣(仮称)、東区に福岡多々良紫雲閣(仮称)の2施設を今年末に開業し、本格的に福岡市に進出します。わが社の福岡市進出によって、「福岡県民の幸福度を上昇させる」というぐらいの気概を持って頑張りたいと思います。来年は福井県の代わりに福岡県を入れて、ベスト5をわが社のエリアで独占したい!

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熱心に聴く人びと

 

それから、ブログ「前川清さんにお会いしました!」で紹介したように、わが社サンレーのCMキャラクターを前川さんにお願いすることになったことを話しました。8月6日、 松柏園ホテルでCMの撮影が行われたのです。前川さんは九州朝日放送の「前川清の笑顔まんてんタビ好キ」という番組に2012年から出演されており、九州・沖縄でも絶大な人気を誇っておられます。実際にお会いした前川さんは非常に気さくな方で、豊かな人間性を感じました。NHK紅白歌合戦に29回も出場されている大歌手であり、タレントとしても全国的に人気者の前川さんですが、「タビ好き」の番組で、初めて訪問したお宅のインターフォンを押したとき、3分の1は「何しに来たんだ、帰れ!」と怒鳴られるとお聞きして、驚きました。ぜひ、互助会の営業員のみなさんにも知ってほしい!

f:id:shins2m:20200818094523j:plain結局うまくいくのは、礼儀正しい人である!

 

芸能界といえば、ブログ「さらば、渡哲也!」で紹介したように、今月10日、呼吸器疾患で療養中だった俳優の渡哲也さんが亡くなりました。国民的スターだった石原裕次郎さんが代表作「赤いハンカチ」を大ヒットさせた1964年、当時22歳だった渡さんは裕次郎の大ファンで、一目でも姿を見られたらという軽い気持ちで撮影所へ見学に行きました。その折に日活からスカウトされ進路が決まってしまいます。裕次郎さんに初めて会ったのがその年の4月。新人として撮影所の挨拶回りをしたとき、他の先輩は座ったまま挨拶を返す中、撮影所の食堂にいた裕次郎さんだけが立ち上がって渡さんを迎え、丁寧な物腰で「頑張って下さい」と励ましたそうです。この初対面は渡さんに強い印象を残し、その後の運命を大きく変えました。倒産寸前の石原プロに、人気絶頂だった渡さんが入社したのです。まさに、ブログ『結局うまくいくのは、礼儀正しい人である』で紹介した本の内容を連想するようなエピソードです。

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礼は人の道である!

 

それから、ブログ「『PHP』取材」で紹介したように、昨日、「PHP」本誌の編集長さんからインタビュー取材を受けたことを話しました。「私の信条」というコーナーでしたが、わたしは、PHPの創設者である松下幸之助の「礼は人の道である」という言葉を挙げて、わが社のミッションである「人間尊重」について語りました。わたしは日頃から「礼経一致」の精神を大事にしたいと考えていますが、「経営の神様」といわれた松下翁も「礼」を最重要視していました。彼は、世界中すべての国民民族が、言葉は違うがみな同じように礼を言い、挨拶をすることを不思議に思いながらも、それを人間としての自然の姿、人間的行為であるとしました。すなわち礼とは「人の道」であるとしたのです。そもそも無限といってよいほどの生命の中から人間として誕生したこと、そして万物の存在のおかげで自分が生きていることを思うところから、おのずと感謝の気持ち、「礼」の気持ちを持たなければならないと人間は感じたのではないかと松下翁は推測します。

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熱心にメモを取る人びと

 

ところが、最近になってその人間的行為である「礼」が、なにやら実際には行なわれなくなってきました。挨拶もしなければ、感謝もしない。価値観の多様化のせいか。だが、礼は価値観がどんなに変わろうが、人の道、「人間の証明」です。それにもかかわらず、お礼は言いたくない、挨拶はしたくないという者がいます。松下翁は、「礼とは、そのような好みの問題ではない。自分が人間であることを表明するか、猿であるかを表明する、きわめて重要な行為なのである」と説きました。 ましてや経営や組織で1つの目的に向かって共同作業をするとすれば、当然、その経営、組織の中で互いに礼を尽くさなければなりません。挨拶ができないとか、感謝の意を表わすことができないというのであれば、その社員は猿に等しいと言えます。

f:id:shins2m:20200818095420j:plain商い、経営も礼の道に即すべし!

 

松下幸之助はさらに言います。礼とは、素直な心になって感謝と敬愛を表する態度である。商いや経営もまた人間の営みである以上、人間としての正しさに沿って行なわれるべきであることを忘れてはなりません。礼は人の道であるとともに、商い、経営もまた礼の道に即していなければならないのです。礼の道に即して発展してこそ、真の発展なのです。70年間で実に7兆円の世界企業を築き上げ、ある意味で戦後最大の、というよりも近代日本で最大の経営者といえる松下幸之助翁が最も重んじていたものが人の道としての「礼」と知り、わたしは非常に感動しました。

f:id:shins2m:20200818095932j:plainさらに「天下布礼」を進めよう!

 

コロナ禍の中にあって、わたしは改めて「礼」というものを考え直しています。特に「ソーシャルディスタンス」と「礼」の関係に注目し、相手と接触せずにお辞儀などによって敬意を表すことのできる小笠原流礼法が「礼儀正しさ」におけるグローバル・スタンダードにならないかなどと考えています。会長は「冠婚葬祭は変わるけれども、冠婚葬祭はなくならない!」お盆休みのあいだ、わたしはコロナ後の社会について語られた本を片っ端から読みました。そして、わが社の進む方向は間違っていないことを確認しました。「礼経一致」に基づくサンレーの企業姿勢は正しいと信じています。最後に「佐久間会長が言われたように、冠婚葬祭は変わるけれども、冠婚葬祭はなくなりません。コロナ禍の時代にあっても、いやコロナ禍だからこそ、さらに「天下布礼」を進めていきましょう! そして、日本人の幸福度を上昇させ、心ゆたかな社会を創造しましょう!」と言ってから降壇しました。

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最後は、もちろん一同礼!

 

2020年8月18日 一条真也拝