「ふくおか経済」取材 

一条真也です。
5日の15時から、わたしは「ふくおか経済」の取材を受けました。いつもわが社の記事を書いてくれる金子大介さんが来社され、恒例の年末インタビューが行われました。

本日の取材のようす

 

最初に、「今年を振り返って、いかがですか?」との質問がありました。わたしは、「今年で、わが社は創立57周年になりますが、過去最高の業績で終わることができそうです。コロナ禍のときは冠婚葬祭業の未来について不安もありましたが、人が集まって儀式を行うという営みは不滅であることを確認しました」と述べました。わたしは、儀式を行うことと相互扶助は、人間の本能だと考えています。この本能がなければ、人類はとうの昔に滅亡していたのではないでしょうか。わたしは、この人類の本能を「礼欲」と名づけました。人間には、人とコミュニケーションしたい、豊かな人間関係を持ちたい、助け合いたい、そして儀式を行いたいという「礼欲」があるのです。

グリーフケアの時代に」について

 

それから、わが社はグリーフケアの普及に尽力してきましたが、今月1日から公開のドキュメンタリー映画グリーフケアの時代に」の東京上演の初回が秋篠宮妃殿下が御臨席される宮内庁の公式行事となり、わたしも参加しました。わたしは出演者の1人として秋篠宮妃殿下に直接ご挨拶を申し上げ、拙著愛する人を亡くした人へ(現代書林)をお渡ししました。この本を書いたのはもう15年も前ですが、その頃には「グリーフケア」という言葉を知る人はほとんどいませんでした。それが今では、こんな立派な映画まで作成・上映されるとは、本当に感無量であります。『愛する人を亡くした人へ』は2025年正月公開予定の映画君の忘れ方の原案でもあります。


WCについて語りました

 

それから、今年は「WC」を世に問うたことが大きかったです。「WC」とはウェルビーイング&コンパッションのことです。ウェルビーイングの話もしました。ウェルビーイングの定義は、「健康とは、単に病気や虚弱でないというだけでなく、身体的にも精神的にも社会的にも良好な状態」というものです。しかし従来、身体的健康のみが一人歩きしてきました。ところが、文明が急速に進み、社会が複雑化するにつれて、現代人は、ストレスという大問題を抱え込みました。ストレスは精神のみならず、身体にも害を与え、社会的健康をも阻みます。健康は幸福と深く関わっており、人間は健康を得ることによって、幸福になれます。わが社は、40年前から「ウェルビーイング」を経営理念に取り入れてきましたが、全互協の創立50周年記念の業界ビジョンに採用されたのは感動しました。

「コンパッション」への想いを語る

 

また、ウェルビーイングを補完する「コンパッション」という用語の中心には、互恵性(reciprocity)と具体的行動(action)という考え方があり、平たく言えば「思いやり」であり、仏教の「慈悲」「利他」、儒教の「仁」、キリスト教の「隣人愛」にも通じます。コンパッション都市とは、老いや病、死、喪失などを受けとめ支え合うコミュニティのことを指しています。そして、コンパッション企業とは、お客様のこころに寄り添って「思いやり」を示し、さらには、老いや病、死、喪失などを受けとめ支える会社です。互助共生社会の実現のために具体的行動を続けるサンレーにとって、コンパッションはドンピシャリのキーワードであると考えています。


「CSHW」のハートフル・サイクルについて

 

そして、わが社はCSHWの実現を掲げています。Compassion(思いやり)⇒Smile(笑顔)⇒Happy(幸せ)⇒Well-being(持続的幸福)「ハートフル・サイクル」です。Well-being(持続的幸福)を感じている人は、Compassion(思いやり)をまわりの人に提供・拡大していくことができます。すなわち、ハートフル・サイクルはそこで回り続けるのではなく、周囲を巻き込みながら拡大し「思いやり」を社会に拡散をしていくサイクルなのです。このハートフル・サイクルが社会に浸透した状態が「ハートフル・ソサエティであり、「心ゆたかな社会」であり、「互助共生社会」です。サンレーは、その起点となるべく「CSHW」ハートフル・サイクルを回してまいります。

来年のキーワードは「R&R」

 

さらに来年は、ロマンティック・デスリメンバー・フェスというコンセプトを提案します。「ロマンティック・デス」というのは「月への送魂」のコンセプトですが、じつは今から38年前の1991年10月に上梓した拙著のタイトルであります。サブタイトルは「月と死のセレモニー」でした。「ロマンティック・デス」は、「死」を陽にとらえます。わたしは、月は死者の霊魂が赴く死後の世界であると考えています。多くの民族の神話と儀礼において、月は死、もしくは魂の再生と関わってきました。規則的に満ち欠けを繰り返す月が、死と再生のシンボルとされたことは自然です。


年頭所感は「龍」の写真で・・・

 

また、「リメンバー・フェス」とは、お盆をアップデートした言葉です。お盆はなつかしい亡き家族と再会できる年中行事ですが、都会に住んでいる人が故郷に帰省して亡き祖父母や両親と会い、久しぶりに実家の家族と語り合うイベントでもあります。そう、それは、あの世とこの世の誰もが参加できる祭りなのです。日本には「お盆」、海外には「死者の日」など先祖や亡き人を想い、供養する習慣がありますが、国や人種や宗教や老若男女といった何にもとらわれない共通の言葉として、わたしは「リメンバー・フェス」という言葉を提案。さまざまなコンセプトやキーワードを駆使して、来年も「天下布礼」に努める覚悟です!

 

2023年12月5日 一条真也