老害から老福へ 

一条真也です。
17日の早朝、松柏園ホテルの神殿で月次祭が行われました。わが社は「礼の社」を目指していますので、何よりも儀式を重んじるのです。コロナ禍も落ち着いてきたので、この日はついにマスクなしで神事を行いました。

神事の最初は一同礼!

月次祭のようす


ついにマスクなしで神事を・・・

 

皇産霊神社の瀬津神職によって神事が執り行われましたが、この日も祭主であるサンレーグループ佐久間進会長が不在でしたので、代わりにわたしが玉串奉奠を行いました。一同、会社の発展と社員の健康・幸福、それに新型コロナウイルスの感染拡大が終息することを祈念しました。

玉串奉奠しました

心をこめて拝礼しました

東専務に合わせて拝礼

 

この日は、わたしに続いて東専務が玉串奉奠をしました。東専務と一緒に参加者たちも二礼二拍手一礼しました。その拝礼は素晴らしく美しいものでした。わが社が「礼の社」であることを実感しました。儀式での拝礼のように「かたち」を合わせると「こころ」が1つになります!

「天道塾」の開催前のようす

最初は、もちろん一同礼!

マスク姿で登壇しました

マスクを外しました

 

神事後は恒例の「天道塾」です。
この日も佐久間会長が欠席でしたので、最初にわたしがオレンジの不織布マスク姿で登壇し、開塾の挨拶をしました。わたしは、「おはようございます! 気温も下がり、ずいぶん秋めいてきましたね。来月はいよいよ、わが社の創立57周年記念式典があります。わが社は有縁社会の再生を目指して、さまざまな社会活動に取り組んでいますが、10月12日、天道館での『笑いの会』が100回目を迎えました」と言いました。


第100回「笑いの会」について

 

その日、天道館を訪れたわたしは、主催者を代表して挨拶しました。わたしは、「みなさん、おはようございます!」と大きな声で挨拶し、「今日は特別な日です。2014年11月13日に第一回が開催された『笑いの会』が、おかげさまで記念すべき100回目を迎えることができました。この素晴らしい瞬間を皆様と共有できることを、心から嬉しく思います」と言いました。わたしは「この会は、『人は老いるほど豊かになる』という『老福』の考えのもとに始まりました。小ノ上マン太朗先生をはじめ、皆様の支えがあってこそ、コロナ禍も乗り越えて100回という道のりを歩むことができました。2020年には『北九州市健康づくり活動表彰』において優秀賞にも選ばれました。本当にありがたいことです。今日の100回記念イベントでは、楽しい時間を過ごし、新しい思い出を作り、更なる素晴らしい未来に向けてエネルギーを充電しましょう!」と述べました。

マスクの下は笑顔です!

それから、オレンジ色の不織布マスクを外すとき、「マスクの下は・・・・・・笑顔です!」と言って、満面の笑みを見せたところ、大歓声に包まれました。やった、つかみはOK牧場!!(笑)続いて、わたしは「わたしは、多くの著書で『人は老いるほど豊かになる』と訴えてきました。わたしも今年で60歳になりました。還暦を迎えたわけですが、みなさんから見れば、まだまだ若造かもしれません。あと何年生きられるかわかりませんが、笑いながら楽しく生きていきたいと願っています。これからも、みなさんと共に素晴らしい瞬間を分かち合い、成長していけることを楽しみにしています。それでは、100回記念のイベントを心から楽しんでいきましょう。本日は誠にありがとうございました!」と述べたのでした。

小ノ上マン太朗氏を表彰


熱心に聴く人びと

 

その後、「笑いの会」の活動に多大な貢献をしていただいた「博多笑い塾」塾長である小ノ上マン太朗氏に表彰状を贈らせていただきました。記念品と明日発売の『年長者の作法』も添えさせていただきました。マン太朗氏が塾長を務める「博多笑い塾」とは、日本初の「笑い」のNPO法人です。福岡を拠点に、笑いの健康をテーマとして、笑いの医学的効用についての研究や実践を通した活動を行っています。素晴らしい活動だと深く敬意を表します。表彰式授与の後は、小ノ上マン太朗、太丸ばあちゃん、涼風歌萌、吉田シュンシュン、山本譲一といった方々によって会場は爆笑の渦に巻き込まれました。

「笑い」とウェルビーイングについて

 

「笑い」は持続的幸福としてのウェルビーイングにとって非常に重要です。拙著『ウェルビーイング?』(オリーブの木)にも書きましたが、わが社は40年前から「幸せ」の追求に取り組んできましたが、「笑い」が大きな役割を果たしました。わが社は「落語の会」や「笑いの会」の開催を通して、笑いによる縁としての「笑縁」作りに励んできたのです。


最新刊を紹介

 

続いて、『年長者の作法』について話しました。
今年、わたしは60歳の誕生日を迎えました。世間では、伝説の名俳優・嵐寛寿郎をもじって「アラカン」と言います。「カン」は「還暦」のカンでもあります。ついに還暦を迎えたわたしは、年長者の仲間入りをしました。ここ数年は、コロナ禍のせいで誕生日を祝ってもらえなかった人も多いでしょう。誕生日を祝うとは、「あなたがこの世に生まれたことは正しいですよ」と、その人の存在を全面的に肯定することだと思います。人間関係を良くする最高の方法です。ちなみに、わたしは、誕生日が来るたびに『論語』を読み返しています。

「礼」や「作法」が人生を豊かにする!

 

わたしは冠婚葬祭業の会社を経営しながら、人間尊重の精神である「礼」や、それを形にした「作法」を重んじています。小笠原流の礼法家としても活動しています。これまで多くの年長者の方々と出会い、学びを得てきました。その経験からも、この先の人生を豊かにするためには、「礼」や「作法」が必要であると痛感します。一方で、世間では「老害」などという言葉が使われています。人は老いるほど豊かになる「老福」をめざすべき、というわたしの考え方とは相容れません。社会はもちろん、年長者自身も老いを前向きにとらえることができなくなっています。

長寿祝いとお葬式への参列について


熱心に聴く人びと

 

年長者の作法』の冒頭には、「長寿祝いとお葬式への参列が『老害』を遠ざける第一歩」という一章を設けました。世間・社会で迷惑なふるまいをする高齢者を「老害」と呼びますが、往々にしてそう思われるような行為をする当事者には「自制すべきだ」という認識はありません。自らの老いの現実を受け入れることができないことが、原因のひとつといえると思います。つまり「老害」を起こしにくくするには、「老い」をポジティブに受け入れることで、老いの現実を受け入れやすくすることが重要です。日本の神道は、「老い」を人が神に近づく状態ととらえます。その考えのもとに長寿祝いを行うこと、知り合いの葬儀にはなるべく参列すること。この2つが自然に「老い」と「死」を受け容れて、「老福」人生を実現します。


佐久間会長の米寿祝いについて

この父子の笑顔を見よ!

 

わたしは、年長者が穏やかに、かつ毅然と生きる道を示すべく、同書を書きました。わたしにとって、理想の年長者は、父である佐久間進会長です。その佐久間会長の「米寿祝い」についても話しました。米寿を迎えて、黄金の冠とちゃんちゃんこを着た佐久間会長はとても嬉しそうでした。長寿祝いは、高齢者が厳しい生物的競争を勝ち抜いてきた人生の勝利者であることを示し、「人は老いるほど豊かになる」ということをくっきりとした形で見せてくれます。長寿祝いとは、大いなる人生の祝勝会です。
そして、冠婚葬祭は、人生の四季を愛でる儀式です!

映画「グリーフケアの時代に」を紹介



それから、ブログ「グリーフケアの時代に」で紹介した12月1日から公開されるドキュメンタリー映画を紹介しました。出演者ですが、島田理絵(訪問看護師・グリーフ専門士)、本郷由美子(グリーフパートナー歩み代表)、島薗進上智大学グリーフケア研究所  元所長)、金田諦應(通大寺住職 カフェ・デ・モンク代表)、阿部淑子(訪問看護師)、三井祐子(癌サバイバー・自死遺族)、岡村毅(精神科医)、井手敏郎(日本グリーフケア協会代表理事)、須賀ゆりえ(看護師・グリーフ専門士)といった面々で、日本を代表するグリーフケアの達人たちが一堂に集結した印象です。ちなみに、わたしも出演しています。



その他、ブログ「福田村事件」ブログ「とべない風船」ブログ「アンダーカレント」ブログ「アナログ」などで紹介した日本映画を紹介し、その解説を行いました。いずれも、グリーフに深く関連する作品ですが、最後の「アナログ」だけは恋愛映画です。二宮和也演じる主人公には2人の親友がいました。この2人がまたすごくいい奴です。「母ひとり子ひとり」だった悟の母親が亡くなったときも、通夜・葬儀が終わるまでずっと一緒にいてあげます。また、この映画は人の縁というものの不思議さと素晴らしさを教えてくれます。入院中の主人公の母は息子に好きな女性ができたことを悟り、「その人と結婚しなさい。そして、日が暮れるまで語り合いなさい」と言います。この言葉に、わたしは非常に感動しました。


素晴らしき哉、冠婚葬祭!

 

最後に、最近感動した結婚式のショート動画を数本紹介しました。死期の迫った父親と一緒に歩くバージンロード、結婚披露宴の1週間前に天国に旅立った新婦の祖父からのビデオメッセージには誰もが涙腺崩壊します。「愛」と「死」は人間にとって最大のテーマですが、その2つが交差するとき、陰陽合体の奇跡の化学反応が起こって、こころに最大級の感動が生まれます。最後に、「目に見えない縁と絆を目に見せるものが冠婚葬祭です。素晴らしき哉、冠婚葬祭! この素晴らしい仕事に誇りをもって、有縁社会の再生に努めましょう!」と言ってから降壇しました。この後、北九州空港へ。まずは東京へ飛んで、それから金沢へ出張します。「天下布礼」に休みなし!


最後は、もちろん一同礼!

 

2023年10月17日 一条真也