『60歳からはやりたい放題[実践編]』

60歳からはやりたい放題[実践編] (扶桑社新書)

 

一条真也です。
『60歳からはやりたい放題[実践編]』和田秀樹著(扶桑社新書)を読みました。ブログ『60歳からはやりたい放題』扶桑社新書)で紹介した本の続編です。ジャスト60歳の還暦者であるわたしには貴重な情報満載でした。著者は、1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒。東京大学医学部付属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、現在は精神 科医。国際医療福祉大学教授。ヒデキ・ワダ・インスティテュート代表。一橋大学国際公共政策大学院特任教授。川崎幸病院精神科顧問。著書多数。

本書の帯

 

本書の帯には、「これさえやれば大満足人生!」と大書され、「肉を食え!」「健康診断を受けるな!」「遺産を遺すな!」「若作りをしよう!」「前向きで毎日が楽しくなる60の具体策」「ベストセラー『60歳からはやりたい放題』の進化版!」と書かれています。帯の裏には、「60歳以降の不安が解消!」「残りの人生を幸せに生きるには?」とあります。

本書の帯の裏

 

本書の「目次」は、以下の通りです。
「はじめに」
第1章 我慢しない食事こそ、健康の源
第2章 医者や健康診断に騙されるな
第3章 若作りで老化を食い止めよう
第4章 好きな趣味に没頭して前頭葉を刺激すべき
第5章 やりたい仕事を気楽に楽しむ
第6章 お金を使いまくって幸せに
第7章 他人を気にせず自分の人生を生きる!

 

「はじめに」では、日本人は不安を感じやすい国民性のため、「こういう病気になったら困るから節制しよう」「老後、金銭的に困ったら嫌だから節約しよう」などという懸念から、自分が本当にやりたいことにブレーキをかけてしまいがちであるとして、著者は「『認知症やがんなど病気の恐怖』や『老後2000万円問題』など、シニア世代の恐怖を煽る情報ばかりが蔓延するメディアの風潮も、その傾向に拍車をかけています。それゆえ、『急にやりたい放題にしろと言われても、老後のことを考えるととても無理だ』と思う方も多いかもしれません。ただ、長年にわたって老年精神医学に携わり、医者として数多くの高齢者を診察してきた身からすれば、『老いを過剰に恐れず、人生を楽しむ姿勢を持ち続ける人こそが、健康的で、かつ幸せに生きている』と強く確信をしています」と述べています。



第1章「我慢しない食事こそ、健康の源」のコツ1「週に1回は気持ちがワクワクする大好物を食べよう」では、30年以上にわたって高齢者を専門とする医師として、さまざまな患者と触れ合った末に著者が思うのは、60歳以降を幸せに生きられるかどうかは「老いとどのように向き合い、付き合っていくか」だといいます。そして、老いと向き合う中で、最も重要な要素は「食」であるとして、著者は「年を取ると食が細くなり、食べることをおざなりにする人も少なくありません。ですが、食べ物をおろそかにすると、その後の人生の質(Quality Of Life:QOL)が大きく低下してしまいます」と述べます。



「食生活の我慢がもたらす免疫機能の低下」では、日本人の死因は、1位ががん、2位が心疾患であることが紹介されます。一生のうちに、がんだと宣告される確率は、男性が65.5%で、女性は51.2%です。つまり、日本人の2人に1人以上は、人生で一度はがんだと宣告される時代なのです。著者は、「がんは老化現象の一部なので、長く生きていけば誰かしらどこかが、がん化することは避けられません。ただ、免疫機能を高めることで、それを遅らせることができます。だからこそ、私たちが注意するべきは『いかに免疫機能を落とさずにキープして、がんを予防するか』です」と述べています。



実際、健康を気にし過ぎて、高カロリーなものを控え、味の薄いものばかり食べていると、食事にワクワクできません。すると、脳にとって、食事が「楽しい行為」だと思えなくなってしまうとして、著者は「60歳以降は、とにかく『脳を喜ばせること』が大切なので、おいしいものを食べて楽しむほうが理に適っています。いま、『食べたい』とあなたの頭に浮かんだものを食べることは、脳へ良い刺激になります。ぜひ、好物を最低でも週1回は食べて、脳を喜ばせる時間をつくってあげてください」と述べます。



コツ2「『塩分』は控え過ぎなくていい」では、塩分は人が活動をする上では、欠かせない存在であることが指摘されます。塩分に含まれるナトリウムは、神経の伝達や筋肉の収縮、体内の水分バランスや細胞の浸透圧の調整などの役割を担っているため、不足すると疲労感や食欲低下といった現象につながりかねません。さらに怖いのが、意識の混濁を招くことだそうです。体内のナトリウムを一定に保つ役目を担うのは腎臓ですが、年齢を重ねると腎臓の動きが弱り、ナトリウムを過剰に体外へと排出してしまい、血中のナトリウム濃度を下げ過ぎてしまうことがあるとして、著者は「すると、起きてしまうのが、頭がぼんやりする意識障害や、疲労感、頭痛などの症状。道を歩いている途中、意識が遠のき、気が付いたら道に座り込んでしまったり、そのまま意識を失って、転倒して骨折したりするリスクもあります」と述べています。



コツ3「毎食ご飯一杯は食べて糖分を摂取」では、炭水化物に含まれる糖分は頭や体を動かすのに必須のエネルギーであることが指摘されます。特に、脳は、炭水化物に含まれるブドウ糖を唯一のエネルギー源としているため、炭水化物をしっかり摂らないと頭に十分な栄養素が行き渡らず、低血糖になって、頭がぼーっとしてしまいます。著者は、「頭がよく働かなければ、脳は活力を失って行動力が失われるし、日々の幸福感も下がります。そして、幸福感が下がれば、ストレスがたまり、免疫機能も下がる・・・・・・という負の悪循環にハマっていきます。



毎食、主食を減らすとしても、ご飯だと1杯分、食パンだと1枚、麺類だと1人前分くらいは食べるほうが、体には良いそうです。「糖分を摂取して認知症を予防」では、糖は認知症予防にも効果があると訴え、著者は「事実、高齢者専門の総合病院である浴風会病院に勤務していた頃、病院内では『糖尿病の人はアルツハイマー認知症にならない』という共通認識がありました。実際に糖尿病の患者さんの多くは、年齢から考えると格段に頭もしっかりしていて、受け答えもはっきりしているという印象でした」と述べるのでした。



コツ4「コレステロールを目の敵にしない」の「コレステロールは“幸せホルモン”の運び屋」では、意外と知らない人が多いのですが、実はコレステロールは、体にとって邪魔者どころか、欠かせない存在であると指摘します。まず、コレステロールは男性ホルモンの材料になるため、活力を維持したい人には必須の栄養素だといいます。特に男性は、男性ホルモンが不足すると、一気に老化が加速するとして、著者は「60代以降は、同じ年でも見た目や性格にびっくりするほどの個人差が出ますが、コレステロール不足による男性ホルモン不足が大きく影響するでしょう。見た目も行動も『しょぼくれた高齢男性』になりたくないと思うのであれば、コレステロールを避けるべきではありません」と述べています。



コレステロールは、免疫細胞の材料になる上、“幸せホルモン”と言われるセロトニンを脳へ運ぶ役割があります。血液中のコレステロールが不足すると、脳内セロトニンが減り、気持ちの落ち込みなどの症状を引き起こすと考えられるとして、著者は「私自身、精神科医として数多くのうつ病の患者さんを診断してきましたが、コレステロール値が高い人のほうが、うつ病からの回復は圧倒的に早いです。コレステロールを我慢してストレスを感じるよりは、多少のコレステロールは気にせずに、食べたいものを思い切り食べるほうが、健康に生きられる体づくりができるはずです」と述べます。



コツ5「何より大切なたんぱく質は『体重×1.5g』の摂取を目安に」では、60代以降が毎日必ず摂取してほしい栄養素がたんぱく質であると指摘。たんぱく質は、筋肉はもちろん、内臓や骨、歯、肌などの原料になります。たんぱく質が不足すると、内臓の機能がどんどん衰えていくし、筋肉や骨も弱ってしまうし、肌もハリを失い、一気に老けた印象を与えます。その他、たんぱく質は免疫機能を維持する物質の材料になるので、不足すると免疫機能が衰えてしまいます。著者は、「年を取ると風邪をこじらせて、肺炎などを起こして亡くなる高齢者が多いのは、たんぱく質の不足で免疫機能を弱らせてしまうのも一因です」と述べています。



世界で最初に平均寿命が50歳を超えたのは、世界でも肉食と乳製品の消費量が多いことで知られるオーストラリアとニュージーランドでした。その後、20世紀の初めにアメリカやヨーロッパなどの肉や乳製品を食べる文化が根付いた国々の平均寿命が50歳を超えます。さらにその50年後となる戦後、日本人もたんぱく質をたくさん摂るようになり、ようやく日本人の平均寿命が50歳を超えました。長生きするためには、たんぱく質の摂取が欠かせないのです。



コツ6「毎日、一食は『肉』を食べましょう」では、数あるたんぱく質の中でも、肉は男性ホルモンを活発化し、人を行動的にする働きがあると指摘します。2022年に90歳になられた登山家として知られる三浦雄一郎さんは、その若々しさや活力の多さで知られる人物ですが、いまだに500gのステーキをペロリと平らげるそうです。その他、99歳まで生きた作家の瀬戸内寂聴さんや105歳までご存命だった医者の日野原重明さんも大の肉好きであったことが紹介されています。



第2章「医者や健康診断に騙されるな」のコツ12「健康診断の数値を気にする必要はない」では、健康診断そのもは悪くないのですが、問題は、多くの人が健康診断の数値を過剰に気にし過ぎることだといいます。著者は、「日本では労働安全衛生法によって、会社が従業員に健康診断を受けさせる義務があるため、大半の人が年に一度は健康診断を受けています。診断を受ければ、嫌でも自分の体の数値を知らされます。そして、診断結果が異常値だった場合、正常値に戻すために、お酒をやめ、脂っこい食事を控え、運動して、薬を飲んで・・・・・・と生活習慣や食生活を見直す人が大半です。しかし、多くの人が重要視している健康診断の基準値ですが、実は当てになりません。厳しい言い方をすれば、意味のない数字ばかりです。実際、日本の健康診断は検査項目が50~60個近くありますが、科学的なエビデンスがあるものは5個程度しかありません」と述べています。これは初めて知りました。



コツ13「将来を気にし過ぎるほうが不健康」では、健康診断の正常値にこだわり過ぎだと指摘しています。逆効果になる代表例と言えば「血圧」だといいます。血圧は、140/90mmHgが一般的な上限値とされています。著者は、「世の中では高血圧は良くないとされているので、仮に141mmHgという基準値から少しだけ高い血圧が測定された場合、多くの人は少しでも数値を下げようと一生懸命になります。でも、血圧が高いと本当に健康や寿命に害を及ぼすのかというと、現代の医学では未知の部分も多いのです。むしろ、年を取ってからは、多少血圧が高いほうが健康であるとも私は思っています」と述べています。



「未来の医学に期待するのも1つの選択」では、10年、20年後には、医学がいまよりもっと進歩している可能性があることが指摘されます。iPS細胞を用いて動脈硬化が治ったり、腎臓などの内臓が代替可能になる可能性も十分にあります。著者は、「そう考えると、将来を気にし過ぎていまをストレスフルに過ごすよりは、未来の医学に期待して、食べたいものを食べ、やりたいことをする人生を選ぶことも、1つの選択ではないでしょうか」と述べます。これは、確かに一理ありますね。何より、不治の病に冒されたからといって絶望したり、自ら命を絶つようなことは絶対に避けるべきだと思いました。



コツ15「がんにおびえず心の準備をしておく」の「がんが見つかっても『治療しない』選択肢もある」では、医師の間では、「シニア世代にとっては、がんは最も幸せな病気」と言われることもあると紹介されます。若い人ががんにかかるとまだ細胞が若いので進行が速いのですが、シニア世代の場合、症状はゆっくり進むことが多いもの。そのため、治療をせずに放置していても、亡くなる直前まではさほど体力も落ちず、痛みも感じません。がんがつらい病気だと思われるのは、抗がん剤治療や手術が大変だからこそだというのです。著者は、「がんを患った場合は、突然、亡くなるわけではないので、死ぬまでの間、自分の人生でやり残したことや気になっていることを整理する時間もあります。それゆえ、患者さんの中には『つらい治療はせず、残りの日々を最大限、楽しく生きていきたい』という選択をされる方も少なくありません」と述べます。



第4章「好きな趣味に没頭して前頭葉を刺激すべき」のコツ38「友達がいなくても趣味さえあれば問題なし」では、孤独について考察されます。著者自身は、孤独は悪いものではないと思っているそうです。孤独は時間がたてば次第に慣れていきますし、人間はこの世に生まれ落ちてから死ぬまで、結局1人でしか生きられません。「友達がいなければいけない」「仲間がいないのは不安だ」という強迫観念を捨てさえすれば、周囲に仲の良い人がいなくても、意外と気楽に生きられるものだとして、著者は「仕事などのしがらみがないなら、気の合わない人と付き合って、変なストレスをためる必要などないのです」と言い切っています。



第6章「お金を使いまくって幸せに」のコツ47「お金をバンバン使って幸せに」では、「資本主義社会で幸せなのは『お金をたくさん使う人』」として、勘違いしている人が多いのですが、資本主義社会において、「お金をより多く持っている人」が幸せになれるわけではないと指摘します。それよりも「お金をより多く使った人」のほうが幸せになれるというのです。さらに、自分の楽しみにお金を使うことで、そのワクワク感から前頭葉も活性化し、老いを遅らせることにもつながります。また、お金を使って富を周囲に循環させ、自分も他人も喜ばせることができた人は、他人から好かれるわけです。



コツ52「老後資金は『夫婦2人で1400万円』が目安」では、老後のお金の問題と言えば、わたしたちの印象として残っているのが「老後2000万円問題」ですね。ただ、この「2000万円」という数字について、あまり気にする必要はないそうです。なぜなら、この数字は、2017年の高齢夫婦無職世帯の平均収入から、平均支出を差し引くと、毎月5.5万円分赤字になるため、毎月の赤字を30年間分として、総額2000万円が足りなくなるという計算を元に、導きだされた平均値に過ぎないからです。このような知識は、読者にとって非常に重要であると思います。



経済ジャーナリストの荻原博子氏と対談した際、著者は「実際に介護を経験した人がかかった費用は、1人平均600万円」という数値を知ったそうです。医療費にしても、日本には高額療養費制度があるため、仮に高額な医療を受けてもさほどお金がかからないので、費用として200万円ほど見ておけば良いとのこと。つまり、介護費用2人分で1200万円と医療費200万円分。夫婦で合計しても1400万円あれば、最低限の介護・医療用の蓄えとしては十分だそうです。さらに、家を売るなりリバースモーゲージなどを使えば貯金はそれ以下でもいいことになるのです。



第7章「他人を気にせず自分の人生を生きる!」のコツ55「人間関係で『勝ち負け』を気にしない」では、「あの大谷翔平選手を批判する『勝ち負けを気にし過ぎる人』」として、大谷選手は実力のみならず、努力家かつ謙虚なその人柄の素晴らしさが多くのメディアを通じて伝わってくると指摘。まさに誰もが認める規格外のヒーローです。ただ、誰からも愛され、尊敬されるそんな大谷選手に対しても「彼の成績はすごいが、幸運にも立派な体に恵まれただけだ」「どうせ彼は野球のことしか知らない野球ばかだ」などと、悪口を言う人もいるとして、著者は「大谷選手のような素晴らしい人に対しても悪口を言う人は、おそらく人生の勝ち負けから離れられない人なのだと思います。そうなれば、どんな人を目の前にしても批判しか出てきません」と述べています。



学歴が高い人を見たら、「あの人は偉そうにしている」。お金持ちの人を見たら、「あの人は悪いことをしてお金を儲けているはずだ」。いつでも友達に囲まれている人を見たら、「あの人は八方美人だから嫌だ」。何を見ても自分と比べてしまい、「負けている」と思ったら、何かしらの理由をつけてケチをつけたくて仕方がない。ただ、こうした人は、当然周囲からは当然、嫌われます。若い頃ならまだ「まぁ、若いから仕方ない」と許されたかもしれませんが、60代で同じことをやっていたらあきられるのは当然だとして、著者は「さらに、次から次へと優れた人が現れるたびに、常に劣等感にさいなまれるので、精神的にもつらいものがあります。ならばいっそ、すべての勝ち負けを捨てて、『この人はここがすごい』と素直に受け入れてみてはどうでしょうか。批判をやめてみるだけで、その先の人生はぐっと生きやすくなるはずです」と述べるのでした。



コツ58「『かくあるべし』という思考を手放そう」では、「なぜ怒りを感じてしまうのか」という高齢者特有の問題が取り上げられます。それは、常識的で真面目な人であればあるほどに「人とはかくあるべし」という思考が強くなってしまうからだといいます。「かくあるべし」思考が強くなると、どうしても他人にも「こうあってほしい」という気持ちが強くなるとして、著者は「『かくあるべし』という思考は長い人生の中で徐々につくられていきます。若い頃はそのしっかりとした自分を律する強い姿勢が仕事や家庭で生かされたと思うのですが、年を重ねてからの「かくあるべし」思考は周囲との摩擦の原因になりかねません。もし『自分は少し怒りっぽいタイプかもしれない』『他人に厳しい傾向がある』と感じる人は、いまからでも遅くはないので、何事も『ほどほど』という思考を身に付けてください」と述べています。



コツ60「大きな1つの喜びより、小さなたくさんの喜び」では、大切な人を失ったとき、何か受け入れられないような不幸な出来事が起こったとき、「もう駄目だ」と落ち込んでしまう気持ちは分かるとしながらも、著者は「ただ、落ち込むことで余計、自分が苦しくなってしまう。ならば、どこかで思い切りをつけて、別の楽しいことを考えるほうがいいのです」と述べます。著者は、「私の個人的な意見ですが、大きな幸せを一個持っているよりも、小さな幸せをたくさん持っている人のほうが落ち込みは少ないように思います。何か落ち込むようなことがあっても、この先の人生には数々の小さな幸せが自分を待っている。そう思うと、自然と気持ちも明るくなるのではないでしょうか」と述べるのでした。



本書には、高カロリーなものも食べていいし、塩分も糖分も摂取していいし、アルコールも飲んでもいいと書かれています。また、あまり体型にこだわらず、小太りぐらいがちょうどいいというのが著者の持論です。「これは楽でいいや!」と思ったのは、わたしだけではありますまい。しかし、健康診断は受けるな、医者から貰った薬は飲むなという類のメッセージは、「これは鵜呑みにして大丈夫かな?」と、ちょっと心配になりました。著者は医師とはいっても精神科医ですので、このへんは読者も各自でしっかり調べられた方がいいと思います。

老福論』(成甲書房)

 

しかしながら、精神科医ならではの「こころ」に関する部分は大いに共感できました。特に、脳が喜ぶこと、具体的には前頭葉に刺激を与えることの大切さを訴えている部分に感銘を受けました。わたしの場合は、読書と映画鑑賞とカラオケがそれに当たる行為だと思います。最後の「大きな1つの喜びより、小さなたくさんの喜び」の内容も全面的に賛成です。そう、拙著老福論(成甲書房)でも訴えたように、「老い」について考えることは「幸福」について考えることなのです。本書を読んで、そのことを再確認しました。

 

 

2024年5月1日 一条真也