アカデミー賞と差別

一条真也です。
ハッピー・ホワイトデー!
14日の朝、東京のホテルで目覚めました。
これから北九州に戻って、午後から松柏園ホテルで開催される北九州商工会議所の常議員会に出席します。


昨夜は、映画関係者らと第96回アカデミー賞の授賞式での出来事について意見交換しました。ブログ「限りなく透明に近いアジア」には大量のアクセスが寄せられました。問題になっているのは助演男優賞を受賞したロバート・ダウニー・ジュニアと主演女優賞を受賞したエマ・ストーンです。いずれも前年受賞者のアジア系俳優からオスカー像を受け取る際に、視線を合わせることもなく他の白人俳優らとだけ喜びを分かち合う姿が「人種差別」だとしてSNS上で批判を呼んでいます。


その後、エマ・ストーン側には動きがありました。授賞式後、彼女へのプレゼンテーターであったミシェル・ヨーはSNSでこの出来事についてコメント。ストーンとハグする写真などとともに「エマ、おめでとう!混乱させてしまったけれど、私はあなたの親友であるジェニファーとオスカーを授与されるというこの輝かしい瞬間を共有したかったのです。彼女は私の親友であるジェイミー・リー・カーティスを思い出せたから。私たちはいつもそばにいます」と投稿。エマ・ストーンジェニファー・ローレンスは仲の良いことで知られているそうです。また、ヨーとジェイミー・リー・カーティスは、ブログ「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」で紹介した昨年のアカデミー賞作品賞に輝いた映画で共演しています。

ヤフーニュースより

 

ハリウッドに絶大な影響力を持つ「ハリウッド・リポーター」誌などがこのミシェル・ヨーのコメントを紹介して、事態の収拾を図っているように思えます。確かに、授賞式でのハプニングというか、ちょっとした行き違いで、エマ・ストーンには悪意はなく、ヨーも傷ついていないのかもしれません。しかし、わたしに言わせれば、変な気遣いなどせず、ヨーはプレゼンテーターとしてストーンにきちんと1人でオスカーを手渡すべきでした。なぜなら、授賞式というのはセレモニーであり、個人の思いつきで勝手に形を変えてはならないからです。それは大きな混乱を招き(実際に招きましたが)、結果として受賞者であるエマ・ストーンのイメージも低下させました。


もう1人の話題の人物であるロバート・ダウニー・ジュニアは、誤解も何も完全にプレゼンテーターでベトナムアメリカ人のキー・ホイ・クァンを完全に無視しています。クァンはステージ上で、受賞者であるダウニーの名前を興奮気味に発表し、ダウニーがステージに向かう際には、クァンはオスカー像とダウニーの名前が書かれた封筒を手にしていました。通常、受賞者はここで像と手紙を受け取ったうえで、プレゼンターと言葉を交わしたり握手やハグなどが行われるため、クァンもそれを予想していた動きでした。しかし、ステージに上がったダウニーは、満面の笑みで近づくクアンをスルーしたのです。彼の手からオスカー像を受け取ると、共同司会者ティム・ロビンスと握手し、サム・ロックウェルグータッチをした後、アカデミー賞の封筒を手渡そうとしたクァンを再び無視して、喝采を送る観衆に向き直ると、そのままスピーチを開始。

ヤフーニュースより

 

その後、ダウニーはバックステージでクァンや他のプレゼンターたちとハグをしたり自撮りをする様子が確認されており、本人たちの間に確執はないことをアピールしています。しかし、SNS上ではステージ上でのダウニーの振る舞いが「無礼ではないか」と波紋を呼んでしまったわけです。これはもう完全にダウニーが非礼行為を働いていると思います。昨今のアカデミー賞や「ポリコレ」や「多様性」を謳っていますが、ダウニーはその流れそのものをぶち壊してしまいました。彼には、確実に差別意識というものがあるのでしょう。それでも、それを公の場で示すことはあまりにも野蛮です。わたしは、安芸高田市の石丸伸二市長が予備校時代の教師から教わったという「差別は排泄と同じ。誰でもするが、人前でしてはならない」という言葉を思い出しました。ダウニーは原爆開発者を主人公とした映画オッペンハイマー助演男優賞を受賞しましたが、わたしは、この映画の内容そのものが日本への最大の差別行為となる可能性について考えています。すべては、今月29日に日本公開される同作を観てから判断します。

 

2024年3月14日  一条真也