小倉昭和館支援のTV取材

一条真也です。
14日、金沢から小倉に戻り、リーガロイヤル小倉で開かれた第一交通産業の創業者である故黒土始様の「お別れの会」に参加。その夜は、松柏園ホテルで開かれた「新北九州を考える会」に参加しました。


取材のようす

樋口館主とお話ししました

 

翌15日の午前中、松柏園ホテルでFBS(日本テレビ系)とKBC(テレビ朝日系)のテレビ取材を受けました。ブログ「さよなら、小倉昭和館」で紹介したように昨年8月10日夜に発生した旦過市場の火事老舗映画館・小倉昭和館が焼失しましたが、多くの昭和館の想いがかなって焼失前と同じ場所で再建されることになりました。その再建のための寄付をさせていただく場面を取材したいとのことでした。小倉昭和館の樋口智巳館主もご一緒でした。

取材のようす


わたしの映画への想いを語りました

 

取材では、「佐久間社長の映画への想いは?」という質問がありました。わたしは、以下のようにお答えしました。わたしは映画が大好きです。映画を観れば別の人生を生きることができますし、世界中のどんな場所にだって、いや宇宙にだって行くことができます。さらには、映画を観れば、死を乗り越えることだってできます。古代の宗教儀式は洞窟の中で生まれたという説がありますが、洞窟も映画館も暗闇の世界です。そして、映画館という洞窟の内部において、わたしたちは臨死体験をするように思います。なぜなら、映画館の中で闇を見るのではなく、わたしたち自身が闇の中からスクリーンに映し出される光を見るからです。闇とは「死」の世界であり、光とは「生」の世界です。つまり、闇から光を見るというのは、死者が生者の世界を覗き見るという行為にほかならないと思っています。


映画化される自著を紹介

 

また、わたしのブログでは、これまで725の映画を紹介しています。加えて『死を乗り越える映画ガイド』『『心ゆたかな映画』(ともに現代書林)という2冊の著書も出版しています。それぞれ50本、100本の厳選された作品についての「映画レビュー」を掲載しています。また2015年の夏には、「映画で学ぶ人生の修め方」をテーマに、小倉昭和館で、生まれてはじめてシネマトークを行いました。樋口館主からシネマトークの趣旨や、わたしのご紹介をいただきました。大変光栄に感じるとともに、わしにとっても忘れ得ぬ想い出となっております。

いろいろインタビューされました

心ゆたかな映画』(現代書林)

 

心ゆたかな映画』は2022年11月に出版されたのですが、この校正作業を行っていた8月10日の夜、小倉昭和館の焼失のニュースが飛び込んできたのです。茫然自失となりました。わたしの人生において映画の存在は限りなく大きいですが、そんなわたしを作り上げたのは他でもない小倉昭和館だと思っているからです。同書では急きょ、「あとがきに代えて『ありがとう小倉昭和館』」というタイトルで、小倉昭和館への想い、そして樋口館主への感謝のメッセージを記しました。


小倉昭和館への想いを述べました

 

取材では、「佐久間社長と小倉昭和館の関係は?」との質問もありました。小倉昭和館には若い頃から大変お世話になってきました。2館並んでいて、それぞれ2本立て。洋画・邦画、そしてヨーロッパ・アジアのミニシアター系作品が上映されていました。東京や博多でしか観れなかった珠玉の名作を鑑賞できることは本当に有難かったです。小倉昭和館さんは「風と共に去りぬ」もリアルタイムで上映したそうです。じつは、わたしが初めて観た長編の洋画が「風と共に去りぬ」なのです。テレビの「水曜ロードショー」で観ました。ヴィヴィアン・リーの吹き替えを栗原小巻さんが担当しましたが、ラストシーンの「明日に希望を託して」というセリフが子ども心に深く残りました。

寄付をさせていただきました

 

2016年に小倉昭和館さんが創業77周年を迎えたとき、わたしはその祝賀会に参加し、栗原小巻さんにお会いしました。わたしは、栗原さんに少年時代の感動のお礼を申し上げました。栗原さんは、とても喜んで下さいました。小倉昭和館には、そんな思い出もあります。1939年は映画史における奇跡の年でした。西部劇の最高傑作「駅馬車」、ラブロマンスの最高傑作「風と共に去りぬ」、そしてミュージカルおよびファンタジー映画の最高傑作「オズの魔法使」の3本が誕生したからです。そしてこの年、誕生したのが小倉昭和館なのです。小倉が誇った名画座は、偉大な世界の三大名作と同じ年に生まれていたのです。映画を愛する映画館にふさわしい偶然と言えるでしょうが・・・火災のニュースに触れると同時期に、この事実に気づいて、また泣けてきたのを思い出します。


12月のオープンを楽しみにしています!


これからも応援しています!

 

「今回、寄付をしようと思った理由は?」という質問もありました。小倉昭和館さんが綿々と築かれてきた「映画文化の灯を消してはいけない」という想いからです。それは「北九州を文化の砂漠にしてはならない」という想いでもあります。じつはシネコンが充実している北九州市は人口一人あたりの映画館数が日本一という説もある「映画都市」です。でも、弊社もシネアドを提供していますが、映画を観る場所がシネコンだけでは味気ない。小倉昭和館のようなミニシアター系の名作が常に上映されている名画座の存在が欠かせません。名画座があってこそ、真の「映画都市」と呼べるのではないでしょうか。そんな想いから気持ちばかりの金額ですが、寄付をさせていただくことにしました。あくまでも今回をきっかけとして、弊社としては継続的に支援をしていく予定です。樋口館主の夢の続き(エンドロールの続き)に、伴走することができればと思っています。取材後は、テレビ局の方も交えて樋口館主と松柏園でランチしました。


ランチしながら映画愛を語る!

映画の話になると笑顔になります!

2023年6月15日  一条真也