東京五輪中止の鐘を鳴らすのは誰か?

一条真也です。
昨日から、ネットで「東京五輪中止」の話題が盛り上がっています。ヤフー・ニュースにも「東京五輪中止の可能性、米紙報道 コロナ影響で開催見通し厳しく」という共同通信の記事が掲載されていました。

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ヤフー・ニュースより 

 

記事には以下のように書かれていました。
「【ニューヨーク共同】米有力紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は15日、新型コロナウイルスの影響で今夏の東京五輪の開催見通しが日々厳しさを増しており、第2次大戦後、初の五輪開催中止に追い込まれる可能性があると伝えた。同紙は、日本と米国、欧州主要国で感染拡大が続き、国際オリンピック委員会(IOC)らの間で、安全な五輪開催は不可能との声が出始めたと指摘。ディック・パウンドIOC委員(カナダ)が開催に『確信が持てない』と述べたことなどを挙げた。開催される場合、選手や関係者らが従来にない不自由さを強いられるとの見通しを示した」



また、東京新聞が16日23時55分に配信した「東京五輪『どちらに転ぶかわからない』河野氏の発言が波紋 欧米メディア、中止の可能性次々伝える」には、「【ジュネーブ=共同】新型コロナウイルスの感染拡大を受け、河野太郎行政改革担当相が日本の閣僚で初めて東京五輪パラリンピック開催中止の可能性に言及したと海外メディアが報じた。ロイター通信が河野氏の『(無観客の可能性を含めて)五輪に備えて最善を尽くす必要があるが、どちらに転ぶかは分からない』との発言を紹介」と書かれています。



フランス紙フィガロも「日本の閣僚、五輪が開催されない可能性に言及」と伝え、スポーツ専門放送局ユーロスポーツ(ともに電子版)は「日本の大臣が『どんなことも起こり得る』と認めた」と報道しました。15日にはニューヨーク・タイムズとともに米ブルームバーグ通信(ともに電子版)が第2次大戦後で初の中止に追い込まれる可能性があると悲観的な論調で伝え、開催を危ぶむ声が相次ぎました。

 

ブルームバーグ通信は(1)ワクチン接種が始まっても感染が猛威を振るっている(2)緊急事態宣言が出た日本での感染率が依然として高い(3)世論調査での開催支持率の低下―の3点を理由に「安全に開催できるか疑問を投げ掛けている」としています。もはや1ミリも東京五輪開催の可能性などないわけですが、どうして、その明確な事実から菅首相小池都知事も目を逸らすのか? 本当に日本国民や東京都民のことを考えているのか? 日本の閣僚で初めて、「東京五輪中止」の可能性を口にした河野大臣はさすがです!



わたしは、これまでも「東京五輪中止」をブログで訴えてきました。そもそも、緊急事態宣言が出ている東京で、半年後にオリンピックを開催するなどといった馬鹿げた思い込みはもはや「トンデモ」の領域に入っています。オリンピックはクーベルタンが提唱した崇高な理念など忘れ去られて、すでにアメリカのTV局の放映権料を当てにするIOCの商売に成り下がっています。IOCのバッハ会長は悪徳プロモーターと変わりません。真夏にマラソン競技を開催するというクレイジーな日程も、すべてはアメリカのTV局の都合です。要するに、五輪とはアメリカ主導のスポーツ・イベントなのですが、そのアメリカが新型コロナで未曾有の国難の中にあり、五輪どころではありません。


東京五輪が中止になれば、大手広告代理店やTV局が壊滅的なダメージを受けるなどとも言われていますが、そんなこと日本国民には関係ありません。代理店やTV局など潰れたって仕方ないではないですか! だいたい、わが冠婚葬祭業界はコロナで「業難」ともいえる壊滅的ダメージを受けています。それでも、各社は必死に頑張っていますよ。成人式や結婚式が行われず、さらには葬儀さえも行いにくくなってきているのに、どうしてオリンピックなどという「最もパンデミックにふさわしくないイベント」を開催しなければいけないのですか?(怒)海外から変異ウイルスの持ち主が大量に来日して、日本がウイルスのダムになる可能性が高いではありませんか!(怒) 
さらに言えば、一部の国との「ビジネス往来」も早い時期に全面停止すべきでした。これまでのビジネス優先政策のツケは誰が払うのですか? (怒)

 

「オリンピックは平和の祭典」などと戯言をほざくもいますが、現在の商業主義にどっぷり浸った五輪など平和の祭典でも何でもありません。どうしても「平和」を持ち出すのならば、ブログ「最高の平和」で述べたように、結婚こそは最高の平和であり、五輪などよりも一件の結婚式の方がずっと平和的です。日本各地では、医療崩壊が起きようとしています。例えれば、今の日本で五輪を開催するというのは、病院にも通えず、給食代も払えない貧しい家庭に育っている小学生が、「ちびまる子ちゃん」に出てくる花輪君みたいな大金持ちが行う豪勢なホーム・パーティーを開くようなものではないでしょうか? 「おめでたい」を通り越して「クレイジー」な行為であり、そんな金があったら病院代(医療関係の支援)や給食代(飲食業界の支援)に回すべきです!



日本各地で感染が広がる中、今月12日に東京オリンピックパラリンピック組織委員会の森会長が職員への年頭挨拶を行い、オリンピック開催への意気込みを語りました。森会長は、あくまでも7月の東京オリンピックパラリンピックの開催を目指し、「(記者に)『それでも五輪やるんですか?』『何か五輪を中止するか、延期するか方向決めたんですか?』と言われる。私は“なんで今そんなものを考えなきゃならんのか”」と言い放ちました。でも、少しは不安もあったようで、「実は内心は、“やっぱり、もしかしたら”という気持ちがないわけじゃない。ないが、ここで我々が“ためらったり”“ひるんだり”“ちゅうちょ”したり、これだけは絶対したらいかん」とも述べました。うーん、首相にまで昇りつめただけのことはあって、徹底したポジティブ・シンキングですね!


森会長は、社会現象を起こした「鬼滅の刃」の主人公である竈門炭治郎のセリフのように「俺はやれる! 絶対にやれる! 俺はやれる男だ!」「人は心が原動力だから」と考えておられるのでしょうか? 炭治郎の心構えは素晴らしいですが、有害なポジティブ・シンキングはいただけませんね。それでは、アメリカの民主主義を殺したドナルド・トランプと同じではありませんか! また、五輪のような公共イベントの開催を自身の「人生の花道」にしようという考えも完全に間違っています。日本国民の運命を自身の自己実現と終活の道連れにすることは絶対に許されません。



16日、歌手の和田アキ子さんがナリティーを務めるニッポン放送「ゴッドアフタヌーン アッコのいいかげんに1000回」(土曜・午前11時)に生出演しました。和田さんは、緊急事態宣言で飲食店などが危機的状況になっていることを心配し、「それなのにまだ五輪をはっきり中止って決めない」と指摘。その上で東京五輪組織委の森喜朗会長が昨年3月30日に会見で東京五輪の開催に「神頼みみたいなところはあるが、そうした気持ちが必ず通じていくと思う」との発言を引き合いに出して、「森さんも神頼みみたいなことおっしゃっていたけど、そんな祭典を神頼みにしちゃいけないでしょ。ゲタひっくり返して天気調べているようなもんでしょ」と語りました。

f:id:shins2m:20210117194317j:plain祭典を神頼みにしちゃいけない!

 

森会長は以前、「日本は神の国」と発言して物議を醸しました。しかし、わたしは失言とも何とも思いませんでした。日本人の「こころ」の主柱は神道であるのは間違っていないからです。まあ、誤解を招かないためには、八百万の神々を意識して「神の国」ではなく「神々の国」と表現すべきでしたが。しかし、今回の「神頼み」発言はいただけませんね。さらに和田さんは、東京五輪を「やっても地獄、やらなくても地獄だけど、この時期だからコロナに打ち勝つんじゃなくて、本当に打ち勝つんだったら私個人の意見ですけど」とした上で、五輪の開催費用を「コロナの病院を建てるとか、医療従事者に即金で1人10万円ずつ、何とかお願いしますとか。辞められて今現場で働いていない方に本当にお手伝いしていただいて」とコロナ対策に充てるべきとの持論を展開しました。いやあ、和田さんの発言はまったくの正論です!



東京五輪中止はTV局の経営に甚大なダメージを及ぼすので芸能人としてはタブーに近い発言ですが、和田さんはラジオでよくぞ言ってくれました。わたしは、ゴッド姉ちゃんを見直しました。まさに、「義を見てせざるは勇なきなり」です。こんなときこそ、名曲「あの鐘を鳴らすのはあなた」を聴きたくなります。
この曲こそ、新型コロナウイルスの終息を願う人類にとっての希望の歌だと思いますが、「東京五輪中止の鐘を鳴らす」のは誰なのでしょうか?

 

2021年1月17日 一条真也