「月刊 終活」インタビュー取材 

一条真也です。
5日、松柏園ホテルの貴賓室で雑誌の取材を受けました。「月刊  終活」のトップ・インタビューです。同誌は以前、「月刊  仏事」という誌名でした。わたしも何度もインタビュー取材を受けています。同誌を刊行する鎌倉新書の4名の方々が東京から小倉にお越しになられました。


最初に名刺交換をしました


本日の取材のようす

 

今回の取材は、このたびわたしが一般財団法人  冠婚葬祭文化振興財団の理事長に就任したことについての質問が中心でした。いくつかの質問を受け、お答えしました。最初の質問は、「今回の一般財団法人  冠婚葬祭文化振興財団の理事長ご就任の経緯についてお聞かせくださいませ」でした。わたしは、以下のようにお答えしました。
「これまで、わたしは同財団の副理事長を6年間務めてきましたが、今年8月8日の評議員会で新理事長になることが決定し、理事のみなさんの書面で最終決定となりました。一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)と財団の理事の顔ぶれはほとんど同じですので、8月21日に北海道の函館市で開催された全互協総会で理事長主任のご挨拶をさせていただきました。挨拶の中で「日本には茶の湯・生け花・能・歌舞伎・相撲・武道など、さまざまな伝統文化がございます。しかしながら、わたしは冠婚葬祭こそ文化の中の文化、『文化の核』であると思っております。冠婚葬祭文化の振興という仕事を天命ととらえ、全身全霊、命をかけて取り組む所存です」と述べました。


財団の理念や歴史について説明しました

 

次に、「冠婚葬祭文化振興財団の設立理念やこれまでの歴史について、あらためてお聞かせくださいませ」と言われました。わたしは以下のようにお答えしました。一般財団法人  冠婚葬祭文化振興財団は、人の一生に関わる儀礼である冠婚葬祭に代表される様々な人生儀礼の文化を振興し、次世代に引き継いで行くための事業を行い、わが国の伝統文化の向上、発展に寄与することを目的として、2016(平成28)年に設立されました。本財団では、古来より続く冠婚葬祭文化を見直し、振興し、次世代に引き継いでいくべく、助成金の交付、儀式等への支援、講座の開催、顕彰などの支援事業を行っております。本財団が実施しております具体的な事業は、資格制度事業・儀礼儀式文化振興事業・社会貢献基金事業・冠婚葬祭総合研究所事業を主とした4つの事業となります」


今後の財団運営について話しました

 

次に、「冠婚葬祭文化振興財団の新しい理事長として、同財団のこれまでの歴史をどう引継ぎ、どの様に変えようとお考えなのか、お聞かせくださいませ」と言われました。わたしは以下のようにお答えしました。
「今後も本財団は、全互協と連絡を密に協力して、互助会業界の環境の整備に貢献していきたいと考えていますが、設立より8年目を迎えるに当たり、本財団としての独自性を出していくために、本年度より新たに立ち上げた儀式委員会と資格委員会を中心に財団事業を推進してまいります。儀式委員会では冠婚葬祭講座のプログラムを推進し、日本最大級の冠婚葬祭サイト「sikisaisai」による一般の生活者への発信を行っています。また、冠婚葬祭産学連携事業として、大学との公開講座、寄付講座を設けております」

財団の事業について説明しました

 

続けて、わたしは「資格制度事業にはグリーフケア資格認定制度・終活コーディネーター資格認定制度・ブライダルプロデューサー資格認定制度などがありますが、消費者の皆様の安全と安心を目的として、冠婚葬祭の役務サービスについての施行レベルと技術の向上を目指し、各種の資格認定制度を一般社団法人 全日本冠婚葬祭互助協会の加盟互助会各社等を対象に運営しております。この他にも先に述べました、調査・研究、冠婚葬祭承継事業を行う団体や個人に対する助成を行う社会貢献基金事業・冠婚葬祭総合研究所事業として様々な調査研究を実施しております。これらを通じて、一般の生活者の方に冠婚葬祭や年中行事等の情報に触れる機会を増やし、冠婚葬祭や行事が日常の行動としてこれからも実施され、冠婚葬祭文化への関心が高く、文化として継承されていく状態を目指して参りたいと考えています」と述べました。


わが社のグリーフケア・サポートについて

 

わが社では、2010年から遺族の方々のグリーフケア・サポートに積極的に取り組んできました。葬儀を行ったご遺族を中心とした遺族会である「月あかりの会」の会員は現在のべ15,000人余り、その中で生まれた同じ悲嘆をもつ自助グループである「うさぎの会」には約40名の会員がおり、様々な角度から、持続的な心の安定(幸福)をサポートさせていただいています。そこでは地縁でも血縁でもない、新しい「縁」が生まれています。この悲嘆による人的ネットワークとしての新しい縁を「悲縁」と呼んでいますが、この悲縁によって相手を支えることで、自分も相手から支えられる互いのグリーフケア・サポートが生み出されています。

グリーフケア士の資格認定制度について

 

月あかりの会」のメンバーは、高齢の方が多いので、亡くなられる方もいらっしゃいますが、その際、他のメンバーはその方の葬儀に参列されることが多いです。楽しいだけの趣味の会ではなく、悲しみを共有し、語り合ってきた方たちの絆はそれだけ強いことを感じさせられます。また、副会長を務めた一般社団法人 全日本冠婚葬祭互助協会では、グリーフケアPTの座長として、グリーフケア士の資格認定制度を立ち上げました。現在、業界全体ではグリーフケアの専門家としてのグリーフケア士は1,000名を超え、またその上位資格である上級グリーフケア士も32名おりまして、グリーフケアを広め、実践していくために活躍しております。そしてこの度、理事長に就任しました一般財団法人  冠婚葬祭文化振興財団がこの制度を運営管理しています。

映画の原案書を手に

 

次に、「2025年正月には、作家・一条真也として上梓された著書『愛する人を亡くした人へ』(現代書林)を原案とした映画「君の忘れ方」が公開されます。本作への想いのみならず、こうした”文化人”としてのご活躍と、株式会社サンレー代表取締役社長としてのご活動、そして冠婚葬祭文化振興財団の理事長としてのご活動が、 佐久間庸和様の中でどのように切り分けられ、どうリンクしているのか、お聞かせくださいませ」と言われました。わたしは、以下のように答えました。
「『君の忘れ方』は、坂東龍汰さんが主演、西野七瀬さんがヒロインを務める映画です。“死別の悲しみとどう向き合うか”をテーマに、恋人を亡くした構成作家の青年が、悲嘆の状態にある人にさりげなく寄り添う『グリーフケア』と出合い、自らと向き合う姿を描くラブストーリーを描いた作品です。わたしの諸活動が『どのように切り分けられ、どうリンクしているのか』というご質問ですが、まったく無理なく繋がっていると考えています。作家・社長・理事長・また大学の客員教授・・・・・・すべてのわたしの活動は、人間尊重思想としての『礼』を広める『 天下布礼』の活動だからです」

サービス業から文化産業へ!

 

さらに、「佐久間様は、『冠婚葬祭業を単なる「サービス業」から「ケア業」へ、さらには「文化産業」へ』と提唱しておられます。このお考えについて、改めてお聞かせくださいませ」と言われました。以下のように答えました。
「ケア業とは、人間尊重思想としての『礼』を中心とする『礼業』でもあります。サンレーは『礼』の実践を生業とする礼業です。世の中には農業、林業、漁業、工業、商業といった産業がありますが、わが社の関わっている領域は礼業です。礼業とは『人間尊重業』のことです。 サンレーでは『礼』をすべての基本とし、大ミッションには『人間尊重』を掲げています。さらに、わたしは冠婚葬祭文化財団の理事長職を拝命したことを天命ととらえ、全身全霊、命をかける所存です。わたしは、冠婚葬祭業を単なる『サービス業』から『ケア業』への進化を提唱してきましたが、さらには『文化産業』としてとらえる必要があることを訴えています」


儀式とは「こころ」を安定させる「かたち」

 

文化とは何でしょうか。「日本文化」といえば、代表的なものに茶道があります。わが社の 佐久間進名誉会長が小笠原家茶道古流の会長を務めている関係で、わたしも少しだけ茶道をたしなみます。茶道といえば、茶器が大切です。茶器とは、何よりも「かたち」そのもの。水や茶は形がなく不安定です。それを容れるものが器です。水と茶は「こころ」です。「こころ」も形がなくて不安定です。ですから、「かたち」としての器に容れる必要があるのです。その「かたち」には別名があります。「儀式」です。茶道とはまさに儀式文化であり、「かたち」の文化です。人間の「こころ」は、どこの国でも、いつの時代でも不安定です。だから、安定するための「かたち」すなわち儀式が必要なのです。

「縁」を見える化するのが冠婚葬祭

 

現在の日本社会は、「無縁社会」などと呼ばれています。しかし、この世に無縁の人などいません。どんな人だって、必ず血縁や地縁があります。そして、多くの人は学校や職場や趣味などでその他にもさまざまな縁を得ていきます。この世には、最初から多くの「縁」で満ちているのです。ただ、それに多くの人々は気づかないだけなのです。「縁」という目に見えないものを実体化して見えるようにするものこそ冠婚葬祭なのです。自動車産業をはじめ、産業界には巨大な業界が多いです。その中で冠婚葬祭業の存在感は小さいです。サービス業に限定してみても、大きいとは言えません。日本郵政も、電通も、リクルートも、楽天も、セコムも、オリエンタルランドも、すべてサービス業に属します。

冠婚葬祭業界は最大の文化産業である!

 

冠婚市場は約2兆円、葬祭市場は約1兆7000億円、互助会市場は約8000億円とされていますが、サービス業と同じ第三次産業である卸売業・小売業の約540兆円に敵わないことは言うに及ばず、情報通信業の約83兆円、運輸業・郵便業の約71兆円とも比較にもなりません。「サービス業」としてとらえると小さな存在にすぎない冠婚葬祭業ですが、「文化産業」としてとらえると一気に存在感が大きくなります。日本伝統文化の市場規模を見ると、茶道が約840億円です。授業料・会費・着付け・交際費・交通費など茶道に関するすべての消費を含むと約1639億円。他の伝統文化の市場規模は、華道が約332億円、書道が約399億円、歌舞伎が約30億円(歌舞伎座の売上)、大相撲が約100億円(日本相撲協会の売上)となっています。冠婚葬祭業を冠婚葬祭という日本の伝統文化を継承する文化産業としてとらえれば、一転して最大の存在となるのです。

冠婚葬祭は「文化の核」である!

 

また、冠婚葬祭とは単なる文化の1ジャンルではありません。わたしは冠婚葬祭業国際交流研究会の座長として、世界中を視察しましたが、世界各国のセレモニーには、その国の長年培われた宗教的伝統や民族的慣習などが反映しています。儀式の根底には「民族的よりどころ」というべきものがあるのです。日本には、茶の湯・生け花・能・歌舞伎・相撲・武道といった、さまざまな伝統文化があります。そして、それらの伝統文化の根幹にはいずれも「儀式」というものが厳然として存在します。すなわち、儀式なくして文化はありえません。儀式とは「文化の核」と言えるでしょう。わたしたちは、日本人の「こころ」を守る「かたち」という、文化の核を担っているのです。

超高齢社会の未来について

 

高齢化社会人口減社会を踏まえて、今後の供養業界、そして日本社会をどうご覧になっているか、お聞かせください」の質問もあり、以下のように答えました。
「超高齢社会を迎えたわが国にとって、葬儀も変わらなければいけないと思っています。要・不要論ではなく、どう変化していくかです。わたしはそれを『アップデート』と呼びたいと思います。残さなければいけないもの、変化させていいもの(場合によっては取りやめてもいいもの)と精査する時期だということです。あえていうのならチャンスです。それは葬儀を営んできた寺院、葬儀会社も変わらなければいけないでしょう。でも、葬儀は必要です。葬儀を消滅させる社会であってはならないと考えています。先にも述べましたが、冠婚葬祭とは文化そのものであり、冠婚葬祭が衰退すれば日本文化、ひいては日本国そのものも衰退します」


互助会が日本を救う!

 

さらには、「現在の日本社会は『無縁社会』などと呼ばれ、血縁と地縁の希薄化が言われています。しかし、この世に無縁の人などいません。どんな人だって、必ず血縁や地縁があります。そして、多くの人は学校や職場や趣味などでその他にもさまざまな縁を得ていきます。この世には、最初から多くの『縁』で満ちているのです。ただ、それに多くの人々は気づかないだけなのです。人間は1人では生きていけません。『無縁社会』を超えて『有縁社会』を再生させるためには、血縁や地縁以外のさまざまな縁を見つけ、育てていく必要があります。『縁』を結び、『相互扶助』をコンセプトとする互助会こそは地域や社会が抱える課題の解決するソーシャル・ビジネスであるべきです。『互助会が発展すればするほど日本が良くなる』という気概を持ち、冠婚葬祭を通じ社会をより良いものとしていきたいと考えています」と述べたのでした。


取材後、庭園で写真撮影


ボルサリーノを被りました


「北九州のドン」ではありません!(笑)


ボルサリーノを手に持って・・・・・・

 

インタビュー取材後は、写真撮影タイムでした。
巨匠のオーラ全開になっているカメラマンの方から、「ぜひ、ホテルの庭園で撮影しましょう」と言われ、庭に出ましたが、けっこう日差しが強くて眩しかったです。そこで、ホテルのフロントに預けていた白のボルサリーノを被りました。わたしのボルサリーノ姿を見た一同から「おおっ!」というどよめきが起こり、「北九州のドンですね!」という声がかかりました。おいおい、わたしは堅気ですよ(笑)。こうして、インタビュー取材&写真撮影は無事に終了しました。この後は、サンレーグループ営業責任者会議で1時間話をします!


理事長職、命をかけて頑張ります!

 

2024年9月5日  一条真也