死を乗り越える手塚治虫の言葉

 

人間は何万年も、
あした生きるために
今日を生きてきた。

手塚治虫

 

一条真也です。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。
今回の名言は、日本の漫画家、アニメーター、医学博士であった手塚治虫(1928年~1989年)の言葉です。大阪府に生まれた彼は、戦後日本においてストーリー漫画の手法を確立、現代にまでにつながる日本の漫画表現の基礎を作りました。代表作に鉄腕アトム』『ジャングル大帝』『リボンの騎士』『アドルフに告ぐなど。



手塚治虫は「漫画の神様」と呼ばれます。ジャパンカルチャーの生みの親と言っても言い過ぎではありません。「人間は何万年も、あした生きるために今日を生きてきた」とは、手塚の名作ブラック・ジャックに登場する言葉です。ブラック・ジャックは金のために医療活動をする悪徳医師というキャラクターで描かれています。



手塚には火の鳥ブッダといった深い思索的な作品もありますが、医者という道も志していた彼は、天才医師が非合法に活躍する『ブラック・ジャック』で、自らの死生観を描き切ったのかもしれません。手塚の死に立ち会った医師によると、「頼むから仕事をさせてくれ」が手塚の最後の言葉であったといいます。実際、未完の作品が多く逝ったのは、ファンの1人として本当に残念です。



2023年、「ブラック・ジャック」の新作が生成AIによって作られました。システムには「ブラック・ジャック」や手塚治虫の他の漫画作品、合わせて400話分の物語の構造や世界観などの膨大なデータを読み込ませたとか。人間とAIの真剣勝負の「対話」によって、新たに作り出されたブラック・ジャック。AIは、どこまで“漫画の神様”の創造性に近づくことができたのか。その是非はともかく、彼の作品は永遠です。そして、その才能も永遠です。なお、この手塚治虫の名言は、死を乗り越える名言ガイド(現代書林)に掲載されています。

 

 

2024年3月22日  一条真也