冠婚責任者会議 

一条真也です。
27日の17時から、松柏園ホテルの「ザ・ジュエル・ボックス」でサンレーグループの冠婚責任者会議が行われました。コロナ禍を超えて、4年ぶりのリアル開催となった昨年7月24日以来の冠婚責任者会議です。

最初は、もちろん一同礼!


最初はピンクの不織布マスク

 

社長訓示は、ピンクの不織布マスク姿で登壇。というのも、直前までサンレー本社で関連会社の決算報告があったのですが、みんなマスクを着けていたからです。わたしは新型コロナウイルスの感染拡大は落ち着いたものと思っていたのですが、現在はまたまた拡大しつつあるようです。また、それに加えて、インフルエンザも流行しているとのことで、やむをえずマスクを着けた次第です。しかしながら、冠婚責任者会議の会場に入ると、みんなマスクは着けていなかったので、わたしも外すことにしました。


マスクを外しました


社長訓示を行いました

 

社長訓示では、わたしは冒頭にブログ「挨拶は身を守る鎧」で紹介した話題について話しました。このたび解散を宣言したお笑いコンビ「プラス・マイナス」の岩橋良昌の「挨拶無視」についてのXのポストを受けて、お笑いタレントの水道橋博士がやはりXで言及しました。水道橋博士は、「挨拶は身を守る鎧」という三島由紀夫の言葉を座右の銘にしているそうです。「挨拶は身を守る鎧」の出典は、たしか『若きサムライのために』だったと思います。三島は剣道をやっていましたが、武道である剣道は「礼に始まり礼に終わる」という絶対の掟があります。

礼儀について語りました

 

三島由紀夫は次のように言いました。作法というものが第一関門であるのにも関わらず、この作法がないむき出しの人間性が相手の心に通用するという迷信がある、と。つまり相手の心を通用させるにはまず礼儀が必要なのに、礼儀がない野蛮な状態でも相手の心に通用できるという間違った考え方があるというのです。もちろん礼儀のない野蛮な人間は忌み嫌われ、誰も関わろうとは思いません。人間関係において礼儀を守っている人こそ、お酒が入ってハメを外しても、少々生意気なことを言っても、周りの人から可愛がられるのです。むしろ礼儀を守っているからこそ、ハメを外したり、ふざけたりしても、相手からの信用を勝ち取れるのです。

松本人志について

 

「挨拶無視」の芸人といえば、何を隠そう、渦中の松本人志がそうです。水道橋博士が言うように、芸能界というところは基本的に礼儀に厳しく、それは吉本興業であっても同じ。しかし、まだ無名だった頃の松本が、あるときオール巨人の楽屋前の廊下を素通りしたそうです。それを目にした巨人が教育の意味も込めて松本を呼び止め、「おい君。挨拶は? やり直せ」と諭しました。すると松本は「あ、すいません」と謝りながら来た道を引き返し、もう一度楽屋の前を素通りしたというのです。この逸話が披露された昨年1月放送の「人志松本の酒のツマミになる話」(フジテレビ系)では、松本の後輩芸人たちが「しびれるわあ」などと感動した様子が映りましたが、何がしびれるのか? 何がカッコ良くて感動するのか? わたしは、まったく理解できません。中学生が反抗的な態度をイキって話をしているようです。大人になれなかった松本と、そんな彼を称賛する取り巻き連中は情けない限りですね。


芸能界にも礼儀は必要!


熱心に聴く人びと

 

もともと、松本は若手時代からきちんとした挨拶というものが苦手だったらしく、先輩芸人の前でも「ちーす!」とかしか言わないため、明石家さんまタモリといった大御所からも怒りを買っていたといいます。吉本興業の大先輩だった故・横山やすしは傍若無人ダウンタウンの2人の芸風や態度をずっと認めませんでした。1995年12月には、横山はダウンタウンに対して「芸人には礼儀が必要や。挨拶ぐらいせい!」と怒ったこともあります。放送コラムニストの高堀冬彦氏は、デイリー新潮のコラムで「やすしさんも決して礼儀正しい人とは言えなかったが、ダウンタウンには手厳しかった。漫才も酷評し続けた」と述べています。やすしは、ダウンタウンの行き過ぎた毒を危険視していたのでしょう。

ビートたけしは「礼」を重んじる

 

横山やすし明石家さんまタモリはみなお笑いの天才ですが、もう1人、ビートたけしの名前を挙げなければいけないでしょう。ブログ「被災地での犯罪に厳罰を!」でも紹介したように、かつて、熊本地震の被災地で発生している空き巣について、ビートたけしは「あいつら射殺しろよ」と怒りをあらわにしました。彼は、自身のTV番組で「こういうときにそういう犯罪すんのは特別に罰しなきゃおかしいだろ」と自身の考えを示しましたが、わたしは深く共感しました。その他にも、まさに儒教の徒といってもおかしくないほど、北野氏は「礼」というものを重んじています。だからこそ、生き馬の目を抜くような芸能界でトップの座にあり続けているのでしょう。ちなみに、挨拶を重んじる水道橋博士の師匠もビートたけしです。


ビートたけしを見直した!

 

そういえば、昔、わが社がお笑いイベントを開催して北九州に「ツービート」や「ゆーとぴあ」などの若手芸人をたくさん呼んだことがあります。イベント終了後、当時の佐久間進社長(現、名誉会長)は彼らを小倉の夜の街に連れ出し、伝説的おかまバー「ストーク」などで飲んだそうです。自身が実践礼道・新小笠原流を立ち上げ、礼儀については人一倍厳しい佐久間名誉会長ですが、そのときの「ビートたけし」こと著者の礼儀正しさには感嘆したそうです。「あんなに礼儀正しいタレントさんは初めて見た」と言っていました。わたしは父から「礼」について徹底的に叩き込まれた人間ですが、その父の言葉を聴いて、それまでは単なる毒舌芸人としか思っていなかったビートたけしへの見方を根本から改めた記憶があります。

礼法は最強の護身術!

三島由紀夫は「挨拶は身を守る鎧」と言いましたが、わたしは「礼法は最強の護身術」であると拙著人間関係を良くする17の魔法致知出版社)の中で述べました。わたしのマナー観は、小笠原流礼法に基づいています。「思いやりの心」「うやまいの心」「つつしみの心」という三つの心を大切にする小笠原流は、日本の礼法の基本です。特に、冠婚葬祭に関わる礼法のほとんどすべては小笠原流に基づいています。そもそも礼法とは何でしょうか。原始時代、わたしたちの先祖は人と人との対人関係を良好なものにすることが自分を守る生き方であることに気づきました。 自分を守るために、弓や刀剣などの武器を携帯していたのですが、突然、見知らぬ人に会ったとき、相手が自分に敵意がないとわかれば、武器を持たないときは右手を高く上げたり、武器を捨てて両手をさし上げたりしてこちらも敵意のないことを示しました。


礼法の起源について


熱心に聴く人びと

 

相手が自分よりも強ければ、地にひれ伏して服従の意思を表明し、また、仲間だとわかったら、走りよって抱き合いました。このような行為が礼儀作法、すなわち礼法の起源でした。身ぶり、手ぶりから始まった礼儀作法は社会や国家が構築されてゆくにつれて変化し、発展して、今日の礼法として確立されてきたのです。ですから、礼法とはある意味で護身術なのです。剣道、柔道、空手、合気道などなど、護身術にはさまざまなものがあります。しかし、もともと相手の敵意を誘わず、当然ながら戦いにならず、逆に好印象さえ与えてしまう礼法の方がずっと上ではないでしょうか。まさしく、礼法こそは最強の護身術なのです!


ハラスメントとは「礼」の問題である!

 

松本氏の性加害報道に接するたびに、娘を持つ親として怒りを感じるとともに、「俺と同い年なのに、ここまで性欲が強いとは!」と驚愕することもしばしばです。一見、これ以上ないぐらい下世話なスキャンダルとも思える松本問題に、なぜ、わたしはこだわるのか? それは、松本氏がわたしと同い年の還暦者ということもありますが、何よりもこの問題が、わたしの最大のテーマである「礼」と深く関わっているからです。現在、松本氏は女性へのセクシャルハラスメントとともに、後輩芸人へのパワーハラスメントの疑惑を持たれています。セクシャルハラスメントパワーハラスメントの両方を合わせて「セ・パ両リーグ」などと呼ぶようですが、わたしは、ハラスメントの問題とは結局は「礼」の問題であると考えています。


ハートレス・キーワードを生んだ松本人志

 

「礼」とは「人間尊重」の精神ですが、松本氏には人間尊重どころか、その正反対の精神を感じます。ブログ「ハートレス・キーワード」で紹介したように、今では当たり前のように使用される「空気を読む」という言葉は松本人志が作ったもので、彼が大衆化したそうです。「空気を読む」以外では、「イタイ」「サムイ」「かぶってる」「噛む」「絡みにくい」「KY」「すべる」「ドン引き」「グダグダ」といった言葉も松本人志が発祥だとされているそうです。この事実には驚愕しました。人が感じる印象や感情をうまく言葉にすることが松本氏の才能なのかもしれませんが、彼が作ったとされる言葉は1人1人の気持ちを一言にまとめてしまい、しかもそれは同調圧力と価値観の押し付けにほかなりません。まさに、人の心を無視したハートレス・キーワードであると言えるでしょう。


その後、ブログ「マッチング」で紹介した日本映画を題材にして、マッチングアプリについて話しました。映画の冒頭、「マッチングアプリの市場規模は現在1000億円を超え、さらに拡大している」というテロップが流れます。実際の結婚披露宴でも、新郎新婦が「わたしたちは、マッチングアプリで出会いました」と堂々と宣言していますね。昔だと結婚相談所や結婚紹介サービスで知り合ったなどとカミングアウトすることは少なかったように思いますが、マッチングアプリはすっかり市民権を得たようです。相手に求める条件だけでなく、過去のデータや行動履歴から相性の良さそうな相手をレコメンドしてくれるサービスなので便利ですね。


恋人や結婚相手との出会いのパターン

 

数日前に読んだ『「今どきの若者」のリアル』(PHP新書)という本の第三章「マッチングアプリと恋愛コスパ主義」で、同書の編著者で中央大学文学部教授(家族社会学)の山田昌弘氏は、恋人や結婚相手との出会いのパターンを大きく、①「自然な出会い」、②「偶然の出会い」、③「積極的な出会い」の3つに分けています。①「自然な出会い」とは、幼なじみ、学校、職場、趣味のサークルなど、身近にいる人を好きになり、交際を始めるというもの。②「偶然の出会い」とは、旅先や街中、バーなどで、素性をよく知らない人とたまたま出会って好きになり、交際が始まるというもの。③「積極的な出会い」とは、自分から交際相手、結婚相手を積極的に見つけにいくもの。以上が、山田氏のいう「婚活」(もしくは恋活)です。

「積極的出会い」について

 

見合いでも、友人の紹介でも、合コンでも、結婚相談所でも、そしてマッチングアプリであっても、最初からお互いに交際(恋人、結婚)相手候補として相手と会うので、「積極的出会い」に含まれるそうです。マッチングアプリが含まれる「積極的な出会い」は、リスクに関して「自然な出会い」と「偶然の出会い」との中間といえます。山田氏は、「会う前から、釣書(自己紹介書)やネット上のプロフィールで相手のある程度の情報を知ることはできる。親戚の紹介での釣書にはウソはないかもしれないが、いわゆる仲人口で実際よりも誇張されて伝えられるかもしれない。一方、出会い系では職業や年齢でもウソが書かれている可能性がある」と述べています。


映画「マッチング」の主人公の輪花は、結婚式場のウエディングプランナーです。さまざまなお客様の結婚式のお世話をし、人生で最も幸せな瞬間をプロデュースするのが仕事です。でも、輪花自身は少しも幸せではありません。恋愛に臆病で結婚相手も見つからず、好きだった高校時代の男性教師の結婚式を担当して落ち込んだりもします。なんだかウエディングプランナーという仕事には夢も希望もないように思えますが、そんな人はぜひ、ブログ「ウェディング・ハイ」で紹介した2022年の日本映画を観ていただきたいです。お笑い芸人・バカリズムのオリジナル脚本を、大九明子監督が映画化。くせ者ぞろいの参列者たちによって混乱する結婚式を舞台に、篠原涼子演じる敏腕ウエディングプランナーが数々のトラブルを解決すべく奔走する抱腹絶倒の物語です。わたしも、大笑いしました。



「ウェディング・ハイ」にはお客様に寄りそう結婚式場のスタッフたちの奮闘が描かれていて参考になりましたが、最近も接客業にとって大いに参考になる映画を観ました。ブログ「レディ加賀」で紹介した作品です。石川県の加賀温泉を盛り上げるために旅館の女将たちが結成したプロジェクト『レディー・カガ』を題材に描く人間ドラマですが、女将たちのタップダンスのイベントがハイライトです。いよいよイベントが開催された日、ステッキ・ダンスの本番直前に出演者の1人がステッキを折ってしまいます。しかし、小芝風花演じる主人公の由香は女将修行で風呂掃除したときを思い出して、「そうだ、ステッキの代わりにデッキブラシを使えばいい!」と思いつくのです。

CEREMONY MUST GO ON!!

 

その他にも、さまざまなトラブルが「これでもか、これでもか」と波状攻撃で襲いかかってくるのですが、由香をはじめとしたレディ加賀のメンバーたちは次々に奇想天外な方法で乗り切っていきます。わたしは、ここに一番感銘を受けました。「SHOW MUST GO ON」という言葉があります。かのジャニー喜多川も好んだ言葉でしたが、意味は「始めたショーは必ず最後までやらなければならない」というショービジネスの掟です。「レディ加賀」のダンスイベントにはまさにこの精神が溢れていました。どんなトラブルが起こっても「なんとかする」という姿勢は、イベントのみならず、結婚式や葬儀でも必要とされます。ここから、わたしは「CEREMONY MUST GO ON!!」というキーワードを思いつきました。

ハートフル・サイクルを起こせ!!

これは、「CSHW」のハートフル・サイクルを起こす力となります。Compassion(思いやり)→  Smile(笑顔)→  Happiness(幸せ)→  Well‐being(持続的幸福)のハートフル・サイクルです。このハートフル・サイクルが、今後わが社がウェルビーング経営によるコンパッション企業になるための具体的施策と考えています。コンパッションは、わが社が提供するケアやサービスに必要不可欠なものです。真の思いやりをもったケアやサービスは、必ずお客様を笑顔にしていきます。そして、笑顔となったお客様は当然、幸せな気持ちになります。同時にお客様を笑顔にすることができた社員自身も幸せを享受することができるのです。コンパッション・ケア、コンパッション・サービスはお客様にも提供者にも笑顔と幸せを広げていくことができます。人は「幸せ」を求め、そのためには「思いやり」が欠かせません。

最後は、もちろん一同礼!

 

最後に、わたしは「『幸せ』と『思いやり』を両立できるのがみなさんの仕事です。二宮尊徳が農業に誇りを持ったように、トム・クルーズが俳優業に誇りを持っているように、みなさんも冠婚葬祭業という礼業に誇りを持って下さい。そこから、みなさんのウェルビーイングが始まります!」と言って訓示を終えました。終了後は、久しぶりに懇親会も開かれました。

懇親会の冒頭で挨拶しました


乾杯の挨拶をする山下取締役

カンパ~イ!


懇親会のようす

 

懇親会は松柏園の大広間で開けれました。冒頭、社長であるわたしが挨拶をしました。わたしは、「コロナも落ち着いてきて、冠婚責任者会議の懇親会が開けることを嬉しく思います。やはり、人間、オンラインだけではダメ。実際に顔を合わせて、酒を飲みながら語り合うのが一番です。今夜は大いに飲んで、意見交換して、有意義な夜になることを願っています!」と言いました。冠婚副本部長の山下取締役が「われわれは、CSHW=ハートフル・サイクルの起点です。情熱で火をつけて盛大に炎を燃やしましょう!」と言ってから乾杯の発声をしました。


桜が飾られていました🌸


食事の最後は、桜海老のご飯🌸

 

松柏園の料理もいつもに増して美味しく、最後は桜海老のご飯をいただきました。懇親会は非常に盛り上がりました。コロナ禍後の冠婚葬祭互助会各社の業績はとても良いです。しかし、それは各社が結婚式場を閉鎖するなどの冠婚部門の積極的縮小があってこそというのも事実です。わが社は冠婚部門を単なる商売としてだけでなく、社会が健全に持続するウェルビーイング装置であるととらえ、新しい冠婚部門のあり方を追求しています。幹部やスタッフのみなさんに対して、わたしは何よりも「この仕事に誇りを持て!」と言い続けています。

締めの挨拶をする井口部長

最後は「末広がりの五本締め」で!

 

懇親会も終わりに近づき、松柏園ホテルの総支配人である井口部長が締めの挨拶をしました。久々に酔って顔を真っ赤にした井口部長でしたが、ニコニコしながらユーモアたっぷりに挨拶しました。山下取締役にしろ、井口部長にしろ、冠婚責任者会議のメンバーも本当に若返りました。彼らの下には、さらに若いメンバーが控えています。この素晴らしい仲間たちとともに、なんとか「冠婚ルネサンス」を実現させたいものです。最後は、井口部長による「末広がりの五本締め」で楽しい時間は終わりました。


二次会で乾杯を音頭を取る山岸支配人


5年ぶりの二次会にカンパイ!

 

その後、松柏園のラウンジで、じつに5年ぶりとなる二次会も開かれました。二次会では、「熱い男」として知られる金沢の山岸支配人が熱い乾杯の音頭をしてくれました。山岸支配人は涙もろいのですが、今日も「こうやって、みんなが無事に集まって、楽しくお酒が飲めて、社長は春らしい素敵なピンクのシャツとネクタイをしてきて下さって・・・」と、なんだかよくわからない理由で涙ぐんでいました。いずれにせよ、この日は、みんなの「こころ」が1つになりました。これからも、一緒に頑張ろう!

 

2024年2月27日 一条真也