コンパッションの発動

一条真也です。
石川県に来ています。10日の朝、金沢のホテルでネットニュースを見ていたら、「地震で避難して来た人に「市営住宅」「家具・衣類」を無償提供、保育所も無料で-福岡市」という記事を見つけました。

ヤフーニュースより

 

記事によれば、能登半島地震の被災者を支援するため福岡市は市営住宅の提供に加えて、家具や衣類などを無償で提供すると9日、発表したそうです。福岡市の高島宗一郎市長「市営住宅はもちろん、家具や衣類、寝具などの提供も無償提供で行いたいと思います」と述べ、能登半島地震で被災し福岡市に避難してきた人に対して、市営住宅を最長6か月間無償で提供するほか、家具や衣類、寝具なども無償提供すると発表しました。


RKBより

 

また高島市長は、一時的な避難のため住民票を異動しない場合でも、小中学校や特別支援学校で児童や生徒を受け入れる方針を示しました。市によると、福岡市に避難してきた児童1人が9日から市内の小学校に通っているということです。このほか、保育所などを無料で利用できるようにするほか、妊婦や乳幼児に対して福岡市民と同様の健診が受けられるようにするということです。


RKBより

 

わたしは、この福岡市の英断を素晴らしいと思います。わが社は能登半島も福岡市もともに営業エリアですが、北陸の被災者たちを受けいれてくれる方針を示した高島市長に心から敬意を抱きました。わたしは、これからの都市の理想像は「思いやり」を基本とした「コンパッション都市」だと考えています。それは、そのまま「互助共生都市」ですが、まさに、その姿を福岡市が2024年の初めに示してくれました。福岡市は「コンパッション」を発動してくれたのです。同じ福岡県民として誇りに思います。そういえば、124時間ぶりに瓦礫の下敷きになった90代の高齢者を救出したのも福岡県警でした。

コンパッション!』(オリーブの木

 

こういうことは、どこの都市もやりそうでいて、なかなか出来ることではありません。市長にいくらその想いがあっても、議会や市民の理解を得なければ不可能だからです。その意味で、高島市長こそはコンパッション・リーダーです。能登半島で人が死に続けているのに浮かれている、コンパッションの欠片もないどこかのハートレス市長とは大違いです高島市長にはこれまで「パフォーマンス上手」などの声もありましたが、たとえパフォーマンスであっても困窮している人を救うことは偉大です。逆に市長が着せ替え人形のようにど派手衣裳を着るのは最低のパフォーマンスであり、首長失格です。被災者のみなさんも、「コンパッション都市」である福岡市に住みたい方は多いはず。誰も、「修羅の国」に住みたいとは思わないでしょう


福岡市といえば、ブログ「『愛は勝つ』ことをKANが教えてくれた」で紹介したように、昨年11月17日、福岡市出身の歌手だったKANさんが61歳で亡くなられました。KANさんの代表作である「愛は勝つ」は大ヒットしましたが、2011年の東日本大震災後には、所属する事務所「アップフロント」グループが復興支援プロジェクトを立ち上げ、「愛は勝つ」をタレント131人で歌ったチャリティー曲を制作し、その収益全額が寄付されました。KANさんは、その中心人物でした。


コロナ禍でも再び、KANさんほか同事務所のタレントで「愛は勝つ」をリモート歌唱しました。「心配ないからね♪」で始まり、「信じることさ、必ず最後に愛は勝つ♪」の前向きな歌詞は、日本中に勇気を与え続けてきたのです。能登半島地震が起こった今、KANさんの出身地である福岡市が北陸の人々をコンパッションという「隣人愛」で救おうとしてくれていることを想うと胸が熱くなって、涙が出てきます。「愛は勝つ」というメッセージが能登半島に届くことを心から願います。そして、「愛が勝つために、コンパッションから始めよう!」と強く思います。
では、これから能登半島に行ってきます!

 

2024年1月10日 一条真也