「礼」は政治を超える

一条真也です。ヤフーニューを見て驚きましたが、北朝鮮金正恩総書記が能登半島地震について、日本へ見舞いの電報を送っていたことがわかりました。


ヤフーニュースより

 

北朝鮮メディアは金総書記が5日、岸田首相に宛てて見舞いの電報を送ったと伝えたそうです。金総書記はこの中で「新年の年初から地震による多くの人命被害と物質的損失を被ったという報に接して、遺族と被害者に深い同情と見舞いを表した」と述べ、その上で「被災地の方々が一日も早く安定した生活を回復することを祈願する」としました。日本の災害に対し、北朝鮮の最高指導者が見舞いの電報などを送るのは異例です。

ヤフーニュースより

 

林芳正官房長官は6日の記者会見で、能登半島地震をめぐり、北朝鮮金正恩キム・ジョンウン朝鮮労働党総書記から岸田文雄首相あての見舞いメッセージを公表したことについて「各国・地域からお見舞いのメッセージを受け取っており、日本政府として感謝している。金委員長からのメッセージについても感謝の意を表したい」と述べました。平成7年の阪神淡路大震災の際には、村山富市首相(当時)あてに北朝鮮の姜成山(カン・ソンサン)首相(同)から見舞いメッセージが届き、日本政府も後に返礼のメッセージを送っています。



官房長官は、この他に北朝鮮の最高指導者から見舞いメッセージが送られた近年の例はないと説明しています。返答するかとの質問には「政府は目下、被害にあわれた方への対応に全力で取り組んでいる。各国首脳からのメッセージの逐一に返信は現時点では行っていない。日朝間のやりとりは、今回のメッセージに対する対応を含めて、事柄の性質上、答えを控えたい」と語りました。わたしは「礼」の問題は政治を超えるので、感謝の返礼だけはすべきであると思います。わたしは北朝鮮という国が世界で一番嫌いですし、毎日のように「早く、横田めぐみさんをはじめとする日本人拉致被害者を返せ!」と思っています。しかしながら、自国の大災害に対してもお見舞いの礼を受けたことだけは感謝すべきであるとも思います。

礼を求めて』(三五館)

 

金正恩の父親である金正日は2011年12月17日に亡くなりましたが、このときに日本政府は何ら弔意を示しませんでした。わたしは「政治的な問題は別にして、弔意だけは示すべきではないか。それが、日本が真っ当な国であることの証ではないか」と思ったものです。朝鮮半島には儒教の影響が強く残っていますが、儒教の最重要思想は「礼」です。最後に、わたしは「礼」とは究極の平和思想であると考えていることを付け加えておきます。

 

2024年1月6日 一条真也