池田大作氏の死去

一条真也です。
18日はサンレー創立記念日でしたが、この日、創価学会名誉会長の池田大作氏の訃報に接しました。15日に死去されたそうですが、95歳でした。創価学会の最高指導者として組織拡大を図り、日本最大規模の宗教団体に育て上げた人物です。政治にも積極的に関与し、1964年に公明党を創設。日本の宗教と政治における超大物でした。


ヤフーニュースより

 

池田氏は47年、日蓮の仏法を信奉する宗教団体である創価学会に入会し、60年、第3代会長に就任。75年には創価学会インタナショナル(SGI)を設立して会長に就任。海外布教に力を入れるとともに、ゴルバチョフソ連大統領ら世界各国の要人と会談し、独自の民間外交を展開しました。79年に創価学会の会長職を退いて名誉会長に就きましたが、実権を握り続けました。

 

 

ブログ「大川隆法氏、死す」で紹介したように、今年3月2日には「幸福の科学」の創始者で総裁の大川隆法氏が亡くなりました。ブログ『日本の新宗教50 完全パワーランキング』で紹介したように、日本で最大の信者を有する宗教団体は創価学会、2位が幸福の科学となっています。1位と2位の教団のトップが同年に亡くなるとは驚きました。ちなみに、宗教団体というよりテロ組織だったオウム真理教池田大作氏と大川隆法氏の2人の暗殺を企てていたことはよく知れられています。が、今年は旧統一教会の問題も紛糾しましたし、宗教界はますます混乱するのではないでしょうか。


(『日本の新宗教50 完全パワーランキング』より)



創価学会会則では、牧口常三郎・初代会長、戸田城聖・第2代会長とともに、池田大作氏を「永遠の師匠」と位置づけられています。創価学会の初代会長の牧口常三郎は日本民俗学創始者である柳田國男との交流が知られています。牧口も柳田も、目の前の危機的な現実とそこから未来を創りあげるべき理想を語るための言葉としての「郷土」を重視していました。柳田は、民俗学研究の立脚点としての「郷土」を構想していたのに対し、牧口は児童が知的・情緒的に成長するための具体的な現実の場としての「郷土」を念頭において自己の活動に取り組みました。

 

 

柳田は日蓮正宗にのめりこんでいった牧口には否定的でしたが、しかし両者の教育観などは根底で通じ合っていたともされています。柳田國男創価学会そのものには関心が薄かったようで、二代会長までは会いましたが、三代池田会長に会おうとはしなかったといいます。わたしは創価学会の会員でも信者でもありませんが、最近の創価学会が「隣人祭り」に注力していたという情報を得ていました。「隣人祭り」は無縁社会を乗り越えて有縁社会を再生するためのものですが、もしかしたらその根底には柳田民俗学のコミュニティの思想があるのかもしれないと思います。

供養には意味がある』(産経新聞出版

 

じつは、昨年末から池田大作氏の容態が思わしくないという情報は得ていました。わたしは今年4月に供養には意味がある産経新聞出版)を上梓しましたが、その帯に安部晋三石原慎太郎稲盛和夫アントニオ猪木といった昨年逝去された方々に遺影を使いました。そのとき、産経新聞ルートからプロ野球の超大物と池田氏も危なそうだということを聞かされたのです。じつは、池田氏はこれまでにも何度も死亡説が流れ、現在の姿は「影武者」だなどという都市伝説もありました。



今月29日に新宗教研究の第一人者で宗教学者島薗進先生と「宗教と儀礼」をテーマに対談しますので、これからの創価学会についてのお考えもお聞きしたいと思います。12月1日からドキュメンタリー映画グリーフケアの時代に」が公開されますが、同作品に島薗先生も小生も出演しています。この映画がに対してNHKや全国紙からの取材が相次いでいるそうですが、その背景には「グリーフケアをしっかり理解してれば、カルト宗教に洗脳されない」という考え方があるそうです。わたしも個人的には、時代の流れは「宗教からグリーフケア」ではないかと思っています。創価学会そのものには個人的にも思うこともありますが、戦後の若者の郷土を思う心、他者と繋がり合いたいと思う心を満たす場所を提供したことは事実でしょう。最後に、故池田大作氏のご逝去に際し、謹んで哀悼の誠を捧げさせていただきます。合掌。



2023年11月18日  一条真也