ハートフル・ソサエティとウェルビーイングと互助会

一条真也です。
22日の朝、赤坂エクセルホテル東急で「出版寅さん」こと内海準二さんと朝食ミーティングをしました。その後、大塚にあるホテルベルクラシック東京へ。ここで開催される業界の行事に参加するためです。


ホテルベルクラシック東京の前で

互助会業界将来ビジョン報告会のようす


熱心に聴きました


発表された将来ビジョン

 

12時半から全互協の理事会が行われ、13時半から「互助会業界将来ビジョン報告」が行われました。杉山副会長が発表した冠婚葬祭互助会業界の若手経営者たちが苦心して作成した将来ビジョンは多くの示唆に富んでいました。わたしも熱心に聴きました。


ハートフル・ソサエティウェルビーイング・・・


猛烈に感動しました😢

 

最後は、「即ち、『将来に向けて業界が目指すべき姿』は『生まれてから亡くなるまでの一人ひとりの暮らしがよりウェルビーイングなものになるように『健康』『交流』『助け合い』を軸として、個々の会員としての関係を深め、会員同士のつながりを広げることで「心ゆたかな社会=ハートフル・ソサエティ」を実現していくことにある』といえる。まさに将来ビジョンとして、業界が掲げるべきは『冠婚葬祭産業からウェルビーング推進産業への昇華』であり、その事業活動を通じて、『感動』や『感謝』、「思いやり」に溢れる社会『ハートフル・ソサエティ』の実現に貢献していくことが求められていると考えている。」として、【一人ひとりにウェルビーイングな暮らしを届ける】とまとめられています。わたしが、これを読んで感動したのは言うまでもありません。「心ゆたかな社会」「ハートフル・ソサエティ」を入れていただいたのは、互助会業界最大手であるベルコの齋藤斎社長(全互協元会長)のお力添えがあってのことだと思います。いつも齋藤社長のお心遣いには深く感謝しております。

f:id:shins2m:20200518111519j:plainハートフル・ソサエティ』と『心ゆたかな社会


一人ひとりにウェルビーイングな暮らしを届ける

 

最後には「冠婚葬祭業界は、ウェルビーイング産業を目指します」という結論が書かれていました。わたしは、これを読んで深い感慨にとらわれました。なぜなら、わたしの父であるサンレーグループ佐久間進会長は50年前に全互協の初代会長を務めましたが、40年前に「ウェルビーイング」という思想を知り、いち早くわが社の経営理念に取り入れたからです。

ウェルビーイング?』(オリーブの木

 

わたしは、「一条真也」ではなく、株式会社サンレー代表取締役社長の「佐久間庸和」という本名で『ウェルビーイング?』(オリーブの木)を上梓しましたが、サブタイトルは「個人・企業・社会が求める『幸せ』とは」となっています。いま、世間では「ウェルビーイング」が時代のキーワードになっています。ウェルビーイングの定義は、「健康とは、たんに病気や虚弱でないというだけでなく、身体的にも精神的にも社会的にも良好な状態」というものです。そして今までは、身体的健康のみが一人歩きしてきたという印象でした。

f:id:shins2m:20220301004059j:plainサンレーグループ20周年記念バッジ

 

じつは、わが社は約40年前から「ウェルビーイング」を経営理念に取り入れており、1986年の創立20周年には「Being!ウェルビーイング」というバッジを社員全員が付け、社内報の名前も「Well Being」でした。わたしの先代社長である 佐久間進(現サンレーグループ会長)の先見の明に驚いています。なんと、佐久間会長はまだ誰も注目していない40年近く前に、わが社の経営理念として、またこれからの社会理念として「ウェルビーイング」を掲げていたのです。これは驚くべき先見性だと思います。

f:id:shins2m:20220127135211j:plainサンレーグループ報「Well Being」

 

國學院大學で日本民俗学を学び、その後はYMCAホテル専門学校でサービスの実務を学んだ父は、「冠婚葬祭」や「ホスピタリティ」に強い興味を抱き、これを自身のライフワークにすると決めました。そして、「心身医学の父」と呼ばれた九州大学名誉教授の池見酉次郎先生との出会いから、「ウェルビーイング」という人間の理想にめぐり合ったのです。わたしも当時はサンレー社長であった父から、「ウェルビーイング」の考え方を学んできました。その実現方法についても語り合ってきました。結果、わたしの一連の著作のキーワードにもなった「ハートフル」が生まれ、わたしなりに経営および人生のコンセプトにしてきました。「ハートフル」のルーツは、まさに「ウェルビーイング」だったわけです。いま、「ウェルビーイング」は、「SDGs」の次に来る人間の本質的な幸福を目指すコンセプトしてクローズアップされています。本書を通じて、父の先見性と想いを再確認しながら、新たなわたしなりの「ウェルビーイング」を同書で語ってみました。


京都大学名誉教授の鎌田東二先生と

 

コラム「父子で取り組んできたウェルビーイング」では、京都大学名誉教授の鎌田東二先生が寄稿されています。
コラムの冒頭を、鎌田先生は「私は國學院大學文学部で日本民俗学を学んだ株式会社サンレー佐久間進会長の後輩である。國學院大學は『国学』あるいは『古学・古道学』を基盤にした日本の古典と日本文化を研明治15年(1882)15年(1882)に設立された(最初の校名は皇典講究所)。その『国学』は、一言で言うと、日本文化の精髄に何があるか、そしてそれがどのような価値を持ち、日本人の生き方や文化として表出されてきたかと問いかけ、それを今に生きようとする『学道』である。それは言わば、『日本人の、日本人による、日本人のための学道と幸福』の実現という意味でまさに『日本的ウェルビーイング』の探究と実践であった」と書きだしておられます。

わが人生の「八美道」』(現代書林)

 

続いて、鎌田先生は以下のように書かれています。
佐久間進会長はその国学的求道心を持ち続けて、独自のSAKUMAウェルビーイングである『八美道』を提唱し実践されてきた。株式会社サンレーにはその精神が隅々まで行きわたっている。その佐久間会長の精神性を受け継ぎ、さらなる進化をクリエイトしたのが佐久間庸和サンレー社長である。わたしはこの親子を『日本最強の父子』と思っている。ここまで父の価値観を深く理解し共感し受け継ぎ、そして勇猛果敢に進化発展させた息子をわたしは知らない。その佐久間庸和氏と、1990年秋に『魂をデザインする~葬儀とは何か』(国書刊行会)の一章のための対談を渋谷の國學院大學の施設でしたことが最初の出会いであった。以来35年近く『義兄弟の契り』を交す仲となり、家族も同然である。その意味では佐久間進はわが父であり、佐久間庸和はわが弟であるが、この『日本最強の父子』の間に割って入るのは困難なので、私の役目はもっぱら触媒であり接着剤である」


サンレー佐久間進会長と

 

そして、鎌田先生は「この父子の『天下布礼』の『礼楽之道』の実践を私なりの『霊学と霊楽』の実践で少しでも補強支援したいと思っている。本年5月10日に還暦を迎えた義弟を、この72歳の愚兄は『ガン遊詩人』(ステージⅣのがんを持つ吟遊詩人)として応援しつづけたいと決意している。超少子高齢化の現代の日本社会では、量ではなく質の文明と文化をどう生み出すかが問われている。そのために必要なキーワードが『ウェルビーイング』と『コンパッション』であることを著者は訴えている。このウェルビーイング-コンパッション(WC)道を私も同行同道したい」と述べられるのでした。過分なお言葉を頂戴した鎌田先生には心より感謝しております。

天下布礼」は受け継がれていく・・・

 

わたしは、ウェルビーイングとは「幸福」の同義語だと考えます。冠婚葬祭互助会は、儀式を中心として、会員様に幸福を提供する組織です。わが社は隣人交流イベントやグリーフケア温浴事業、介護事業などを通じ、幸福を多角的にプロデュースしてきましたが、その中核にはつねに「ウェルビーイング」がありました。今後もさらに世のため人のために尽くしたいと思いますが、わが社だけの力では微々たるものです。業界全体に理念が共有されたこの日、「天下布礼」が大きく進んだことを実感しました。

 

2023年8月22日 一条真也