鎌田東二先生、クマに襲われた女性を救う!

一条真也です。
13日、わが「魂の義兄弟」である京都大学名誉教授で宗教哲学者の鎌田東二先生から「残暑見舞い申し上げます。比叡山山中での出来事」と題するメールが届きました。鎌田先生といえば、現在ステージ4のガン患者であるにも関わらず積極的に活動を展開しておられますが、そのメールには驚くべき内容が書かれていました。

京都新聞」オンラインより

 

鎌田先生のメールには、なんと「一昨日、比叡山にクマが出て、トレイルランナーの女性が怪我をしました。その場面に遭遇しました」と書かれていました。京都新聞が8月11日20時12分に配信した「京都・修学院の登山道にクマ、トレランの女性襲われけが 声を聴いた男性が助け出す」というタイトルのネット記事によれば、「11日午後3時半ごろ、京都市左京区修学院の登山道付近にいた50代の女性から「クマに襲われた」と110番があった。京都府警下鴨署によると、女性は耳や手にけがをしたものの、命に別状はないという。同署や市消防局によると、現場は修学院離宮の東約1・5キロで、京都一周トレイルの東山コース付近。トレイルランニングをしていた女性が山中でクマに襲われたとみられる。助けを求める声を聞いた登山客の男性が女性をコースまで助け出したという」と書かれています。この「声を聞いた男性」というのが鎌田先生のことです。


鎌田先生が公開された「東山修験道870」の動画には、女性がクマに襲われた直後の生々しい様子が収録されています。ツキノワグマに襲われた女性のプライバシーに配慮し、動画公開の形について意見交換をし、その方の承諾を得て公開されたそうです。そのため、女性の顔にはモザイクがかかっています。鎌田先生は、メールに「怪我をした方は、京都大学付属病院で診察・治療をしてもらい、健康状態は良好とのことなので、まずは一安心しています。まだクマは出没する可能性があるので、京都トレイルや比叡山観光客にも注意喚起が必要で、昨日の京都新聞朝刊にも出ていましたが、京都市左京区役所は地元の人たちに連絡をするとともに、登山道に『注意喚起』の看板を出すようです」とも書かれています。

松柏園ホテルで、鎌田東二先生と

 

さらに、鎌田先生は「わたしたちは、『京都伝統文化の森推進協議会』の活動も含め、森に入ることが多くあるので注意が必要です。音羽川を渡って雲母坂に入るところに、親鸞聖人石碑があり、そのあたりに、『2022年7月4日』だったかにクマが出現したという注意喚起の看板がありますが、これまで、目撃情報はあっても、わたしが知る限り、山中で襲われたという報道は聞いたことがありません。この20年くらいで初めてのことではないでしょうか。地球温暖化の影響で、台風のかたちも変わり、生態系にも大きな、そして、微妙な変化が起きています。いっそうの注意と覚悟が必要です」ともメールに書いておられました。それにしても、比叡山にクマ出現とは驚きました。しかしながら、ステージ4のガンと共生しながら、クマに襲われた女性を救われた鎌田先生には心底感動しました。なんというか、もう、すごい! すてき! すばらしい!

 

 

利他」とか「互助」とか口ではいくらでも言えても、実際にこのような場面に遭遇したら、なかなか行動できません。わたしは、「ガン遊詩人」として全国各地を積極的に回っておられる鎌田先生を深く尊敬していますが、今回の一件で尊敬の念が深まりました。女性の「助けて」という声を聴いて、谷を3つも越える行動力はまさに修験者であり、超人です。それにしても、今回の件で1つ不満なことがあります。「京都新聞」は「声を聞いた男性」として記事を書かずに、はっきりと「京都大学名誉教授の鎌田東二」と書くべきです。それを名無しの権兵衛扱いとは、あまりにも失礼ではありませんか。「京都新聞」にとって、京都大学名誉教授は名無しの権兵衛なのでしょうか!(怒) それはともかく、怪我をされたとはいえ、女性が重傷でなくて本当に良かったです。お盆休みの間、鎌田先生が「ガン遊詩人」として出版された最新詩集『いのちの帰趨』(港の人)を拝読したいと思います。

 

2023年8月13日  一条真也