冠婚責任者会議

一条真也です。
24日の17時から、松柏園ホテルの「ザ・ジュエル・ボックス」でサンレーグループの冠婚責任者会議が行われました。コロナ禍を超えて、4年ぶりのリアル開催です。


最初は、もちろん一同礼!


最初はコバルトブルーのマスク姿で


マスクを外しました


互助会シネマパンフレットを提示

 

社長訓示では、わたしは冒頭にブログ「互助会シネマパンフレット大好評!」で紹介した話題について話しました。そのパンフがシネコンに置かれた日は、ブログ「ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE」で紹介した超話題作の公日本公開日でした。主演のトム・クルーズは映画産業および俳優業に心からの誇りを持っています。わたしは、そんなトム・クルーズの生きる姿勢を見て、農業に強い誇りを抱いていた二宮尊徳を連想しました。ウェルビーイングというのは職業への誇りが重要なポイントだと思います。わたしたちも、ぜひ、冠婚葬祭業という礼業に誇りを持ちたいものです。

冠婚責任者会議のようす


われらの「ミッション:インポッシブル」とは?

 

映画のタイトルにもなっている「ミッション:インポッシブル」とは「不可能な任務」という意味です。どんな業界でも、「不可能な任務」というのはあると思います。みなさんの場合は、どうでしょうか? わたしは「結婚式を増やすこと」、ひいては「婚姻数そのものを増やすこと」ではないかと思います。東京大学教授で社会学者の赤川学氏は、「日本の少子化の要因は、結婚した夫婦が子どもを多く産まなくなっていることにあるのではなく、結婚しない人の割合が増加したことにある」と指摘しています。ここ15年ほど、政府や自治体がお見合いパーティーや「婚活」に躍起となり、大騒ぎしてきました。思えば、ここ数十年、「独身貴族」「パラサイト・シングル」「負け犬(の遠吠え)」「おひとりさま」といったキーワードを使って、なかなか結婚に踏み切らない独身者という「問題」が論じられてきたのです。


「生涯未婚時代」について

ドラクエ人生」と「ポケモン人生」

 

『生涯未婚時代』(イースト新書)という本を書いた家族社会学者の永田夏来氏は、「結婚を人生設計に組み込まない若者の登場」を視野に収めています。そこで、結婚を目標やゴールと考えるドラクエ人生」、結婚するかどうかは場合によると考えるポケモン人生」を分けています。ドラクエ人生とは、人生にはしかるべきタイミングとステップで進行する標準的なルールとゴールがあり、一度つまづいたらそこで停止してしまう。「昭和の人生すごろく」的一本道の人生観です。これに対しポケモン人生は、一通りのストーリーを終えた後がむしろ本番で、対戦しながらレベルを上げたり、コンプリートを目指したりすることになるといいます。なかなか面白い例えですね。


家族はコスパが悪い?

結婚や出産は「リスク」なのか?

 

永田氏は、「家族は本質的にコストパフォーマンスが悪いため、コスパや合理的計算で考えると結婚はかえって遠のいてしまう」と指摘します。コスパで考えるとはつまり、結婚や子育てを「人生すごろく」の1コマとして捉えているということでしょう。結婚や子育てという純粋な歓びを「機会費用」という名で利得を計算し(専業主婦になるとⅩ億円の損、とか)、結婚や出産を「リスク」とみなすような結婚支援や少子化対策が大手を振ってきたわけです。今日の少子化は、その必然的な帰結と考えるべきでしょう。それにしても、なぜ若い男女が、結婚という選択をしなくなっているのでしょうか。いろいろな説がありますが、格差婚、すなわち女性が自分よりも学歴や収入など社会的地位の低い男性と結婚する傾向が少ないままだから、というのが最大の理由のように思います。

「格差婚」について


婚姻数を増やすには?

 

家族社会学では、「格差婚」のことを女性下降婚(ハイポガミー)と呼びます。逆に、女性が自分より社会的地位の高い男性と結婚することを女性上昇婚(ハイパガミー)、同等の男性と結婚することを同類婚(ホモガミー)といいます。男女の不平等が徐々に解消されていったとき、なおも上昇婚が存在し続けると、上層の女性、すなわち高学歴でバリバリ働く女性(負け犬、おひとりさま)と、下層の男性(萌える男、草食系男子)が相対的に結婚しづらくなります。男女が平等な社会で上昇婚の規範が保たれていると、上層の女性は結婚できない確率が高まるわけです。

ミッション:インポッシブルの実現方法は?


熱心に聴く人びと

 

ここで女性が取りうる選択肢は、①より社会的地位の高い男性を国外に求める(アラブの富豪など)②未婚にとどまる③(未婚にとどまるより)自分より社会的地位の低い男性と結婚するの3つのパターンになります。婚姻数を増やすというミッション:インポッシブルを実現するためには、この事実を知っておく必要があります。ミッション:インポッシブルの実現方法についてもアイデアがありますが、それは企業秘密ですので、ここには書きません。そこまでわたしもお人好しではありませんので、悪しからず。いずれにしても、結婚という行為は「持続的幸福」としてのウェルビーイングに直結していると言えるでしょう。

ウェルビーイング」について

 

わが社の佐久間進会長はまだ誰も注目していない40年前に、わが社の経営理念として、また社会理念として「ウェルビーイング」を掲げていました。創立20周年のバッジにも、社内報にも「ウェルビーイング!」の文字が踊っています。本当に驚くべきことです。國學院大學で日本民俗学を学び、その後はYMCAホテル専門学校でサービスの実務を学んだ会長は、「心身医学の父」と呼ばれた九州大学名誉教授の池見酉次郎先生との出会いから、「ウェルビーイング」という人間の理想にめぐり合ったのです。


わが社と「ウェルビーイング

 

わたしも当時はサンレー社長であった佐久間会長から、「ウェルビーイング」の考え方を学んできました。また、その実現方法についても会長と語り合ってきました。結果、わたしの一連の著作のキーワードにもなった「ハートフル」が生まれ、わたしなりに経営および人生のコンセプトにしてきました。「ハートフル」のルーツは、まさに「ウェルビーイング」だったわけです。いま、「ウェルビーイング」は「SDGs」の次に来る人間の本質的な幸福を目指すコンセプトとしてクローズアップされています。そして、その次に注目されるであろうキーワードこそが、「コンパッション」です。


「コンパッション」について

 

「コンパッション」という言葉を教えていただいたのは、公私にわたってご指導をいただいている東京大学名誉教授の島薗進先生です。島薗先生は「コンパッション都市」という考えを示されました。老い、病、死、死別を支える「悲しみの共同体」のことで、まさに互助会の究極の目標だと思いました。直訳すれば「思いやり」ということになるでしょうが、「コンパッション」という言葉が内包している大きさは「思いやり」を超えるものでした。キリスト教の「隣人愛」、儒教の「仁」、仏教の「慈悲」など、人類がこれまで心の支えにしてきた思想にも通じます。

「CSHW」のハートフル・サイクルとは?


熱心に聴く人びと

 

正直に言うならば、わたしは当初、「コンパッション」を「ウェルビーイング」を超えるものと位置づけ、『ウェルビーイングからコンパッションへ』という本を書こうと思っていました。ところが、考えるうちに「コンパッション」と「ウェルビーイング」は陰と陽というか、お互いが補完し合う関係であることに気づきました。結果、わたしは二冊の双子本を書いたのです。前にもお話ししましたが、わたしは「CSHW」というものを提唱しています。Compassion(思いやり)→  Smile(笑顔)→  Happiness(幸せ)→  Well‐being(持続的幸福)のハートフル・サイクルです。

コンパッション企業になろう!

 

このハートフル・サイクルが、今後わが社がウェルビーング経営によるコンパッション企業になるための具体的施策と考えています。コンパッションは、わが社が提供するケアやサービスに必要不可欠なものです。真の思いやりをもったケアやサービスは、必ずお客様を笑顔にしていきます。そして、笑顔となったお客様は当然、幸せな気持ちになります。同時にお客様を笑顔にすることができた社員自身も幸せを享受することができるのです。


「幸せ」を追求し、「思いやり」を実践しよう!

 

幸せの場である婚礼のシーンではもちろん、ご葬儀においても「大切なあの人をきちんとお見送りすることができた」と、笑顔になり、スタッフへ感謝の言葉をかけてくださるご遺族が多くいらっしゃいます。つまり、コンパッション・ケア、コンパッション・サービスはお客様にも提供者にも笑顔と幸せを広げていくことができます。人は「幸せ」を求め、そのためには「思いやり」が欠かせません。


最後は、もちろん一同礼!

 

最後に、わたしは「『幸せ』と『思いやり』を両立できるのがみなさんの仕事です。二宮尊徳が農業に誇りを持ったように、トム・クルーズが俳優業に誇りを持っているように、みなさんも冠婚葬祭業という礼業に誇りを持って下さい。そこから、みなさんのウェルビーイングが始まります!」と言って訓示を終えました。終了後は、久しぶりに懇親会も開かれました。


懇親会の冒頭で挨拶しました


山下取締役の発声でカンパ~イ!

 

懇親会は松柏園の大広間で開けれました。冒頭、社長であるわたしが挨拶をしました。わたしは、「じつに4年ぶりに冠婚責任者会議の懇親会が開けることを嬉しく思います。やはり、人間、オンラインだけではダメ。実際に顔を合わせて、酒を飲みながら語り合うのが一番です。今夜は大いに飲んで、意見交換して、有意義な夜になることを願っています!」と言いました。冠婚副本部長の山下取締役が「われわれは、CSHW=ハートフル・サイクルの起点です。情熱で火をつけて盛大に炎を燃やしましょう!」と言ってから乾杯の発声をしました。

懇親会のようす


懇親会のようす

 

松柏園の料理もいつもに増して美味しく、4年ぶりの懇親会は非常に盛り上がりました。コロナ禍後の冠婚葬祭互助会各社の業績はとても良いです。しかし、それは各社が結婚式場を閉鎖するなどの冠婚部門の積極的縮小があってこそというのも事実です。わが社は冠婚部門を単なる商売としてだけでなく、社会が健全に持続するウェルビーイング装置であるととらえ、新しい冠婚部門のあり方を追求しています。幹部やスタッフのみなさんに対して、わたしは何よりも「この仕事に誇りを持て!」と言い続けています。みなさんコロナで不安もあったでしょうが、わたしの話を聴いて少しは安心してくれたようです。


締めの挨拶をする井口部長


最後は「末広がりの五本締め」で!

懇親会も終わりに近づき、松柏園ホテルの総支配人である井口部長が締めの挨拶をしました。久々に酔って顔を真っ赤にした井口部長でしたが、ニコニコしながらユーモアたっぷりに挨拶しました。山下取締役にしろ、井口部長にしろ、冠婚責任者会議のメンバーも本当に若返りました。彼らの下には、さらに若いメンバーが控えています。この素晴らしい仲間たちとともに、なんとか「冠婚ルネサンス」を実現させたいものです。最後は、井口部長による「末広がりの五本締め」で楽しい時間は終わりました。みんなで「こころ」をひとつにして頑張ろう!

 

2023年7月24日 一条真也