『謎解き「都市伝説」』

謎解き「都市伝説」

 

一条真也です。
『謎解き「都市伝説」』ASIOS+廣田龍平著(彩図社)を読みました。「超常現象の懐疑的調査のための会」と説明が付けられたASIOSの名称は、「Association for Skeptical Investigation of Supernatural」(超常現象の懐疑的調査のための会)の略です。海外の団体とも交流を持ち、英語圏への情報発信も行うそうです。メンバーは超常現象の話題が好きで、事実や真相に強い興味があり、手間をかけた懐疑的な調査を行える少数の人材によって構成されているそうです。ASIOSの本には、ブログ『UFO事件クロニクル』ブログ『UMA事件クロニクル』ブログ『超能力事件クロニクル』ブログ『陰謀論はどこまで真実か』で紹介した本などがあります。本書は、〝世界の秘密〟に触れる都市伝説が、「やりすぎ都市伝説」や都市伝説系などを呼ばれるYouTubeなどで人気になっていますが、はたしてそれらの伝説は本当なのかを検証する内容です。UFOや心霊現象、超能力、超古代文明、未確認生物など、「謎解き超常現象」シリーズでこれまで数々の謎を解き明かしてきたASIOSが、世間を賑わせる都市伝説の謎解きに挑戦! 伝説誕生の経緯、伝説が生まれた背景、そして伝説の信ぴょう性などを調査、都市伝説の真相を明らかにします。


本書の帯

 

本書の帯には、「TV、YouTubeなどで話題の怪しい伝説の真相に迫る!」として、さまざまなイラストや写真とともに「宇宙人アヌンナキが人類を作った?」「フリーメイソンが裏で支配?」「ポールシフトで氷河期が到来?」「太古の昔に核戦争があった!?」「日本にアークがある!?」「噂の死体洗いアルバイト」「異空間伝説バックルーム」などと書かれています。帯の裏には、「都市伝説、陰謀論、インターネット怪談・・・」とあります。


本書の帯の裏

 

本書の「目次」は、以下の通りです。
「はじめに」(ASIOS代表 本城達也
第一章 テレビで広まる
    都市伝説の真相

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ポールシフトは起きるのか?(蒲田典弘)

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超古代文明は核戦争で滅んだ(羽仁礼)

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宇宙人を祀るギョベクリ・テぺ(ナカイサヤカ)

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人類はアヌンナキが作った!?(羽仁礼)

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宇宙からきた女王クババ(本城達也

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フォトンベルトは実在する!?(本城達也

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南海トラフ地震2035年説(本城達也

第二章 SNSを賑わす
    都市伝説の真相

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神秘の定め「ガイアの法則」(本城達也

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四国剣山で聖櫃が発見された!?(原田実)

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コロナ禍を予言した日月神示(原田実)

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地下聖域シャンバラ伝説(羽仁礼)

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光の道レイライン(本城達也

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謎の異空間バックルーム(廣田龍平)

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ファントム・クラウン(小山田浩史)

第三章 世界を裏から操る
    陰謀論の真相

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ニューワールドオーダー(羽仁礼)

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世界を支配するフリーメイソン皆神龍太郎

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超秘密結社イルミナティ皆神龍太郎

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ロスチャイルドとロックフェラー(羽仁礼)

第四章 ウェブで流布する
    ネット怪談の真相

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きさらぎ駅(廣田龍平)

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くねくね(廣田龍平)

FILE021
八尺様(廣田龍平)

FILE022
コトリバコ(廣田龍平)

FILE023
テケテケ(廣田龍平)

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カシマさん(廣田龍平)

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杉沢村(廣田龍平)

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犬鳴村(廣田龍平)

第五章 一度は聞いたことがある
    定番都市伝説の真相

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口裂け女(本城達也

FILE028
人面犬(廣田龍平)

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トイレの花子さん(廣田龍平)

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赤マント(廣田龍平)

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ミミズバーガー(小山田浩史)

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死体洗いのアルバイト(小山田浩史)

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消えるヒッチハイカー(小山田浩史)

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下水道に潜むワニ(小山田浩史)

「おわりに」(本城達也
「執筆者紹介」


「はじめに」では、ASIOS代表の本城達也氏が「『都市伝説』が秘める魅力と危うさ」として、「都市伝説とは軽くて便利な言葉です。一方、陰謀論が含まれていることからもわかるように、安易に近づいてしまうと、ドツボにはまる危険もはらんでいます。たとえば最近では『Qアノン陰謀論』が話題になりました。2021年には支持者達が議会議事堂に乱入し、死傷者を出す前代未聞の事件を起こしています」と述べています。


元々Qアノンとは、アメリカの掲示板に現れた匿名の投稿者「Q」に由来します。Qは政府の内部情報に通じているかのように装い、謎めいた文を投稿しては閲覧者を扇動していたことを紹介し、本城氏は「そうした文の『解読』によれば、エリートは性的虐待を加える小児性愛者だといいます。また若返りのため子どもの生き血を飲み、人肉を食べ、余った肉はマクドナルドで加工されている・・・。さらに上部組織にはディープステートという秘密結社があり、庶民派のトランプ前大統領は、その秘密結社と戦うヒーローである・・・・・・などなど」と書いています。


そのような「解読」について、本城氏は「都市伝説やゴリゴリの陰謀論が含まれ、荒唐無稽に思えるかもしれません。しかし、こうした話を信じる人達が一定数存在し、事件を起こすまでに至る現実があります。そのため、面白いから、怪しいのがいいからと放っておくのではなく、時には事実確認も必要だと思うのです。そこで本書では、陰謀論を含む広い意味での都市伝説をはじめ、定番都市伝説やネットで話題になった比較的新しい都市伝説なども集め、その謎解きを試みました」と述べるのでした。


都市伝説FILE03「宇宙人を祀るギョベクリ・テぺ~人類最古の遺跡は古代に宇宙人が訪れた証拠なのか!?」の「伝説」では、トルコの南東部・シャンルウルファの丘の上にある人類最古の神殿遺跡「ギョベクリ・テぺ遺跡」から発掘された石柱には、世界最古の象形文字が彫られていたことが紹介されます。「星座のシンボルとなる動物たちが彫られた石柱を科学的に分析したところ、そこに記されていた星座の配置は紀元前1万950年前のものだと判明。世界四大文明よりはるか昔に栄えた人類最古の遺跡だったのだ」と書かれています。


この遺跡には不思議なことに人間が住んでいた形跡がまったくありません。そればかりか遺跡の周辺には、不自然なくらい何もありません。そのため宗教施設として建造されたと言われているとして、「従来の定説では、農耕技術が生まれたことによって人々が一箇所に定住し、文明とともに宗教が誕生したと考えられてきた。しかしギョベクリ・テペ遺跡は、何もないところに突然宗教が誕生したことを示している」と書かれています。


しかし、「真相」の「伝説は古代宇宙飛行士説の典型的なパターン」には、人類は数百万年という長い時間をかけて、工夫を重ね、力を合わせて文明を築いてきたとして、「巨大な建造物は我々の祖先たちの知恵と努力の結果なのだ。超古代文明説を唱える人々は古代ギリシャの神殿や中世ヨーロッパの石造りの教会は人が造ったと疑わないのに、イースター島ポリネシア人がモアイを作ったとは考えられないという。差別的な考え方も潜んでいる、と。ギョベクリ・テペは、比較的最近になって注目された遺跡で、文明発祥の地メソポタミアの非常に古い時代の巨石建造物だ。どうしても宇宙人と関連させたかったのだろう」と書かれています。


また、「ギョベクリ・テぺ遺跡の特殊さ」では、歴史では何もないところにいきなり何かが出現したりはしないとして、「ギョベクリ・テペは、旧石器時代を生き抜き、気候変動で出現した1万2000年前のメソポタミアの豊かな自然環境の恵みの元で繁栄を始めた人々が、自分たちの技術の粋を使って作り出した遺跡だったのだ。現代の我々の思い込みを知ったら、古代人はお腹を抱えて笑い転げるかもしれない。今後の研究がどれほど真相に迫れるか、見守っていきたい」と書かれています。


都市伝説FILE12「光の道レイライン~パワースポットは大地の聖なるエネルギーの流れの上に造られた!?」の「伝説」には、「古代の遺跡や宗教施設、霊山など、いわゆるパワースポットと呼ばれるものを地図上にて直線で結ぶと、光の道『レイライン』が現れるといわれている。たとえば日本では、茨城県にある鹿島神宮と宮崎県にある高千穂神社を結ぶ線上に、皇居、明治神宮、富士山、三重県伊勢神宮といったパワースポットがずらりと直線上に並ぶ」と書かれています。


また、ほかにも「御来光の道」と呼ばれるレイラインもあるとして、「これは千葉県の玉前神社島根県出雲大社を東西一直線に結ぶものだ。その線上には神奈川県の寒川神社、富士山、山梨県身延山久遠寺、七面山、滋賀県伊吹山竹生島京都府皇大神社鳥取県三徳山三佛寺、大山、母塚山といった数多くのパワースポットが、地図上で見事な直線を描く」と紹介されています。



しかし、「真相」では、地図の縮尺の場合、50キロの距離が1.8センチになるが、レイラインを画像のように2ミリの線で引くと、その地図上の2ミリが実際の距離では約5.5キロもの幅になってしまうと指摘し、「これは東京ドームを25個半も並べられるほどで、東京でいえば千代田区の東京駅から墨田区スカイツリーまでの距離(約5キロ)よりも長い。当然、そんな大ざっぱな太すぎる線を引けば、その中には無数の神社などが入ることになる。ただし、鹿島神宮高千穂神社レイラインの場合は、皇居、明治神宮、富士山がライン内に入る一方、伊勢神宮だけは外れてしまい、入らない」と書かれています。そして、最後に本城達也氏は「直線どころか、実際はガタガタである。これでは到底、『地下の聖なるエネルギー』なるものに沿っているとは考えられない。結局、現実には無関係に存在しているものを、現実を無視した線でつないだものこそ、『レイライン』というものの正体だったのではないだろうか」と述べるのでした。

 

都市伝説FILE16「世界を支配するフリーメイソン~世界を影で操る、長き歴史を持つ恐るべき悪の秘密結社」の「真相」の「消失感が生みだしたメイソン陰謀説」では、「何のための革命だったかわからない」という、革命後にフランス全土に広がった消失感が、さらなるメイソンの悲劇を呼んだと指摘し、「この消失感をもとにして「フランス革命=メイソン陰謀論」が生み出されたのだ。革命後、没落させられた貴族や聖職者といった旧勢力派側は、一体誰の陰謀で自分らが持っていた既得権が踏みにじられ取り上げられたのか、その『犯人捜し』を始めた。また一方で革命派の方も、約束されていた自由と解放の日々が始まるはずだったのに、フランスはなぜか恐怖政治の時代へと突入してしまって、その理由を探す必要に迫られていた。そこで考え出されたとてもイージーな結論が『全部、メイソンが悪い』という『メイソン陰謀論』の見立てであった」と書かれています。



都政伝説FILE18「ロスチャイルドとロックフェラー~世界は2つの一族が支配している。世界を牛耳るユダヤ財閥の真実」の「真相」の「ロックフェラー家の実像」では、現在の当主ジョン・デイヴィソン“ジェイ”ロックフェラー4世の総資産を調べてみると、1億6000万ドルと推定されていることを紹介し、「これに対しアマゾン創業者ジェフ・ベゾスの資産額は1510億ドル、電気自動車メーカーのテスラやスペースXの創業者イーロン・マスクは2510億ドルと桁違いである。つまり単に経済的影響力をいうなら、ロックフェラー家よりも、新しい産業で財をなした彼らのような人物の方が大きくなっている。ロックフェラー陰謀論も、もう時代にそぐわなくなっていると言えるのではないだろうか」と書かれています。ここでは、ギョベクリ・テぺ、レイラインフリーメイソンユダヤ財閥陰謀論などを取り上げましたが、本書には他にもさまざまな都市伝説や陰謀論の「真相」が書かれており、興味は尽きません。オカルトや陰謀論をすぐ信じる方にはおススメです!

 

 

2023年6月25日 一条真也