炎上の国のピエロ

一条真也です。
一夜明けても炎上が続いています。
25日、さいたまスーパーアリーナで開催された「超RIZIN」の朝倉未来vsフロイド・メイウェザー戦の試合前に起こった世紀の非礼行為への反応です。



このとき、デジタルチケットを420万円で購入し、メイウェザーの花束贈呈役として登場した「ごぼうの党」の奧野卓志氏が、メイウェザーの目の前で花束を手渡すことなくリングに投げ捨てました。会場は騒然となりましたが、メイウェザーは両手で花束を拾い上げ、何事もなかったかのように試合への準備を進める〝神対応〟を見せました。この件については、ブログ「朝倉未来vsメイウェザー戦を観て」ブログ「花束投げ捨てと元首相暗殺」にわたしの意見を書きました。わたしは、奥野代表が反米の陰謀論者であることから、「アメリカの陰謀で日本が存亡の危機に立たされている」ということを広く知らしめるために、批判を覚悟であのような行動に出たのではないかと推測し、彼の心中には安倍元首相を銃殺して「元統一教会の悪事を世に知らしめる」という目的を果たした山上徹也容疑者の存在があったのではないかとも書きました。

東スポWEB」より

 

しかし、東スポWEBが配信した「【RIZIN】〝花束投げ捨て〟ごぼうの党・奥野代表を独占直撃『メイウェザーは金の話ばかり』『非礼には非礼で返しただけ』」という記事では、「東京スポーツ」の独占直撃に対して、奥野氏が花束投げ捨て行為の真意を話しています。それによれば、以前からメイウェザーとは面識があって気に食わなかったと述べており、呆れました。奥野氏には山上容疑者のような切羽詰まった切実な思いなどは存在せず、ただの嫌がらせだったのです。そこに大義などありませんでした。ネットでの大炎上については、奥野氏は「ネット上は群れるのが好きだから、今日は『奥野を叩いとけ』と心が貧しいよね。誰かを叩いたらスッキリする。炎上するとかしないとか人の意見は関係ない。誰にどう思われようとも自分は自分だから」と述べます。「心が貧しい」のは誰よ?


奥野氏は、「炎上するなというのは、やる前から分かっていた。それでもごぼうの党を知ってくれたらいいなという気持ちでやっている。僕はこの国をなんとか守りたい気持ちでやっているだけ。奇人、変人扱いされるが、映画『ターミネーター』のサラ・コナーみたいに先が分かっているから良くも悪くも本音、直感で生きている。来年、緊急事態条項を通されたら日本はホールドアップだからね。いくら悪口を言われてもいい」とも述べています。こんな品性下劣なトンデモ陰謀論者に例えられては、サラ・コナーも心外ではないでしょうか? というか、サラ・コナーに失礼ですよ。あと、奥野氏は反米主義者のくせにハリウッド映画はお好きなようですね。(笑)



ごぼうの党」というのは泡沫政党ですが、NHK党といい、「炎上して注目を集めて、最後は力業で議席を獲得する」というのが最近の流行のようですね。YouTuberと称する何の才能も実績もない単なる目立ちたがり屋の個人をはじめ、企業でも政党でも「炎上マーケティング」がすっかり定着した感がありますが、日本が「炎上の国」になってしまって、誠に遺憾です。「顰蹙は金を出してでも買え。」と言った出版社の社長がいましたが、まさに日本はそんな人間だらけになってきました。わたしは、今年8月24日に逝去された故稲盛和夫氏のことを考えてしまいます。稲盛氏の死後、日本の産業界も「利己心」丸出しの「弱肉強食」の方向に進むような嫌な予感がします。



論語』にも精通された稲盛氏は、「動機善なりや、私心なかりしか」と言われました。しかし、炎上上等の連中というのは、みんな動機は不純だし、私心のみではないですか! 稲盛氏は「利他」の心の重要性も訴えられました。コロナ禍の唯一のメリットは、「利他」への関心が高まったことではないでしょうか。マスクをすること、行動を自粛すること、ステイホームすることなどは、自分が新型コロナウィルスにかからないための防御策である以上に、自分が無症状のまま感染している可能性を踏まえて、他者に感染を広めないための行為でもあります。そういえば、奥野氏は反マスク主義者、反ワクチン主義者だそうですね。奥野氏は経営者でもあるそうですが、経営者あるいはリーダーとして稲盛氏が100点なら、奥野氏は0点、いや、-100点だと思います。



メイウェザーは落ちた花束を黙って拾い上げ、称賛された」という記者の発言に対して、奥野代表は「あの子と対峙して、思ったが、いじめられっ子上がりだね。努力してつかみ取ったポジションを離したくない一心で、寂しそうな目をしていた」と言いました。あれだけの非礼を働いておいて、なんという言い草か! メイウェザーは立派でしたよ。ボクシングの世界バンタム級3団体統一王者・井上尚弥が「エキシどうこうではなく捨てられた花束を拾ったメイウェザーがカッコよ過ぎた・・・。俺なら確実に拾わん。。メイウェザーに謝罪したい気持ちになったのは俺だけじゃないはず、、」とツイートしましたが、メイウェザーに対する称賛も、奥野氏に対する批判と同じくらい拡散しています。ブログ『結局うまくいくのは、礼儀正しい人である』で紹介した本のタイトルではありませんが、最後に勝つのは礼儀正しい人なのです!

 

 

だいたい、奥野氏のような泡沫政党の党首ごときが世界のスーパースターであるメイウェザーを上から目線で「あの子」呼ばわりするとは笑止千万。奥野氏こそ、寂しそうな目を、あの趣味の悪い変なサングラスで隠しているように思えてなりません。とにかく利己心の塊である奥野氏には、他人をリスペクトする「礼」の精神の欠片もありません。明日、安倍元首相の国葬が開催されます。国葬とは、日本が世界に対して「礼」を求める儀式にほかなりません。その国葬の2日前、さらには弔問外交がスタートする前日に「礼」そのものを否定する愚行を世界中に晒した奥野氏の責任はきわめて重いと言えるでしょう。「炎上の国のピエロ」となった彼は日本国の国益を大きく損ないました。この落とし前は、彼にきっちりつけてもらわねばなりませんね。というか、もしかして、奥野氏の行為には安倍元首相の国葬を妨害する意図があったのでしょうか?



2022年9月26日 一条真也