花束投げ捨てと元首相暗殺

一条真也です。
まだ胸糞の悪さが消えません。ブログ「朝倉未来vsメイウェザー戦を観て」で紹介した「ごぼうの党」の奥野卓志代表がメイウェザー選手への花束を投げ捨てた一件です。

 

この奥野代表の非礼行為にSNSでは批判の声が殺到しています。メインイベント直前の花束贈呈のシーンで、朝倉未来にはラッパーのZeebraが渡しました。その直後、袴姿で現れた奥野代表は、花束を渡す素振りを見せるも、それをリング上に故意に落としたのです。結局、奥野代表はそのまま花束を渡さず、退場。会場は一時騒然となりましたが、メイウェザーは動じることなくリング上の花束を拾い上げ、それをセコンドに渡しました。

ヤフーニュースより

 

このメイウェザーの大人の態度に対して、ボクシングの世界バンタム級3団体統一王者・井上尚弥ツイッターで反応し、「エキシどうこうではなく捨てられた花束を拾ったメイウェザーがカッコよ過ぎた・・・。俺なら確実に拾わん。。メイウェザーに謝罪したい気持ちになったのは俺だけじゃないはず、、」とつぶやきました。わたしは、「やっぱり、井上尚弥はいいなあ!」と思いましたね。


奥野代表の非礼行為に対して、ネット上では「日本人の恥」「酷いと言うか恥晒し」「花束つくった人に謝ってくれ」「失礼すぎる」「さすがにリスペクトが無さすぎじゃないか」「水差さないで欲しい」「礼儀を重んじろや」「花くらいちゃんと渡そうや」「これはやっちゃダメだろ」「朝倉未来選手にも失礼です」「ほんま何しに来たんって感じやな」「それは違うよ! ダメ絶対!!」「奥野は国外追放!」など批判の声が殺到しています。


昭和のプロレスなら、タイガー・ジェット・シンが花束嬢を襲ったり、ボボ・ブラジルが渡された花束をムシャムシャ食べるシーンもありました。しかし、それらは非礼行為というよりも完全にプロレス的演出でした。しかし、朝倉vsメイウェザーはプロレスではなく、ボクシングのエキシビションマッチです。エキシビションといえども日本中、いや世界中が観ている中での失礼千万な行為でした。RIZINの榊原CEOも全試合終了後に謝罪しています。


ネットには、ごぼうの党の公式サイトにある「ただシンプルに私たちの笑顔と喜びを守ることだけを考える政党があっても良いと思いませんか?」という政党のキャッチコピーを取り上げ、「笑顔になれません。朝倉未来はスポーツアドバイザー顧問として参加しています。ごぼうの党以外の人間に対して一切リスペクトをしないのが党の方針だとよく分かりました。日本の恥を世界に晒しました。一刻も早い解党を望みます」との声もありました。


ヤフーニュースより

 

それにしても、一体どうして、奥野代表は政党にとって逆風しか吹かない蛮行に及んだのでしょうか? ツイッターでは「ごぼうの党」がトレンド入りし、朝倉vsメイウェザーの試合結果よりも注目されている始末ですが、どうやら奥野代表の目的だったのでしょうね。選挙権を持った視聴者の1000人に1人でも好意的に受け取る人間がいれば満足なのかもしれません。


もともと、ごぼうの党は「謎の政党」と呼ばれてきました。芸能人に人気があったことで知られ、俳優の山田孝之、三浦翔平、元NEWSの山下智久、ONE OK ROCKのTaka、元雨上がり決死隊宮迫博之ロンドンブーツ1号2号の田村淳、GACKT、YouTuberのヒカルなどの著名人が支持を表明したことで注目を集めました。なんだか、スキャンダルの渦中にあった人が多く、あるいは暴露系YouTuberで参議院議員であるガーシーの人脈に限りなく近いように感じるのは、わたしだけではありますまい。


ガーシーといえば、NHK党の所属ですが、同党の党首である立花隆志氏は奥野代表について、「とにかく怖い人」と表現しています。動画などで観る限り、立花氏もかなり怖い人だと思いますが、奥野氏は陰謀論者で極度の反米主義者だそうです。日本を黒船襲来前の江戸時代に戻したいというのですから、これはかなり気合が入っていますね。ごぼうの党の支持者によれば、奥野氏はある緊急事態条項を止めるために先の選挙に出馬しましたが、最近は一身に攻撃を受けてストレスが溜まっており、日本がアメリカの支配から脱却するために焦っていたそうです。それで、アメリカ人のスーパースターであるメイウェザーに対して、あのような行為に及んだことが考えられます。


その瞬間を観た人々は「なぜ、こんなことをする?」「あいつは誰だ?」「ごぼうの党って何だ?」と考えますからね。奥野氏が筋金入りの反米主義者であると知っていて花束贈呈をさせた「超RIZIN」の運営側にも悪意を感じますが、デジタルチケットを最高額の420万円で落札した特典としてメイウェザーへの花束贈呈役を務めたとか。ということは、「金さえ出せば、誰でもメイウェザーに花束が贈呈できた」わけで、これまたお粗末な話ですね。運営側の拝金主義とリスク管理能力のなさには呆れます。メイウェザーの紳士的な態度に救われたものの、日本が非常識な国であることを世界中に発信してしまいました。


わたしは、支持者が指摘する奥野代表のストレス(そんなものがあるとすれば)はある人物のストレスに似ているのではないかと思いました。ある人物とは、安倍元首相を暗殺した山上徹也容疑者です。彼の母親は旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の信者で、多額の寄付をして破産させられました。教団に恨みがあった彼は幹部を襲撃しようとしましたが、接触は困難でした。それで教団とつながっていると思った安倍元首相を狙ったのでした。暗殺は成功し、彼は日本の歴史に残る犯罪者となりました。しかし、彼の「旧統一教会の悪事を世に知らしめたい」という目的は結果的に果たされたわけです。


目的のためには手段を選ばす、殺人さえ厭わないことを「テロリズム」といいます。いろいろと焦っていた奥野代表の心の底には結果的に目的を果たした山上容疑者の存在があったのではないでしょうか? そして、山上容疑者の目的とは「旧統一教会の悪事を世に知らしめたい」でしたが、奥野代表のそれは「アメリカの日本支配を日本人に知らしめたい」ではなかったか。要するに、山上容疑者の告発すべき相手は旧統一教会で、奥野代表のそれはアメリカだったのです。今回の蛮行で世間の注目を浴びれば、奥野代表の主張は日本中に拡散されるはずです。しかし、非礼行為が世界中に中継されてしまったので、「日本人は非常識&CRAZY」という負のイメージもまた世界中に拡散されることは確実であろうと思います。


別に日本が世界から孤立しても、奥野代表は構わないのでしょう。なぜなら、彼は日本を鎖国時代に戻したいと思っているからです。陰謀論者といえば、死刑になったオウム真理教の教祖だった麻原彰晃松本智津夫)を連想するのは、わたしだけではありますまい。しかし、27日に行われる安倍元首相の国葬の2日前にこのようなインパクトのある事件が起きてしまうと、日本の外交にとってマイナスこの上ないですね。まあ、エリザベス女王国葬には参列しても、今回は来日しない海外首脳は多いですが。いずれにせよ、日本のイメージを決定的に貶めた「安倍元首相の暗殺」と「メイウェザーへの花束投げ捨て」の2つの事件の主役の心に深い闇があったことは間違いありません。

 

2022年9月25日 一条真也