朝倉未来vsメイウェザー戦を観て

一条真也です。
25日、総合格闘家朝倉未来vsプロボクシング元5階級制覇王者のフロイド・メイウェザーエキシビション戦を観ました。U-NEXTで「超RIZIN」のPPVを購入して、自宅の書斎で観戦したのです。


U-NEXTより

 

前日まで東京にいたので、一泊して「さいたまスーパーアリーナ」まで行って生観戦しようかとも思いましたが、国葬を目前にして都内が厳戒態勢に入っているのが煩わしくて自宅でオンライン観戦することにしました。第1試合の三浦孝太も第2試合の吉成名高もイケメンで強いので、驚きました。ただ、2人とも軽量ですが。第3試合の皇治は週刊誌に追われる有名なモテ男だそうですが、大阪のヤンキー上がりのホストといった感じで、わたしの好みではありません。三浦と吉成はわたしの好みです。メインの朝倉vsメイウェザー戦の前にはセレモニーが行われ、日米の国歌も斉唱されましたが、それに続く花束贈呈で前代未聞の非礼行為がありました(詳しくは最後に)。


「路上の伝説」朝倉(U-NEXTより)


「史上最強」メイウェザー(U-NEXTより)

 

朝倉vsメイウェザーエキシビションマッチですが、パンチのみのスタンディングバウト3分3ラウンドのエキシビションで対戦しました。2回終了間際に右ストレート1発でダウンを奪い、TKO勝ちしました。朝倉は、1回開始早々に左ストレートをメイウェザーのボディーに浴びせました。しかし、メイウェザーは高いガードとボディーワークで有効打を許さず、2分すぎからプレッシャーをかけながら、左右ストレートを朝倉に畳み掛けました。


ボクシングで闘った朝倉(U-NEXTより)


メイウェザーを本気にさせた!(U-NEXTより)

 

2回に入ると、メイウェザーがじわじわを前進して、スピードに乗った有効打を朝倉に再三ヒットさせました。朝倉の左右フックを浴びるシーンもありましたが、終了間際に右ストレートのカミソリパンチを打ち込んで試合を終わらせました。負けはしましたが、総合格闘家の朝倉がボクシングルールで勝つと思っていた人はいませんでした。パンチを受けないことで知られるメイウェザーに強烈なパンチを何発も炸裂させた朝倉は、よく健闘したと思います。


カミソリパンチでTKO!(U-NEXTより)


朝倉、よくやった!(U-NEXTより)

 

試合後、TKO勝ちを収めたメイウェザーは「朝倉選手に拍手を送ってください」とリング上で観衆にアピールしていました。試合の約1時間前に会場入りし、控室でもニヤニヤしながら鼻歌をうたっていたメイウェザーでしたが、彼の遊びモードは朝倉の開始早々の1発のストレートで一気に本気モードに変わりました。1976年6月26日、世界的には無名だったアントニオ猪木モハメド・アリとの「格闘技世界一決定戦」を行いました。その後、猪木の名前が世界中の格闘技ファンに知られることになったように、朝倉も今後は世界的に注目されるように思います。



いま、「猪木vsアリ戦」を持ち出しましたが、今回の「朝倉vsメイウェザー戦」と比較する人もいるようです。しかし、両試合はまったく違います。エキシビションということでは同じでしたが、猪木vsアリ戦は3分15ラウンドでしたし、多くの制限を受けながらも猪木はキックやプロレス技も使えました。ボクシングルールではない異種格闘技戦だったのです。そして、何よりも当時のアリは現役の世界ヘビー級チャンピオンでした。「不敗で5階級制覇」といいながらも、引退してかなりの時間の経つメイウェザーとは違うのです。今から考えても、猪木vsアリ戦が実現したことは本当に奇跡のような事件であったと思います。アリが、今回のメイウェザーのように、「どうせ、エキシビションだから」と甘く考えて猪木戦を受けたことは事実ですが・・・・・・。



その猪木vsアリ戦ですが、猪木が寝転がった状態からアリの足に蹴りを仕掛け、アリのパンチが届かず攻めあぐねる展開でした。結局、両者決め手に欠け、15ラウンド引き分けに終わりました。当時、ルール説明の不徹底から酷評された一戦も、アリ側からの厳しい要求によるルール上の制約があったためで、猪木側にとっては不利なルールであったことがのちに判明しています。現在の総合格闘技でも、片方が寝て、片方が立っている状態を「猪木・アリ状態」と表現し、寝ている選手が放つ蹴りは「アリキック」と呼ばれています。いま、DVDで「世紀の一戦」を観直すと、15Rをひたすら寝て闘う猪木の姿に感動すら覚えます。まさに「20世紀最大のスーパーファイト」であり、MMA(総合格闘技)の原点でした。



さて、朝倉vsメイウェザーの試合前のセレモニーで発生した非礼行為とは何か。メイウェザーに花束を渡す役は「ごぼうの党」の奥野卓志代表だったのですが、なんと彼は花束をメイウェザーに手渡さず、リングに叩きつけたのです。ネットで調べると、朝倉は奥野代表と親しく、「ごぼうの党」のスポーツアンバサダーだそうですが、それならば、奥野代表は朝倉に花束贈呈すればいいものを、なぜ運営側はメイウェザーの花束贈呈をさせたのでしょうか? リングアナウンサーが「最高額で落札された『ごぼうの党』の奥野代表です!」と紹介している声が聞こえましたが、奥野代表はメイウェザーへの花束贈呈の権利をカネで買ったのでしょうか? 



いずれにしても、国歌斉唱の後の花束贈呈での非礼行為はありえません。メイウェザー選手のみならず、アメリカ国も侮辱したことになり、時代が時代なら戦争になるような事件です(もし白人が黒人相手に同様の行為をした場合、ヘイト行為として大問題になります)。「ごぼうの党」が反米路線なのかどうか知りませんし、興味もまったくありませんが、「さいたまスーパーアリーナ」の観客は朝倉vsメイウェザー戦を観に来ているのであり、「ごぼうの党」のくだらない政治的パフォーマンスを見に来ているのではありません。U-NEXTやABEMAでの購入者も同様です。そんなこともわからずに、悪目立ちする奥野卓志という男は(彼の政治的主張など知りませんが)、正真正銘の馬鹿であり、そんな馬鹿が代表を務める政党には未来がないと思いました。この非礼行為は世界100カ国にLIVE配信されたそうですが、まったく日本の恥です! RIZINの榊原代表も同罪。こんなことだから、地上波から反社扱いされるのではないですか!

 

 

2022年9月25日 一条真也