美しさは所作から

一条真也です。
姫路に来ています。早めの夕食を取って、今夜はホテルで休息しています。そんな中、ある気になるニュースをネットで見つけました。ユーチューバーなる職業が世間に認知されてからかなりの時間が経ちましたが、カリスマユーチューバーとされている1人にヒカルという青年がいます。


4月5日、彼は自身のYouTubeチャンネルを更新しましたが、「ヒカルを拉致して熱愛報道について徹底的に質問攻めしてみたww」というタイトルがついています。同じくユーチューバーのラファエルをはじめとした仲間内が出演した動画ですが、発覚したばかりのヒカルと元乃木坂46の松村沙友理とのの熱愛事情を聞き出そうというものです。ヒカルは、ラファエルらに連れられたヒカルは用意された食事会の席につかされたのでした。彼女のどこに惹かれたのかを問われると、ヒカルは「完璧に顔が好き。スタイルも肌のきれいさも、強烈にかわいいと思った。肌が異常に綺麗なんですよ、俺の肌が汚かったこともあるんで、そこに異常に惹かれましたね」と語っています。

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ヤフーニュースより

 

そんな和気あいあいと進行する食事会でしたが、「ヒカルの恋バナ」そっちのけで彼自身の“行動”が気になって仕方がない視聴者もいたようです。というのも、ヒカルが食事する姿に対して、「食べ方汚すぎ」「マナーが酷い」などと悪い印象を持った人も多く、あまりの絵面に「周りに指摘してくれる人がいないの」「マナーの授業受けた方がいい」と正すことを薦められていたといいます。特に、箸でお皿を寄せる、食べ物を箸で刺す、また1度箸で持ったものを戻す、箸を持ったまま指を差す、テーブルに肘をつけて食べる、といったお箸マナーに目が行ったようです。「週刊女性PRIME」が配信した「ヒカル、松村沙友理との恋バナ中に『寄せ箸・刺し箸』する食事マナーにドン引き」という記事には、「一般的にマナー違反とされる箸づかいではあるも、気にすることなく食事を楽しむヒカル。社会経験の乏しい10代ならいざ知らず、彼はもう30歳のいい大人だけに、また若者への影響も大きいトップユーチューバーだけに批判の声も大きくなったのか」と書かれています。

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ヤフーニュースより

 

その後、「スポニチ・アネックス」配信の「ヒカル“食事マナーにドン引き”報道に困惑『こんなことすらニュースになってしまう時代』」という記事によれば、ヒカルは「こんなことすらニュースになってしまう時代 みんなで拡散なんて嫌がらせせずに俺にこっそり教えてくれ笑」と困惑した様子で、「ちなみに昔からプロフィールに常識と品格は身につけておりませんと載せてるので未来予知してました」とツイートしていたそうです。しかし、婚活・恋活アプリ「Dine」を運営するMrk&Coの調べ(2021年10月)では、男女の9割以上が「食の相性」をパートーナーの判断材料にしており、さらに女性の4割以上が「重要な判断材料になる」と重要視しているとか。また、食事マナーの中でも『特に気になるもの』として、「箸の持ち方が変」「刺し箸や迷い箸等、箸のマナーが悪い」といった意見も男女共にランキング入り。交際、また結婚となれば日々の食卓を囲むだけに、パートナーの食事マナーはストレスになりかねないということでしょう。

f:id:shins2m:20220408190533j:plainイラストでわかる 美しい所作・振る舞い

 

「マナー」という言葉に集約される所作や振る舞いは、とても大切です。先に紹介したヒカルの発言から、恋人の「スタイルの良さ」や「肌の綺麗さ」に惚れていることがわかりますが、本当の人の美しさというのは所作から来るものです。いくらスタイルが良くて、どんなに肌が綺麗でも、所作の汚い人は「美しい人」ではありません。わたしは、『イラストでわかる 美しい所作・振る舞い』(メディア・パル)という本を監修しました。同じ動きをしているはずなのに、なぜかあの人には品がある。そんなふうに感じることはありませんか。本書では、実践礼道小笠原流をベースに、美しさを感じさせる所作と振る舞いを集めました。美しくみせるコツや、気をつけるポイントを知れば、ぐっと印象が変わります。

f:id:shins2m:20220408182502j:plainイラストでわかる 美しい所作・振る舞い』より

 

イラストでわかる 美しい所作・振る舞い』では、箸使いについてのページも用意しました。食べるときの所作には、その人の性格や普段の生活ぶりがストレートに表れるので気をつけたいものです。箸使いにも「忌み箸」「嫌い箸」と呼ばれるタブーが存在しますが、これらを避けるだけでも食べ方は格段の上品になるはずです。もちろん、「寄せ箸」や「刺し箸」などを避けた方がいいのは当然ですね。ヒカルの動画を観た某ネットニュースの編集者は、「お互いに多忙な身だけに、松村さんとは“時間が合った時に”会っているというヒカル。これからデートを重ねていく上で、彼とも食事する機会も増えていくでしょう。余計なお世話ながら、彼のマナーを見て幻滅、なんてことにならなければいいですが」とコメントしています。

f:id:shins2m:20220404090738j:plain西日本新聞」2022年4月4日朝刊

 

わが社は、冠婚葬祭業という「礼」を核とする会社ですので、また、父であり会長の佐久間進が「実践礼道小笠原流」の宗家ですので、社員教育にも小笠原流礼法を取り入れています。8日もNHKの取材が入り、来週13日(水)の午後6時30分からのニュースで放送予定です。ブログ「小笠原流礼法で研修」で紹介したように、4月4日の「西日本新聞」に、わが社の新入社員教育を取材した記事が掲載されました。記事は「小笠原流礼法で新入社員の研修」の見出しで、以下のように書かれています。「冠婚葬祭会社のサンレー」(佐久間庸和社長、北九州市小倉北区)は3月31日、かつて小倉城の城主だった小笠原家に伝わる「小笠原流礼法」を取り入れた新入社員研修を行った=写真。新入社員はお辞儀や歩き方などマナーを学んだほか、今年は3年ぶりに茶道体験も実施した。小笠原流礼法は、小倉城城主だった小笠原家に伝わる武家礼式の一流派で、おじぎや姿勢など基本動作のほか、食事や手紙の書き方、花の生け方などさまざまな礼儀作法がある。同社は、この礼法を社員研修に取り入れてマナーを新入社員に教えている。特に茶道は月数回教室を実施しており、学び続ける社員もいる。研修では新型コロナウイルス感染を考慮して一昨年から中止していたが、今年は実施。新入社員は正座の仕方、茶菓子のいただき方など細かい指導を受けながら体験を楽しんだ」と書かれています。


そのヒカル氏、YouTubeの世界に途方もないモンスターを生み出しました。「ガーシー」こと暴露系ユーチューバーの東谷義和氏です。もともとヒカルが「この人は詐欺師です!」と動画で告発したのですが、その後、東谷氏は今年の2月17日に「ガーシーCH【芸能界の裏側】」というYouTubeチャンネルを立ち上げました。初回動画は「ヒカル聞け!東谷義和があの一件について全てお話します」というタイトルで、その後は有名芸能人たちの裏側を暴露。同チャンネルの説明文には、「誰も知らない芸能人との27年間の真実の情報を全てさらけ出します。はっきり言って芸能界がひっくり返ります。(中略)超大物俳優、アーティスト、芸人、たくさんの繋がりがあり、マスコミに出回っていない繋がりがや情報が山ほどあります。はっきり言って週〇文〇が書いてることなんて真実を全て知る俺にとっては氷山の一角ですらない。俺がこのチャンネルでこれから配信していくことでCMや映画やドラマの公開が中止になる人もたくさん出てくるでしょう。でもな、散々お世話してきて手のひらを返した奴を俺は絶対に許しません」と書かれています。相当の覚悟ですね。


その後も、東谷氏は次々と有名芸能人たちの秘密を暴露し続けています。東谷氏のただならぬ覚悟と行動力に怯んだのか、ヒカルは東谷氏に謝罪したようです。ところが、4月7日、とんでもない記録が生まれました。なんと、「ガーシーCH【芸能界の裏側】」の登録者数が100万人を超えたのです。開始してから、わずか50日目。しかも、有名人でも何でもない50過ぎの一般人がこの記録を達成したことは凄いことです。こんなモンスターを生み出してしまったヒカル氏、もしかしたらガーシー氏のさらなる復讐が怖くて、動画撮影中に箸使いどころではなかったのかもしれませんね。でも、いくら仲間内の動画といっても世界中に配信されているわけですから、箸使いくらいはきちんとお願いしたいものです。日本人の恥になりますから。

 

 

2022年4月9日 一条真也