ジャパニーズ・ホスピタリティ  

一条真也です。
いよいよ今年も残りわずかになってきました。
19日の朝、スターフライヤーで東京へ。今年最後の出張です。
この日、「サンデー毎日」12月31日号が発売されます。
表紙の人物は、俳優の松坂桃李さん。今年も大活躍でしたね。
わたしは、同誌にコラム「一条真也の人生の四季」を連載しています。
第110回のタイトルは、「ジャパニーズ・ホスピタリティ」です。


サンデー毎日」2017年12月31日号



師走のあわただしい中、六本木ヒルズハリウッド大学院大学で講義をしました。昨年に続く2回目の出講で、「冠婚葬祭のホスピタリティ(おもてなし)」がテーマでした。受講生は外国人が多かったですが、拙著『決定版 おもてなし入門』(実業之日本社)の内容を中心に話しました。



わたしは創業70年を数えるホテルの3代目として生まれ、幼少の頃はホテル内に住んでいました。ですから、「おもてなし」という言葉は物心ついた頃から耳にしていました。現在は、冠婚葬祭の会社を経営している。冠婚葬祭の根本をなすのは「礼」の精神で、古代中国で孔子が説いた教えです。平たくいえば、わが社のミッションになっている「人間尊重」ということです。



本業がホスピタリティ・サービスの提供ですので、わが社では、お客様を大切にする「こころ」はもちろん、それを「かたち」にすることを何よりも重んじています。日本人の「こころ」は神道・仏教・儒教の3つによって支えられているというのが、わが持論です。そして、「おもてなし」にもそれらの教えが入り込んでいます。



たとえば、神道の「神祭」では、物言わぬ神に対して、お神酒や米や野菜などの神饌を捧げます。この「察する」という心こそ、「おもてなし」の源流と言えるのではないでしょうか。また、仏教には無私の心で相手に施す「無財の七施」があります。さらに前述した「礼」の精神は儒教の核心そのものです。これらすべてが、日本の「おもてなし」文化を支えているのです。



かつての日本は、黄金の国として「ジパング」と称されました。
2020年の東京オリンピックパラリンピックを控え、今後は「こころの国ジパング」を目指したいものです。
「ジャパニーズ・ホスピタリティ」としての「おもてなし」は、人類が21世紀において平和で幸福な社会をつくるための最大のキーワードです。その中心的役割を担うのは、わたしたち日本人ではないでしょうか。


決定版 おもてなし入門』(実業之日本社


サンデー毎日」2017年12月31日号の表紙



2017年12月19日 一条真也