東京海上日動火災保険講演

一条真也です。
10日の昼、リーガロイヤルホテル小倉を訪れたわたしは、12時半から開催された小倉ロータリークラブの例会に参加しました。カレーライスの昼食を済ませた後、同ホテルで14時から開始された講演会に出講しました。

リーガロイヤルホテル小倉の控室で

トップ保険サービスの野嶋社長と

 

この日、東京海上日動火災保険の九州クラブ例会での講演に出講したのです。小倉高校の同級生で、 小倉ロータリークラブのメンバーでもあるトップ保険サービスの野嶋康敬社長の紹介でした。会場に入ると、所狭しと超満員の参加者が待っており、圧倒されました。熱気ムンムンでした。


最初に講師紹介をされました


登壇し、講演がスタート!

最初は、渋沢栄一翁の話から

論語と算盤』について

 

司会者の方から講師紹介をされた後、わたしは講演をスタートしました。演題は「論語孔子に学ぶ『良き人生』~ウェルビーイングとコンパッション~」です。まず最初に、わたしは渋沢栄一の話をしました。約500の企業を育て、「日本資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一には『論語と算盤』という著書があります。彼は、「道徳の経済の合一」「義と利の両全」を目指しました。また彼は、三菱グループ創業者の岩崎弥太郎とともに、1879年に創設された東京海上保険会社(現・東京海上日動火災保険)の相談役を務めました。

孔子について話しました

孔子は最も尊敬する人物です!

 

それから、孔子の人物紹介や世界史的位置づけから説明しました。孔子は、紀元前551年に中国の山東省で生まれました。ブッダとほぼ同時期で、ソクラテスよりは八十数年早い誕生でした。孔子ブッダソクラテスにイエスを加えて、世界の「四大聖人」です。中国をはじめ、台湾、北朝鮮、韓国、そして日本といった東アジアの人々の「こころ」に大きな影響を与えました。孔子は学問に励み、政治の道を志しましたが、それなりのポストに就いたのは50歳を過ぎてからでした。試みた行政改革が失敗に終わって、「徳治主義」という自らの政治的理想を実現してくれる君主を求めて、諸国を流浪したのです。


会場は超満員でした


パワポを操作しながら説明

春秋戦国時代の末期であった当時は、古代中国社会の変動期でした。つねに「天」を意識して生きた孔子は、混乱した社会秩序を回復するために「礼」の必要性を痛感し、個人の社会的道徳としての「仁」が求められると考えました。多くの弟子を教えた孔子は、74歳で没します。死後、彼の言行録を弟子たちがまとめたものが『論語』です。なぜ孔子を学ぶのか? その理由を説明しました。

人間と人間学

 

それから現代日本に話題を移し、「無縁社会」の話をしました。年間に3万人が無縁死し、3万人が自殺する社会に日本がなってしまった大きな原因は、血縁と地縁が弱まったことです。そして、その結果、あらゆる人間関係が希薄化しました。わたしたちが生きる社会において、最大のキーワードは「人間関係」だと思います。社会とは、つまるところ人間の集まりです。そこでは「人間」よりも「人間関係」が重要な問題になってきます。

人間の幸せについて

 

そもそも「人間」という字が、人は1人では生きてゆけない存在だということを示しています。人と人との間にあるから「人間」なのです。だからこそ、人間関係の問題は一生つきまといます。わたしは、人類が生んだあらゆる人物の中で孔子をもっとも尊敬しています。孔子こそは、人間が社会の中でどう生きるかを考え抜いた最大の「人間通」であると確信しています。その孔子が開いた儒教とは、ある意味で大いなる「人間関係学」とも言えるでしょう。


論語』の世界を語る!

 

孔子は「仁」「義」「礼」「智」といった人間の心にまつわるコンセプト群の偉大な編集者でした。彼の言行録である『論語』は千数百年にわたって、わたしたちの先祖に読みつがれてきました。意識するしないにかかわらず、これほど日本人の心に大きな影響を与えてきた書物は存在しません。特に江戸時代になって徳川幕府儒学を奨励するようになると、教養の中心となりました。そうして儒学は、武士階級のみならず、庶民の間にも普及したのです。

孔子からのメッセージ

 

江戸時代の日本において、『論語』で孔子が述べた思想をエンターテインメントとして見事に表現した小説が誕生しました。滝沢馬琴が書いた『南総里見八犬伝』です。江戸の大ベストセラーになりました。その中に登場する八犬士が持っていた玉には、それぞれ「仁」「義」「礼」「智」「忠」「信」「孝」「悌」の文字が浮かび上がりました。この8つの文字こそ、孔子儒教思想のエッセンスとしてまとめたコンセプト群であり、わたしたち日本人が最も大切にした「人の道」のキーワードでした。


「礼」について語りました

 

それから、わたしは、「仁」「義」「礼」「智」「忠」「信」「孝」「悌」について話しました。「仁」の項目では、結局は「思いやり」の心が最も大切であると言いました。「義」の項目では、正義を行うことこそ勇気であると述べました。わたし自身が最も重視している「礼」の項目では、孔子は高貴な人にだけでなく、障害者や高齢者などをはじめ、あらゆる人に礼を尽くしたことを述べました。そして、「礼」とは「人間尊重」であると訴えました。「智」「忠」「信」「孝」「悌」についても語りました。

サンレーの「M&A」について


アンビション(志)とは何か

 

さて、コロナ禍という想定外の大事件によって、社会は一変しました。これまでのように「ただ儲ければいい」「ただ売上と利益さえ追求すればよい」という商売の仕方では通用しません。これからの企業に求められるものは「M&A」ではないでしょうか。M&Aの「M」とは「Mission(ミッション)」のことです。そして、「A」とは「Ambition(アンビション)」のことです。すなわち、サンレーの「M&A」は「使命」と「志」のことです。

サンレーズ・アンビション」(SAP)について


SAPを具体的に説明しました

 

ミッション経営とは、社会について考えながら仕事をすることであると同時に、お客様のための仕事を通して社会に貢献することです。要するに、お客様の背後には社会があるという意識を待たなくてはなりません。そして、ミッションと並んで会社人に必要なものが、アンビション、つまり「志」です。志とは何よりも「無私」であってこそ、その呼び名に値します。「自分が幸せになりたい」というのは夢であり、「世の多くの人々を幸せにしたい」というのが志です。夢は私、志は公に通じているのです。自分ではなく、世の多くの人々、「幸せになりたい」ではなく「幸せにしたい」。この違いが重要なのです。

晴れ着の無償レンタルについて

子ども食堂について

 

アンビションとは「大志」のことですが、わが社は「サンレーズ・アンビション」として、「天下布礼」を進めています。具体的には「社会貢献」「有縁社会再生」「老福社会実現」「グリーフケア」の4つのカテゴリーで数多くのプロジェクトを推進しています。最近、わが社の社会貢献事業が多大な注目を集めています。わが社の大志、すなわちサンレーズ・アンビションが次々に「かたち」となり、話題を集めています。ブログ「SDGs奨励賞を受賞!」でも紹介したように、地域社会でも認められています。

WC本を紹介

WCをどう捉えるか?

わたしは、「WC」という新しい言葉を提案したいと思います。「WC」とは、トイレのことでも、ワールドカップでもありません。今後の社会および会社経営において重要なコンセプトとなる「ウェルビーイング(Well-being)」と「コンパッション(Compassion)」の頭文字からとったもので、「ウェルビーイング&コンパッション」を意味しています。わたしは、以前はウェルビーイングを超えるものがコンパッションであると考えていましたが、この2つは矛盾しないコンセプトであり、それどころか2つが合体してこそ、わたしたちが目指す互助共生社会が実現できることに気づきました。ウェルビーイングが陽なら、コンパッションは陰。そして、陰陽を合体させることを産霊(むすび)といいます。

ウェルビーイングについて

 

SDGsは、2030年までという期間限定です。それ以降のキーワードは「ウェルビーイング」だと言われています。意味は、「幸福な存在、相手を幸福にする存在」ということになります。SDGsの17の項目を包括する概念と言えます。ウェルビーイングの定義は、「健康とは、単に病気や虚弱でないというだけでなく、身体的にも精神的にも社会的にも良好な状態」というものです。しかし従来、身体的健康のみが一人歩きしてきました。ところが、文明が急速に進み、社会が複雑化するにつれて、現代人は、ストレスという大問題を抱え込みました。ストレスは精神のみならず、身体にも害を与え、社会的健康をも阻みます。健康は幸福と深く関わっており、人間は健康を得ることによって、幸福になれます。ウェルビーイングは、自らが幸福であり、かつ、他人を幸福にするという人間の理想が集約された思想とも言えるでしょう。

コンパッションについて

 

一方、コンパッションは、単なる好意や気遣いの感情以上のことを意味しています。この用語の中心には、互恵性(reciprocity)と具体的行動(action)という考え方があり、それは「思いやり」であり、仏教の「慈悲」「利他」、儒教の「仁」、キリスト教の「隣人愛」にも通じます。コンパッション都市とは、老いや病、死、喪失などを受けとめ支え合うコミュニティのことを指しています。そして、コンパッション企業とは、お客様のこころに寄り添って「思いやり」を示し、さらには、老いや病、死、喪失などを受けとめ支える会社です。互助共生社会の実現のために具体的行動を続けるサンレーにとって、コンパッションはドンピシャリのキーワードです。


奇跡の化学反応としての「産霊」

 

ウェルビーイングとコンパッションを包括すると、「ありのままの自分を大切に、他人に優しく生きる」というメッセージが浮かび上がってきます。冒頭に申し上げた通り、ウェルビーイングだけでもコンパッションだけでも互助共生社会の実現は難しいと思います。これら2つの概念を合体させること、つまり産霊(むすび)を行うことが、ハートフル・ソサエティとしての互助共生社会実現の第一歩となります。しかし、合体させて終わりでは「絵にかいた餅」でしかありません。産霊(むすび)を行い、実現できるカタチに落とし込んだもの、つまりウェルビーイングとコンパッションの息子であり娘に当たるものが「サンレーズ・アンビション・プロジェクト(SAP)」です。


会場は熱気ムンムン・・・・・・

 

地球環境の問題は別にして、人類の普遍的な二大テーマは「平和」と「平等」です。その「平和」「平等」を実現するコンセプトが「ウェルビーイング」「コンパッション」ではないでしょうか? CSHWのハートフル・サイクルは、かつて孔子ブッダやイエスが求めた人類救済のための処方箋となる可能性があるのではないか? 「WC」つまり「ウェルビーイング&コンパッション」の産霊(むすび)を行い、「サンレーズ・アンビション・プロジェクト(SAP)」を実践・推進していくことが、ハートフル・ソサエティとしての互助共生社会実現の第一歩です!

天下布礼」の実践を目指します!

 

わが社の社会貢献活動社会活動は大きな話題となり、全国紙をはじめとしたマスコミ各社からも取材の申し込みが相次ぎました。取材ではよく、「なぜ、このような社会貢献事業をされるのですか?」という質問があります。わたしは、「わが社の本業である冠婚葬祭互助会はソーシャルビジネスだからです」とお答えしています。ソーシャルビジネスとは、高齢者や障がい者の介護・福祉、子育て支援、まちづくり、環境保護地域活性化など、地域や社会が抱える課題の解決をミッション(使命)として、ビジネスの手法を用いて取り組むもの。「人間尊重」としての礼の精神を世に広める「天下布礼」の実践です。


グリーフケアとは?


グリーフケア映画君の忘れ方を紹介


新たな人間関係としての「悲縁」について


ご清聴いただき感謝いたします!

 

わが社には無縁社会を乗り越え、有縁社会を再生するという志、グリーフケアによって世の人々の悲嘆を軽くするという志、そして冠婚葬祭という儀式で日本人を幸福にするという志があります。すなわち、「天下布礼」という大志です。今後は、ますます「ハード」よりも「ハート」、つまりその会社の「想い」や「願い」を見て、お客様が選別する時代に入ります。サービス業からケア業への進化を目指すサンレーは「天下布礼」の大志を抱きながら、新しい時代を創造したいと述べました。最後に、拙著愛する人を亡くした人へ(現代書林)を原案とする映画君の忘れ方を紹介。主演が坂東龍汰くん、ヒロインが西野七瀬さんであると話すと、静かなどよめきが起こりました。こうして1時間の講演を終えると大きな拍手が起こり、感激しました。このような素晴らしい機会を与えていただいた野嶋社長をはじめ、関係者のみなさまに感謝いたします。


盛大な拍手を頂戴いたしました

 

2023年11月10日  一条真也