一条真也です。
ゴールデンウィークの最中ですが、自宅の書斎で今月13日の町田そのこ氏(本屋大賞作家)とのグリーフケア対談&29日の玄侑宗久氏(芥川賞作家)との仏教対談の準備をしています。5月4日は「みどりの日」ですね。
おニューのジャケットで庭へ!
緑のはざまを陽光が降り注ぐ!
わたしの妻の名前は「緑」というのですが、もちろん全国の緑サンのために国が休日を定めたわけではありません。祝日法の第2条によれば、「自然にしたしむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ」ことを趣旨としています。ならば、「みどりの日」には庭に出て、新緑の輝きを満喫したいと思います。わたしは、毎日をバタバタと忙しく過ごしています。せめて、「みどりの日」ぐらいはと思って、今年は松屋銀座で求めたおニューのド派手なサマー・ジャケットを羽織って庭に出ました。
庭で草むしりをしました
緑・緑・緑の洪水!
庭に出ると、心の底からリラックスします。
わたしは、もともと庭園ほど贅沢なものはないと思っています。いくら立派なハードであろうが、庭園には絶対かないません。庭ほど、人の心を豊かにするものはないのです。西洋における庭園は、『旧約聖書』に出てくるエデンの園を再現する試みでした。人気のイングリッシュガーデンでも幾何学的なフランス式庭園でもみんなそうです。
そのエデンの園をもっとも忠実に再現しようとしたのがイスラムの庭園文化でした。『コーラン』において、アラーの神はまさしく、楽園を庭園として規定しました。そしてイスラムの人々は、来世にそれを熱望するだけでなく、現世においてもそのイメージを実現しなければならないと考えたのです。そのあたりは、拙著『リゾートの思想』(河出書房新社)や『リゾートの博物誌』(日本コンサルタントグループ)に詳しく書きました。
中国では道教の思想による神仙庭園が発達し、日本では仏教の庭園文化が花開きました。寺院の境内に極楽浄土の荘厳を試み、寺院の環境から生じる雰囲気によって信仰心を強めようとしたのです。ここに寺院庭園の1つの形式として浄土式庭園が生まれます。庭園とは、天国や極楽、つまりハートピアの雛形だったのです。
オリュンポスの神々が見守る
馬と獅子のいる庭園
池の上にも緑が・・・
以前、わたしはリゾート・プランナーをやっていたことがあります。この世に楽園をつくろうと思って、数多くのリゾート計画に携わりました。その多くはバブル崩壊などで立ち消えになりましたが、現代人の病んだ心を癒す幸福の空間としてのリゾートは必要だと今でも思います。わたしにとっての楽園とは、わが家の庭なのかもしれません。
緑の中で物思いに耽る・・・
喉が渇きました
2024年5月4日 一条真也拝