煙縁

 

一条真也です。
無縁社会」などと呼ばれ、血縁と地縁の希薄化が目立つ昨今です。人間は1人では生きていけません。「無縁社会」を超えて「有縁社会」を再生させるためには、血縁や地縁以外のさまざまな縁を見つけ、育てていく必要があります。そこで注目されるのが趣味に基づく「好縁」です。この中には、共に煙草を楽しむ「煙縁」があります。


現在、健康志向が高まり嫌煙社会が広がりを見せています。社会のさまざまなお店で完全禁煙や分煙、屋外喫煙所の減少など愛煙家は肩身の狭い思いをしていると思います。昔は、病院の待合室や飛行機の中での喫煙や、教室の中で教師が煙草を吸っていたことを考えると、時代は変わったものだと驚きます。また「百害あって一利なし」と言われ、がんだけでなく、狭心症心筋梗塞脳卒中、肺疾患など、さまざまな病気の原因になる可能性があると健康への悪影響も懸念されています。


一方で「タバコミュニケーション」という言葉もあるくらい、ビジネスにおいては役に立つこともあります。例えば社内において、部署が違う人の名前と顔を覚えることが出来たり、上司や先輩とざっくばらんに話すことが出来たり、喫煙所での会話が仕事のヒントになることもあるでしょう。デスクや会議では本音を話しにくいものですが、喫煙所では誰もがリラックスしているため、本音が聞けることもあり、それが仕事に活かされることも多いようです。


それでは、喫煙者以外は社内コミュニケーションができないのかというと、そうではありません。給湯室やお手洗い、更衣室、会社によってはカフェスペースや社員食堂があるところもあるでしょう。こうしたコミュニケーションの場で、挨拶に加えて、少し会話してみるのもいいかもしれません。喫煙所でのタバコミュニケーションと同様に、他部署の人と良い人間関係がつくれるかもしれません。また、そこでの会話が気分転換となり、仕事に対するモチベーションがアップすることもあるでしょう。


さて、世の中のあらゆるものには陰陽があると思います。煙草において考えると、陰は健康への悪影響。陽はコミュニケーションツールといったところでしょうか。喫煙によってつながる縁も、大切な縁のひとつです。喫煙を推奨するわけではありませんが、すべてを否定するのではなく、良い側面を見ることも大事です。愛煙家の皆さんは、しっかりと健康に配慮したうえで「煙縁」で生まれた縁や絆を大切にしていただきたいと思います。ちなみに、わたしはタバコは吸いませんが、ザ・プラターズの名曲「煙が目にしみる」は大好きです♪

 

2023年5月30日 一条真也