史上最大の性犯罪

一条真也です。
最近、市川猿之助の自殺未遂騒動とか、山川穂高の強制性交疑惑とか、よくわからない不可解な事件が多いですが、それらを吹っ飛ばすインパクトを与え続けているのが、故ジャニー喜多川氏の性加害についての新情報です。

ヤフーニュースより

 

ブログ「ジャニーズ事務所の謝罪」ブログ「さらば、ジャニーズ!」には多大な反響がありましたが、その後も毎日のようにおぞましい新事実が発覚しています。今日は、「元Jr.が実名告発する合宿所の“驚愕事態”『単純計算しても2500人以上が犠牲に・・・』」というネット記事に仰天しました。ジャニー喜多川氏が2019年に亡くなるまでに性的虐待を行った少年たちの人数は「単純計算しても2500人以上」と、1980年代後半からジャニー氏による性加害を告発してきた元ジャニーズJr.の平本淳也氏が明かしたのです。

 

ジャニー氏は自宅を「合宿所」と称し、目を付けた少年たちを呼び集め、共同生活を送っていました。当時は「こちょこちょ」、近年は「カルピス」など、少年たちはジャニー喜多川氏の性加害を隠語で呼んでいたそうですが、まさか2500人もの少年たちを弄んでいたとは! 事実であるとしたら、これはもう人類史上最大級の性犯罪事件ではないでしょうか。過去にも独裁国家の暴君とかカルト宗教の教祖とか、自身の性欲のままに多くの性奴隷を有していた人物は何人も存在したと思いますが、彼らも2500人の少年を汚した男には到底敵わないでしょう。


カルト宗教といえば、ジャニーズ事務所も一種のカルト教団のようなものではないでしょうか。というのも、未だにジャニーズ・タレントを盲目的に信じ、ジャニーズ事務所を擁護するファンの少女が多く存在するからです。彼女たちは、カウアン・オカモト氏をはじめとする勇気ある告白者たちを「ウソつき」呼ばわりし、騒動の終息を願っているといいます。彼女たちの盲信ぶりを見ていると、カルト教団の狂信的な信者と同じだと思います。彼女たちの親御さんが真実を話して、早くマインド・コントロールを解いてあげる必要があります。ぜひ、少年への性加害という反社会的行為によってビジネスを続けてきた芸能事務所を応援することが何を意味するのかを教えていただきたい。


ジャニーズ事務所を退所した近藤真彦とか、「ジャニーズの長男」を自認する東山紀之などもジャニー氏の性加害について発言していますが、60年前からジャニーズ事務所の所属タレントが性加害について知っていたことは間違いなく、その意味では同罪です。彼らがもっと早くジャニー氏を告発していたら、多くの親は自分の息子をジャニーズ事務所には入れなかったことでしょう。被害者の数は減らせたはずなのに、それをしなかった結果が「2500人」という数字です。これはもう日本の恥どころか、人類史上に残る悪夢です。「負の世界遺産」というものがあります。世界遺産のうち、人類が犯した悲惨な出来事を伝え、そうした悲劇を二度と起こさないための戒めとなる物件のことですが、ジャニー喜多川氏の自宅は「負の世界遺産」に認定されてもおかしくないと思います。


それにしても、ジャニー喜多川氏ほど、自分の性的嗜好を心ゆくまで満足させ、それが咎められることなくこの世を去っていった人物はいないでしょう。ある意味で「最高に幸せな男」ですが、その欲望を満たす「ジャニーズJr.」および「合宿所」というシステムを発明したことが天才的でした。まさに「悪魔の発明」です。わたしは、江戸川乱歩の『パノラマ島奇談』を連想しました。人見廣介という売れない物書きが、莫大な財産を得て、理想通りの地上の楽園を創造する物語です。その楽園は歪んだ欲望を現実化した奇形的な場所でした。映画監督の石井輝夫が「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」のタイトルで映画化しています。石井監督の“異常性愛路線”の最終作で、怪奇色の強いミステリーとなっていました。わたしは、ジャニー喜多川氏こそは「リアル人見廣介」であり、その自宅はまさに彼にとっての「パノラマ島」そのものだったと思います。


映画監督のロマン・ポランスキーは13歳の子役モデルに性的行為をした嫌疑をかけられ逮捕され、ハリウッドを永久追放になっていますが、2500人の少年への性加害というのは超弩級です。80代でも少年たちを弄んでいたそうですが、なんという性欲の強さでしょうか。まさに、性欲モンスターです。ジャニーズ事務所に所属したタレントたちはみんな同罪と言いましたが、彼らは絶対に世界進出などできません。国際社会では、日本人が考えているよりもはるかに児童虐待を重大な犯罪ととらえており、それを知っていて後輩を見殺しにした人間を許しません。こうなれば、東山が言っているように社名変更など生ぬるい対応ではなく、ジャニーズ事務所は解散するしかありません。そうでないと、日本が世界中から相手にされなくなります。大手広告代理店や民放テレビ局の利権などどうでもいいので、日本政府は一刻も早くジャニーズ問題に手を打っていただきたい。まずは、現社長の国会喚問の実現を!

 

ブログ『異能の男 ジャニー喜多川』でも紹介しましたが、ジャニー氏が最初に毒牙にかけた初代ジャニーズは少年野球のメンバーたちでした。まだ幼さの残る少年たちを筋骨隆々のホモ親父が汚したのです。それから2500人を次々に餌食にしたことは本当に許せません。ぜひ、ジャニー氏の人生をネットフリックスでドラマ化するか、クリント・イーストウッドに映画化してほしいです。日本のテレビ局や映画会社では不可能でしょうから。タイトルは、ずばり「ジャパニーズ・プレデター」です。ブログ「わたしの魔境」で紹介したように、オウム真理教および麻原彰晃をモデルにした映画はすでに作られていますが、オウムとはまた別の意味で最悪の事件の巣窟となったジャニーズ事務所の真実をドラマや映画によって世界中に発信すべきだと思います。その目的は、もちろん「二度と同じような悲劇を繰り返さない」ためです。


あと思うことは、ジャニー氏は単なる自分の性的欲求を満たすことだけを目的に生きてきた人物であり、けっして熱心な経営者ではなかったと思います。ブログ『女帝 メリー喜多川』で紹介した本を読むと、ジャニーズ事務所の実際の経営は姉のメリー氏と姪の藤島ジュリー景子氏(現社長)が行っていたことがわかります。芸能ビジネスのマーケティングも、広告代理店やテレビ局への売り込みも、週刊誌への恫喝も、すべてこの母娘の仕事でした。その最大の仕事は、ジャニー氏の犯罪を隠すことでした。『女帝 メリー喜多川』を読み終えたわたしは、メリー喜多川という女性の気性の激しさ、情の深さに圧倒された思いでした。姉は女帝で、弟はホモの性犯罪者。この姉弟が日本の芸能界に一大帝国を築いたのですが、現在その帝国は音を立てて崩れ落ちようとしています。



東京高裁で有罪判決を受けているにもかかわらず、ジャニー氏の犯罪をずっと報道しなかった大手マスコミの罪も大きい。彼らがきちんと報道してさえいれば、全国の親は息子を性加害事務所に入れなかったでしょうし、2500人もの被害者が生まれることもありませんでした。その意味で、一貫してジャニーズ事務所の闇を追求してきた「週刊文春」は偉大です。ブログ『2016年の週刊文春』の最後にも書きましたが、『論語』の中に「義を見てせざるは勇なきなり」という言葉があります。これは、「勇気とは正しいことをすることである」という意味です。どんな権力にも負けずに、国民に真実を届ける『週刊文春』は正義の雑誌であり、それを実行する勇気の雑誌であると思います。「雄姿」という言葉がありますが、わたしは『週刊文春』を「勇誌」と呼びたいです。そして、勇誌の根底には、やはり庶民目線というものを生涯忘れなかった創業者・菊池寛の正義感が生きているように思えます。

 

2023年5月27日  一条真也