MS責任者会議

一条真也です。
25日の15時から、 サンレー本社でサンレーグループMS責任者会議が開催されました。MSとは「MEMBERS SERVICE(メンバーズ・サービス)」であり、「MORAL SUPPORT(モラル・サポート)」のことです。日々、「人の道」としての冠婚葬祭の意義と必要性をお客様に説明している人たちです。ブルシット・ジョブの対極に位置する最重要の仕事です。

最初は、もちろん一同礼!

各種表彰を行いました


優績者にトロフィーを渡しました

サンレーグループ全国MS責任者会議のようす

 

会議の冒頭、各種の表彰を行いました。昨年は、新型コロナウイルスの感染防止のため、福岡県以外のMS責任者たちはオンラインで参加しました。今年は通常のスタイルに戻すことができて良かったです。社長訓示の冒頭で、ブログ「合同慰霊祭in沖縄」ブログ「海洋散骨in沖縄」で紹介した25日に行われたセレモニーの話をしました。


マスク姿で社長訓話を始めました

 

それから、最新刊『供養には意味がある』(産経新聞出版)に言及しました。タイトルにもあるように「供養」についての本ですが、「終活」のこともたくさん書いています。なぜかというと、日本初の終活専門誌である『終活読本ソナエ』(産経新聞出版社)に連載した原稿を収録しているからです」。季刊であった同誌は、超高齢化国でありながら、「死」をタブーとする傾向の強い日本において、同誌の創刊は非常に画期的であり、その内容はすべて興味深いものばかりでした。


マスクを外して「終活」を語りました

 

終活について考えると、日本人の寿命はついに男女とも80歳代を迎えました。言うまでもなく、現代日本は超高齢化社会ですね。いま、年間140万人以上の人が亡くなり、2030年には160万人を超すと言われています。超高齢社会は「多死社会」でもあるわけです。多くの人々が死を意識しながら、延びた寿命を生きていくことになる。そこで終活というわけです。仏教は「生老病死」の苦悩を説きました。いま、「人生100年時代」とやらを迎え、「老」と「死」の間が長くなってきました。「老」の時間をいかに過ごすか、自分らしい時間を送るか――そのための活動が「終活」です。というわけで、日本に空前の「終活ブーム」が訪れ、『終活読本ソナエ』も創刊された次第ですが、わたしは「終活」という言葉を嫌う人も多く存在することを知ってしまったのです。

「終活」から「修活」へ

 

もともと「終活」という言葉は就職活動を意味する「就活」をもじったもので、「終末活動」の略語だとされています。ならば、わたしは「終末」という言葉には違和感を覚えてしまいますね。死は終わりなどではなく、「命には続きがある」と信じているからです。そこで、わたしは「終末」の代わりに「修生」、「終活」の代わりに「修活」という言葉を提案しています。「修生」とは文字通り、「人生を修める」という意味でもあります。また、供養について考えてみたいと思います。わたしは、供養とはあの世とこの世に橋をかける、死者と生者のコミュニケーションであると考えています。そして、供養においては、まず死者に、現状を理解させることが必要だ。僧侶などの宗教者が「あなたは亡くなりましたよ」と死者に伝え、遺族をはじめとした生者が「わたしは元気ですから、心配しないで下さい。あなたのことは忘れませんよ」と死者に伝えることが供養の本質だと思います。


日本人にとっての「供養」とは

 

古代から、日本人は、人は死ぬとその霊は肉体から離れてあの世にいくと考えてきました。そして、亡くなった人の冥福を祈る追善や供養を営々と続けてきました。盆には仏壇に精進料理を供え、お寺の迎え鐘を突いて精霊を迎え、精霊流しをして帰すといった先祖供養を行ってきたのです。昔の日本人はみな、直観的に「人の死後の存続」を信じていたのかもしれません。「人の死後の存続」を信じる心が、今日のような盆などの風習を残しているわけです。日本人は、古来、先祖の霊によって守られることによって初めて幸福な生活を送ることができると考えていました。その先祖に対する感謝の気持ちが供養という形で表わされたものが「お盆」なのです。

「葬式仏教」はグリーフケアの文化装置!

 

盆行事に代表される供養は、仏教の僧侶によって執り行なわれます。「葬式は、要らない」とか「葬式消滅」などと言った人がいました。その人の言説の効果もあったのか、「葬式仏教」と呼ばれる日本仏教への批判の論調が盛り上がったこともあります。しかしながら、これまでずっと日本仏教は日本人、それも一般庶民の宗教的欲求を満たしてきたことを忘れてはなりません。そして、その宗教的欲求とは、自身の「死後の安心」であり、先祖をはじめとした「死者の供養」に尽きるでしょう。「葬式仏教」は、一種のグリーフケアの文化装置だったのです。

「人生の修め方」を考えよう!

 

コロナ前、わたしは「終活」をテーマにした講演をよく依頼されました。わたし自身は、「人生の終(しま)い方の活動」としての「終活」よりも、前向きな「人生の修め方の活動」としての「修活」という言葉を使うようにしています。『人生の修め方』(日本経済新聞出版社)という本も書きました。そんな講演会でよくお話しするのが、「講演を聴いておられるみなさん自身の旅立ちのセレモニー、すなわち葬儀についての具体的な希望をイメージして下さい」ということ。自分の葬儀を具体的にイメージすることは、残りの人生を幸せに生きていくうえで絶大な効果を発揮します。わたしは自分の葬儀を考えることは、いかに今を生きるかを考えることだと思っています。

葬儀とは「人生の卒業式」


熱心に聴く人びと

 

自分の葬儀を想像するとき、友人や会社の上司や同僚が弔辞を読む場面、その弔辞の内容を具体的に想像することが大切です。そこには、あなたがどのように世のため人のために生きてきたかが述べられているはずです。葬儀に参列してくれる人々の顔ぶれも想像して下さい。そして、みんなが心の中で言う言葉を想ってみて下さい。自分の葬儀の場面とは、「このような人生を歩みたい」というイメージを凝縮して視覚化したものなのです。そんな理想の葬式を実現するためには、残りの人生において、あなたはそのように生きざるをえないのです。そして、葬儀とは、その人の生き方の集大成としての「人生の卒業式」なのです。


黒土始様との御縁を話しました

 

4月17日、タクシー業界最大手、第一交通産業の創業者で相談役の黒土始氏がお亡くなりになられました。大分県中津市のご出身で、101歳でした。故人の訃報に接したわたしは、すぐさま御自宅を訪れ、お参りをさせていただきました。まるで親戚が亡くなったかのような感覚にとらわれ、グリーフを感じました。横たわる故人のお顔を見ながら、手を合わせて「長い間、お疲れ様でございました。ありがとうございました」と申し上げました。19日に通夜式、20日に葬儀・告別式が 小倉紫雲閣の大ホールで行われました。大規模改装が先月末に終わったばかりの大ホールの杮(こけら)落としとなったことに故人とわが社との深い御縁を感じました。


最高の人生の卒業式について


熱心に聴く人びと

 

黒土氏の葬儀・告別式は広寿山福聚寺ご住職様をはじめ、日本仏教各宗派の13名の僧侶が並びました。これほど多くの導師による葬送の儀はわたしも初めて見ましたが、じつに壮観でした。会葬者は800名を超え、生花は700本以上を数えました。偉大な生涯を送られた故人の「人生の卒業式」に、まことに相応しく、わたしは感動しながら、「これは日本一の葬儀だ! 最高の人生の卒業式だ!」と思いました。故人は、2022年6月に代表権を返上して取締役を退くまで、60年以上も第一交通産業グループの経営を率いていかれました。そのときの引退記者会見では、「みなさんも、百歳を目標にして下さい!」と訴えられました。こんな凄い人はいません!


故人を偲んで合掌しました


みんなで合掌しました

 

また、故人は早くから人生を卒業する準備をされていました。葬儀の具体的な打ち合わせも5年前から行われていました。こんな方はなかなかおられません。「自分のお葬式をイメージすること」の大切さを述べましたが、故人はまさに、将来必ず訪れる最期を覚悟して今の生を輝かせる達人でした。還暦を迎えたわたしは、「百歳を目標に頑張りなさい!」と故人からエールを送られた気がしました。謹んで、黒土始様の御冥福を心よりお祈りいたします。


参加メンバーと対話しました


参加メンバーの話を聴きました

 

最後に、北陸MSセンターの中山所長のレポートに基づいて「MSコンパッション対応業務心得」について話しました。「MSセンター所員は、コンパッション企業を目指す一員として以下の業務心得を実践いたします」として、「会員さまに敬意と感謝の心を持ち、元気に笑顔でMS対応を行います」「質の高い対話を心掛け、誠実にMS対応を行います」「接客時には感情に寄り添う言葉を用いて、わかりやすい説明を心掛けます」「会員さまの要望を傾聴し、否定せず、決して押し付けたりいたしません」「会員さまの真意を汲み取り、最善のご提案をもって対応します」「お役に立ちたいという利他の精神で、会員さまの満足と幸せを願います」を紹介し、コメントしました。


最後は、もちろん一同礼!


懇親会の冒頭で挨拶しました


カンパ~イ!


懇親会のようす

 

社長訓話の後は、 松柏園ホテルの「長浜」に移動して、久々の懇親会を開催しました。わたしは、「みなさんは、この世で最も価値のあるものを守っているのだという誇りを持っていただきたい!」と述べました。それから、東専務の音頭で乾杯しました。各地から参集したみなさんは、お酒や料理を楽しみながら会話の花を咲かせました。最後は、北陸の中山所長による中締めの挨拶でした。中山所長は、 サンレー・オリジナルの「末広がりの五本締め」で締めました。みんなの心が本当にひとつになりました!

最後は「末広がりの五本締め」で!

 

2023年4月27日 一条真也