茶縁

 

一条真也です。
無縁社会」などと呼ばれ、血縁と地縁の希薄化が目立つ昨今です。人間は1人では生きていけません。「無縁社会」を超えて「有縁社会」を再生させるためには、血縁や地縁以外のさまざまな縁を見つけ、育てていく必要があります。そこで注目されるのが趣味に基づく「好縁」です。この中には、ともにお茶を楽しむ「茶縁」があります。


お茶には、茶室で客人を「もてなす」茶道があります。茶で「もてなす」とは何か。それは、最高の美味しい茶を提供し、最高の礼儀をつくして相手を尊重し、心から最高の敬意を表することに尽きます。そして、そこには「一期一会」という究極の人間関係が浮かび上がってきます。人との出会いを一生に一度のものと思い、相手に対して最善を尽くしながら茶を点てることを「一期一会」と最初に呼んだのは、利休の弟子である山上宗二です。「一期一会」は、利休が生み出した「和敬清寂」の精神とともに、日本が世界に誇るべきハートフル・フィロソフィーです。



一方で、茶の間で家族や気のおけない仲間と「つながる」茶というものもあります。茶の間でお茶を飲みながら、互いを思いやり、気づかい、いたわり、共に笑い合う。そこには、つながり合う空間が生まれます。最近は茶の間が消え、リビングルームが増えてきています。時代は移り変わり、お部屋のかたちは変わってきていますが、家族のだんらん、友人同士の楽しい空間はお茶を中心に広がっています。いわば、ヒューマン・コミュニケーションのシンボルがお茶なのです。

 

 

このように、茶室における客人を「もてなす」茶にしろ、茶の間における家族や友人と「つながる」茶にしろ、茶とは良い人間関係づくりというものに徹底的に関わっているのです。 サンレーが目指すハートフル・ソサエティ=心ゆたかな社会=互助共生社会の実現には、社業である冠婚葬祭が重要になってくるのは間違いありません。これと同様に茶が育む「縁」も素晴らしい社会の実現には必要不可欠になるのではないでしょうか! 茶を中心に人間関係が構築される「茶縁」。みなさんも、ぜひ、「茶縁」を大切にされて下さい!

 

2023年3月23日 一条真也