鎌田東二先生との対談

一条真也です。
3月7日の夜は満月でした。この夜、わたしは「シンとトニーのムーンサルトレター第216信がUPされました。2005年10月18日の夜にわたしが第1信を投稿して以来、ムーンサルトレターはなんと18年目になります。翌8日、「バク転神道ソングライター」こと鎌田東二先生が小倉の 松柏園ホテルにお越しになられました。


鎌田東二先生と

 

このたび、鎌田東二先生とわたしは「神道と日本人」をテーマに対談し、その内容は単行本化されることになっています。これまでにも鎌田先生とは何度か対談やトークショーやパネルディスカッションなどで御一緒しています。最初は、『魂をデザインする』に収録されている1990年11月でした。そのときに初めて鎌田先生にお会いしたので、わたしたちの親交も33年になります。わたしたちは大いに意気投合し、義兄弟の契りを結びました。今回の対談は、三分の一世紀を共に生きてきたわたしたち魂の義兄弟の1つの総決算となりました。


対談のようす

対談は、松柏園ホテルの貴賓室で行われました。対談は5部構成で、1「神道とは何か」、2「神道と冠婚葬祭」、3「現代社会と神道」、4「神話と儀礼」、5「注目すべき人々との出会い」となっています。最初の「1.神道とは何か」では、●「カミ」とは何か●日本人が畏れ敬ってきたものは何か●神道の起源(鎌田先生の縄文説、一般的な弥生説等)●神道での“まつり”と“いのり”の意味と役割●国学→日本民俗学→冠婚葬祭互助会●現代でも身近な神道的要素●現代サブカルチャーにも生きる神道的色彩(アニメ・漫画『となりのトトロ』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『鬼滅の刃』など)について語り合いました。


大いに語る鎌田先生


心して拝聴しました

 

2「神道と冠婚葬祭」では、●結婚式の神話的な淵源と歴史・変遷●古代~近世までと、近代に成立した神前式以後●神道における“むすひ”と“修理個性(つくり、かため、おさめ、なせ”の意味について●神道通過儀礼・年中行事の種類と意味●“むすひ”によって生まれた命をどの様に育んでいくか●時間や人生(各個人の存在を肯定する)を手段としての儀礼について●神道の死生観・葬儀・祖先祭祀●“むすひ”が生んだ命の終焉とその後の世界(黄泉の国・根の国・底の国・妣の国・常世の国)●鎌田先生が帰幽された後のイメージなどについて語り合いました。


対談のようす


わたしも大いに語りました

3「現代社会と神道」では、●日本人の精神性の基層としての神道儒教・仏教●現代における理想的な関係性について●神道グリーフケア●現代で宗教が担うべきグリーフケアという役割を神道はどう果たせるか●災害とむきあうための神道●人間中心主義から神中心主義と自然中心主義(生態智・エコソフィア)へ●神道の祭が担うグリーフケアとしての役割●ウェルビーイング神道が果たす役割●現代社会と心身の健康●マインドフルネスと身心変容技法の共通点と相違点●身心変容技法をウェルビーイングにどのようにつなげるか(つなげられるか?)●神道とコンパッションとインターフェイス(Interfaith)●コンパッションとインターフェイスの意味と他宗教における位置づけ(基督教:隣人愛、儒教:仁、仏教:慈・・・など)●救済的側面が強くない神道にコンパッションは見出せるか●コンパッションを実現する方法としての祭●現代社会に必要なWC(Well-being & Compassion)を結ぶ方法などについて語り合いました。

神話について語られる鎌田先生


儀礼についての持論を述べました

 

4「神話と儀礼」では、●儀礼の源としての神話(『古事記』など)●儀礼が依拠する存在としての神話を概観する●今後の社会変化に神道儀礼はどのように向き合うのか●進展するキャッシュレス化に神社はどう対応するのかなど、社会変化と儀礼の関係の視点から●主題は「変化する社会で冠婚葬祭・年中行事をどの様に継続させるか」について●メタバース神社とリアル神社とアバター人格とリアル人格●歌の持つ力●宇宙を動かしうる歌という存在(『古今和歌集』仮名序などを題材に)●人類および日本人にとっての歌の起源と意味●神道ソングと庸軒道歌●二人が歌い続ける理由などについて語り合いました。


鎌田東二先生と


わたしたちの思い出の本の数々

 

5「注目すべき人々との出会い」では、聖徳太子について、吉田兼倶について、本居宣長について、平田篤胤について、柳田國男について、折口信夫について、南方熊楠について、そして最後は出口王仁三郎について語り合いました。また、現在のわたしのメインテーマである「ウェルビーイング」と「コンパッション」についても意見交換をしました。鎌田先生いわく、神道ウェルビーイングとは「あっぱれ(天晴)」、神道的コンパッションとは「(ものの)あはれ」であり、どちらも語源は同じだそうです。ウェルビーイングとコンパッションが見事に繋がりました。じつに多様なテーマで自由自在、縦横無尽に思考を巡らせ、言葉を紡いできましたが、対談しているうちに、「はるか昔にも、わたしたちは語り合ったことがある。それも何世代にも渡って・・・」という不思議な既視感をおぼえました。わたしたちが「魂の義兄弟」なら、その縁は過去からずっと何度かの転生を経て続いてきたものかもしれません。そして、それは未来へも続いていくのでしょう・・・・・・きっと。


対談後は会食しました


サプライズでバースデー・ケーキが登場!


大喜びの鎌田先生


72歳分のローソクを吹き消しました

 

対談後は、鎌田先生御夫妻とわたしたち夫婦で会食しました。鎌田先生は、「どれも大変美味しい」と喜ばれ、モリモリと完食されました。奥様もとても喜んでいただきました。食後、サプライズでバースデー・ケーキが運ばれてきました。今月20日が鎌田先生の72歳のお誕生日なので、早めのお祝いをさせていただいたのです。鎌田先生は大喜びで、ローソクを吹き消し、イチゴのショートケーキを完食されました。会食は3時間に及びましたが、わたしにとって魂の義兄弟と共に夫人同伴で食事をしたのは初めての経験であり、忘れぬ思い出となりました。明日も引き続き、対談が行われます。


今夜は満月でした

 

2023年3月9日 一条真也