鎌田先生との対談2日目

一条真也です。
8日、ブログ「鎌田先生との対談」で紹介したように、「バク転神道ソングライター」こと宗教哲学者の鎌田東二先生が小倉の松柏園ホテルへお越しになり、わたしと「神道と日本人」をテーマに対談を行いました。


鎌田東二先生と

 

翌9日、わたしは早朝から鎌田先生御夫妻と朝食を共にし、8時半から対談の第2部を開始しました。対談は5部構成で、1「神道とは何か」、2「神道と冠婚葬祭」、3「現代社会と神道」、4「神話と儀礼」、5「注目すべき人々との出会い」です。昨日は、現在のわたしのメインテーマである「ウェルビーイング」と「コンパッション」についても意見交換をしました。鎌田先生いわく、神道ウェルビーイングとは「あっぱれ(天晴)」、神道的コンパッションとは「(ものの)あはれ」であり、どちらも語源は同じだそうです。ウェルビーイングとコンパッションが見事に繋がりました。そして今日は、昨日だけでは語り尽くせなかった部分を約4時間にわたって語り合いました。

神前結婚式について

 

まずは、「神道と冠婚葬祭」について対談しました。
現在、日本で結婚する人のうち結婚式を挙げる割合は50%弱、チャペル式は63%、神前式8%、その他は人前式22%強となっています。こういった流れの中で、神前結婚式の重要性と意味を問いました。わたしは「神前式を挙げる夫婦の方が離婚しにくい」という仮説を持っており、その考えも示させていただきました。


神道と葬儀について語る鎌田先生

 

また、葬儀についても話し合いました。明治以降、政府は神道による葬儀、すなわち神葬祭を普及させようとしましたが、うまく行きませんでした。日本人の葬儀は仏教の支配下に置かれ続けてきたわけですが、鎌田先生は「海洋散骨や樹木葬などの『自然葬』が増えていますが、これは一種の神道的葬儀と言えると思う」と述べられ、目から鱗が落ちた思いがしました。


日本人の他界観について

 

日本人の他界観についても語り合いました。“むすひ”が生んだ命の終焉とその後の世界として、黄泉の国・根の国・底の国・妣の国・常世の国が挙げられますが、わたしは日本人の他界観は「海・山・星・月」に集約され、それぞれ海洋葬・樹木葬宇宙葬・月面葬の四大「永遠葬」を提唱しています。また、人類共通の祈りのカタチとして「月面聖塔」「月への送魂」の実現を訴えていますが、その思想的根拠などについてお話しました。


聖徳太子について語る


最後は、冠婚葬祭互助会業界へのメッセージ

 

最後に、「注目すべき人々との出会い」として、聖徳太子について、吉田兼倶について、本居宣長について、平田篤胤について、柳田國男について、折口信夫について、南方熊楠について、そして最後は出口王仁三郎について語り合いました。神道の世界におけるこれらの重要人物たりがお互いに絡み合って、じつに興味深いエピソードもたくさん聞けました。最後に、わが社の本業である冠婚葬祭互助会に対する熱いメッセージを鎌田先生より頂戴しました。2日間、魂の義兄弟と思う存分語り合うことができて幸せでした。対談終了後、わたしたちは松柏園のカレーライスを食べてから、JR小倉駅に向かう鎌田先生御夫妻をお見送りしました。『神話と儀礼神道と日本人』(現代書林)はとても面白い本になると思います。お楽しみに!

別れ際、固い握手を交わしました


ありがとうございました。お気をつけて!

 

2023年3月9日 一条真也