「北國新聞」取材 

一条真也です。
金沢に来ています。3日、ブログ「北陸新年祝賀式典」で紹介した会社の式典、昼食会、 サンレー北陸の本部会議を終えた後で、わたしは北國新聞社の本社に向かいました。目的は、インタビュー取材を受けるためです。

北國新聞社本社の前で


これからインタビュー取材を受けます

 

北國新聞」は全国に数ある地方紙の中の雄です。1893年の創刊で、発行部数は、関連の「富山新聞」を含め朝刊約30万部で、石川県内でのシェアは60%を超えて第1位です。関連・友好法人などとして、富山新聞富山市)、テレビ金沢、金沢ケーブル(ケーブルテレビ)、ネスク(インターネットプロバイダ)、エフエム石川(FMラジオ局)、ラジオかなざわ、ラジオななお、ラジオこまつ、ラジオたかおか(コミュニティFM局)の各種系列メディアを持ちます。


まずは名刺交換しました


わたしと会うのが楽しみだったとか

 

北國新聞社の本社を訪れたのは初めてです。今回のインタビュー取材は、「顧客に寄り添い、支え合う」というテーマでした。まずは、北國新聞社の村中將起部長と名刺交換しました。上智大学のご出身だという村中部長は、在学中にアルフォンス・デーケン先生の講義を受けられていたそうで、わたしと会うのがとても楽しみだったと言って下さいました。いやあ、すごく嬉しいですね!


インタビュー取材のようす


最初に質問をお聴きしました

 

最初に、村中部長は「石川など全国で冠婚葬祭事業を展開するサンレーグループは、肉親や配偶者らを亡くすことで深い悲しみを抱えた顧客に寄り添い、支え合う関係を築く「コンパッション経営」を推進されています。時代の変化とともに生活様式が多様化する中で、老いや病、死に直面する顧客とどのように向き合うか。佐久間庸和社長におうかがいしました」と言われ、「1971年(昭和46)年11月に石川に法人を設立して今年で53年目を迎えます。この地でどのような理念を持ち、事業に取り組んでいるのかお聞かせください」との質問をされました。

コンパッション企業を目指します!

 

最初に、わたしは「新型コロナウィルスの感染拡大は冠婚葬祭業界にとってはまさに業難でした。この試練の3年を耐え抜き、闘い抜き、弊社は昨年も堅調な業績で終えることが出来ました。本当にありがたいことです。これも石川県をはじめ、弊社が事業を展開する地域の皆様のおかげです。心より感謝を申し上げます」と述べました。それから、「人生100年時代を迎え、弊社の中核事業である冠婚葬祭互助会は『互いに助け合う』社会を実現する上で、極めて重要になってきていると思います。弊社としては、『一人が万人のために、万人が一人のために』という事業理念へ原点回帰し、石川でも人と人が心を通わせ、つながる『有縁社会』の再生に取り組む『コンパッション企業』を目指します」と述べました。


コンパッション都市について

 

次に、「コンパッション企業とはどのようなものですか?」との質問がありました。わたしは、「アメリカでは今、『コンパッション都市』づくりに注目が集まっています。コンパッションは直訳すれば『思いやり』。『隣人愛』や『仁』『慈悲』『利他』と同様の意味も含まれています。コンパッション都市とは、老いや病、死、親しい人の喪失などを受け止め支え合うコミュニティーを指します。弊社は冠婚葬祭を通じて顧客に誠実に向き合い、喜びや悲しみを共感することで会員様の人生をお支えしたいと思います」と答えました。


「コンパッション」から「グリーフケア」へ

 

また、「今年1月8日、北九州市で開かれた『二十歳の記念式典』で、振袖に墨汁のようなものをかけられた事件が起き、弊社が経営する松柏園ホテルでお世話させていただいたお客様も被害に遭われました。ニュースに映った衣装は弊社の振袖でした。当日夜、被害に遭われたお嬢様のお母様からの連絡で、お嬢様は式の後、実家の祖父母に晴れ姿を見せに行く予定だったのに、事件に遭って大きなショックを受けたことを知り、弊社ではお嬢様に『ぜひとも新しい振袖を着て、ご実家に参りましょう。弊社が無償で新しい振袖を準備させていただきます』とお声かけしました。スタッフの丁寧な対応がテレビやネット上で取り上げられ、大きな話題となりました。この他、愛する人を亡くし、深い悲しみを抱いた人にしっかりと寄り添う『グリーフケア』にも力を入れています。

グリーフケアについて話しました

 

すると、「グリーフケアについて、詳しく教えてください」と言われました。わたしは、「『深い悲しみ』を欧米では『グリーフ』と表現します。欧米の葬儀社では、葬儀を執り行うだけでなく、精神的にご遺族に寄り添う『グリーフケア』が業務の中心となっています。日本は今、超高齢化社会を迎え、多くの人が死を身近に感じています。一方で近年、ご自宅でなくなる方よりも病院で亡くなる方のほうが多くなっており、近親者の死と向き合う機会が減っています。信仰から遠のく人が増え、地域社会が希薄化する中で『深い悲しみ』を抱いた人を支援する機会も減っており、弊社がサポート役になりたいと考えています」と述べました。

グリーフケア資格認定制度について

 

次に、「ご遺族の深い悲しみに寄り添うため、どんな工夫をされていますか?」という質問がありました。わたしは、「死別悲嘆のサポートやケアなどのスキルを持つ専門職の育成に力を入れています。2020年11月にグリーフケア資格認定制度が発足しました。この制度は一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会が設計し、上智グリーフケア研究所監修のもと、一般財団法人冠婚葬祭文化振興財団が制度運営しています。弊社では昨年末現在、県内で29人のグリーフケア士がおり、グループ内で2人しかいない上級グリーフケア士も1人活躍しています。お困りのことがございましたら、気軽にご相談いただけたらと思います」と述べました。


青木新門さんの思い出について

 

また、北陸を代表する作家であった青木新門さんのお話もさせていただきました。昨年8月に冠婚葬祭互助会業の大先輩である作家の青木新門氏が亡くなられました。わたしは、「青木さんの著書『納棺夫日記』を原案とした映画「おくりびと」が公開されたことは、葬祭業界においても非常に大きな出来事でした。おくりびとの美しい所作と儀式は、お客様が望む葬儀のあるべき姿を表現しており、ご遺族が大切にされてきた方に死後も優しく大事に接するグリーフケアの重要性を示しています。昨年10月に富山で開かれた新門氏の『お別れの会』にも参列させていただきましたが、故人の人生や生前の活躍ぶりがよくわかる素晴らしいものでした。青木さんの葬儀への思いや死者への祈り、さらにはご遺族への思いやりは今、日本各地で続々と誕生しているグリーフケア士たちにも確実に受け継がれています」と述べました。

わが社の社会貢献事業について

 

次に、「貴社は、社会貢献事業にも積極的に取り組んでおられますね」との発言がありました。わたしは、「石川県内では、2019年から、経済的な理由などで振袖を用意できない児童養護施設出身者に無償で貸し出す支援を始めました。同施設で七五三を迎える対象者への衣装も同様に無償提供しております。また、地域の見守りの一環として、『認知症サポーター』への登録も積極的に実施しており、石川県では64人が登録させていただいています。このほか、弊社のイベントで石川県内の障害者就労施設で製造された商品を販売する場所として、弊社施設を無償提供しています。県内には葬祭施設が15カ所あり、葬儀だけでなく、演奏会や防犯教室などを開催するコミュニティーセンターの利用も推進しています。弊社スタッフは、骨髄バンクドナー登録や献血活動、地域清掃活動などにも積極的に取り組んでいます」と述べました。


笑顔の絶えないインタビューでした

 

そして、「新型コロナの感染拡大は御社にとっても大きな試練だったと思いますが、御社はこの3年間、堅調な業績を維持しておられます。今後の抱負をお聞かせください」との発言がありましたので、わたしは「コロナ禍がいつまで続こうとも、わたしたちは人間の『こころ』を安定させる『かたち』としての儀式、冠婚葬祭業を守っていかなければと考えています。わたしは、冠婚葬祭業という『礼業』は社会に必要な仕事であり、時代がどんなに変化しても不滅の仕事だと確信しています。弊社があるのは事業を展開する地域の皆様のおかげであり、今後も石川の皆様にしっかりと寄り添って参ります」と述べました。


取材後に記念撮影しました

 

2023年2月3日 一条真也