思いやりの都市に

一条真也です。
10月30日の「毎日新聞」朝刊に、わたしのインタビュー記事が掲載されました。ブログ「『毎日新聞』取材」で紹介したように9月29日に松柏園ホテルでインタビュー取材を受けましたが、そのときのインタビューが掲載されています。「北九州市60周年」特集のインタビュー編で、毎日新聞とRKBのコラボ企画です。


毎日新聞」2022年10月30日朝刊

 

記事は、「思いやりの都市に」の大見出し、「高齢者が多いことは強み」の見出しで、「冠婚葬祭業『サンレー』(北九州市小倉北区)の 佐久間庸和社長(59)は、北九州市誕生と同じ1963年生まれ。経営する松柏園ホテル(同区)では旧5市合併の際、市長らの会合も開かれたという。『そうした縁から北九州市は同級生という思いがあり、いつまでも輝いていてほしい存在』。市は少子高齢化・人口減が進むが、コンパッション(思いやり)を掲げた都市づくりを提唱する」と書かれています。

インタビュー取材のようす

 

また、記事には「小学校では社会の授業で出てくる『四大工業地帯の1つ北九州工業地帯』が誇らしかった。今では北九州市政令市で最も高齢化率が高く、人口も100万人を切り衰退が言われる。しかし『高齢者が多いことは北九州の強み。それを悪いことと思い込んできたことが意気消沈してきた原因』と訴える。
配偶者の死が自殺の要因となるケースも多いため、近くで接する遺族の立ち直りを支援するグリーフケアを推進してきた。またNPO法人を設け、セレモニーホールなどで地域の独居高齢者らが集う『隣人祭り』を開き、孤独死防止を図ってきた。葬儀などで血縁や地縁の希薄化がみられる中、趣味などの新たな縁作りの手伝いにと、囲碁や俳句大会も開催している」と書かれています。

インタビュー取材のようす

 

そして、記事には「こうした取り組みはコンパッションの都市作りに通じる。『全国で独居老人が増えているが北九州市を高齢者特区にして、高齢者向けのショッピングセンターや娯楽施設、医療も受けやすくする。孤独死しないような隣人都市を作り、全国から独居老人が北九州に集まってくれば人口も増える』
自身の著書で地域を『巨大なカルチャーセンター』とするプロジェクトで、高齢者が生きがいを得ている海外の事例も紹介している。困窮者やシングルマザー支援も充実させ、困ったら北九州に行ってみようという街にする。『そうすれば世界初のコンパッション都市が生まれる』
日本一の超高齢化都市ともいえる北九州は、そうしたモデルを実現できるチャンスがあると考えている。『鉄鋼業などで日本を豊かにした北九州がまた日本を豊かにできるとしたら、老いの豊かさを提供することだと思う』【山田宏太郎】」と書かれています。

心ゆたかな社会』を手に写真撮影

 

ちなみに、記事の中で「自身の著書」とあるのは、
心ゆたかな社会』(現代書林)のことです。2020年9月に上梓した100冊目の「一条本」です。ブログ「SDGs講義」で紹介したように、一昨日は九州国際大学客員教授として特別講義を行いました。北九州市内には4年制大学が10あり、人口比での学生数はかなり高いのに、大学卒業と共に多くが北九州市を去っています。これは1にも2にも、受け皿となる企業が乏しいためです。

心ゆたかな社会』(現代書林)

 

高齢者も大事ですが、当然ながら都市の持続には若者も必要です。かつての八幡製鉄のような大企業がなくとも、北九州市に魅力ある中小企業がたくさんあれば、若者の働き方への考えが変化している中で、学生を引き留められるように思います。その意味で、市には企業の誘致や育成への努力が求められます。そして、北九州はコンパッション都市を目指すべきです。わがサンレーはコンパッション企業を目指します。北九州市は同い年の兄弟のような存在ですので、どちらが先に志を果たすか競争したいです。

 

2022年10月30日 一条真也