「毎日新聞」取材

一条真也です。
9月29日は取材ラッシュで、ブログ「『財界九州』新年号取材」で紹介したインタビュー取材を受けた後、15時半から毎日新聞社の山田部長の取材を受けました。テーマは、「北九州市誕生60周年に思う」です。わたしは赤(ワインレッド)から紫(パンジー)のコーディネートに一変して、松柏園ホテルの貴賓室で取材を受けました。山田部長は付箋だらけの拙著『心ゆたかな社会』(現代書林)を持参して下さり、感激しました。


毎日新聞」取材のようす

 

わたしは、1963年という北九州市誕生の年生まれ、市とともに生きてきたことから、「毎日新聞」さんはインタビュー相手に選ばれたようです。「隣人愛の実践者」こと認定NPO法人抱樸の奥田知志理事長も同い年なので、奥田理事長にもインタビューされるとか。まずは、「北九州市誕生と同じ年にお生まれになり、ご幼少の頃、新しくできたばかりの北九州市に対して特に印象に残っていらっしゃることはございますか。また、市と同じ年に生まれたということを市で育ち、事業に取り組まれる中で意識されてきたことはありますか」という質問を受けました。


赤から紫のコーディネートに一変

 

わたしは、門司・小倉・戸畑・若松・八幡の旧5市が合併に最終合意し、その調印式会場に選ばれたのがわが社の松柏園ホテルであると父から聞いていました。わたし自身も松柏園で生まれたことから、「北九州市と自分は兄弟のようなものだ」と思い、たとえホテル業の経営環境が厳しくても「絶対に松柏園の灯を消さない」という思いで頑張ってきたと申し上げました。


北九州市とわたしは同い年!

 

次に、「北九州市と60年ともに歩まれてきた中で、北九州市の特長や魅力をどうお考えになられますでしょうか?」という質問がありました。わたしは、北九州市は前代未聞の5市対等合併により誕生したため、それまでの5市ごとにしっかりとした社会資本が形成されていて、現在にもつながっていると指摘しました。


質問に答えました

 

例えば、人口10万人当たりの医療機関の数では政令市の中で病院数が3位、診療所が4位、病床数は病院、診療所ともに2位と充実している他、救急車を要請して病院に到着するまでの時間は一番早いです。また保育態勢もしっかり確立されており、待機児童数は10年以上0が続いてきました。このような点が「住みたい都市」として高い人気を得ている原因でしょう。あと、意外に知られていませんが、北九州市は人口1人あたりの映画館数が日本一です。これからの超高齢社会で、市民の暮らしやすさや住みやすさを考えるうえで大きな魅力となるでしょう。

北九州市は「老いの豊かさ」を発信せよ!

 

次に、「重工業で発展し九州初の百万都市として栄え、現在は産業構造の転換や少子高齢化・人口減等で低迷する北九州市ですが、そうした都市で事業展開してきたメリットやデメリット、今後の展望をお聞かせください」との質問がありました。わたしは、「なんといっても、日本の政令指定都市の中で最も高齢化が進んでいる北九州市ですが、わが社の互助会の会員さんのほとんどは高齢者の方ですので、わが社の事業とは非常に相性の良い都市だと思います」と述べました。


インタビュー最中のスナップ撮影

 

また、わが社は冠婚葬祭施設の他に、介護施設温浴施設なども運営していますが、それらすべてを振る動員して、「老いるほど豊かになる」老福都市を創造していきたいと願っていますと答えました。かつて筑豊は炭鉱で日本中を豊かにし、八幡は製鉄で日本中を豊かにしました。もう一度、北九州が全国に「豊かさ」を発信できるとすれば、それは「老いの豊かさ」であると確信します。

幸福に暮らせる街とは?

 

次に、「地方の政令都市第1号である北九州市は、都市部より少子高齢化や人口減が深刻で、政令市としてそれらの課題に取り組む先進地とも言われます。いかに過ごしやすく、幸福に暮らせる街をつくるか、冠婚葬祭業はもとより地域福祉、グリーフケアなどにも取り組まれる社長様がお考えになる処方箋をお聞かせ下さい」との質問がありました。わたしは、「これまに北九州市の『弱み』とされてきたものを『強み』ととらえ直して、まったく新しい都市モデルを示すべきであると考えます。例えば、『老い』がそうです。北九州市は日本一の高齢化都市ですので、全国の独居老人にどんどん移住してもらい、高齢者の楽園にすればよい。つまり、高齢者福祉特区を作って、日本一、高齢者が住みやすい街を作るのです。

「コンパッション都市」を目指せ!

 

また、ホームレス支援やシングルマザー家庭支援も北九州の特徴です。わたしは、「全国で困っている人がいたら、みんな『北九州へ行こう!』を合言葉にしてもらえばいい。死別の悲嘆に暮れている方々も、グリーフケア都市としての北九州に来ればいい。わたしは、北九州市がその『強み』を生かせば、世界一の都市になれると本気で思っています」と言いました。その未来像は「有縁都市」であり、「老人安住都市」であり、「隣人都市」です。「思いやり都市」であり、「助け合い都市」です。それらの総称としての「コンパッション都市」です。「コンパッション都市」とはWHOの「健康都市」を発展形であり、老い、病、死、喪失を受けとめ、支え合うコミュニティのことです。まさに、北九州市が目指すべき都市像です。

サンレーはコンパッション企業を目指す!

 

最後に、「低迷がいわれる北九州市ですが、社長様がお考えになる市の課題、またその解決や今後の発展のために行政などに望まれることはございますでしょうか。また社長様やサンレー様が今後そうした市への貢献のため考えていらっしゃる取り組みなどございますでしょうか?」との質問がありました。わたしは、まず、「最も大きな問題は人口減少が声高に叫ばれている日本の市町村の中でも、最大の人口減少を記録しているのが北九州市であるという点です」と答えました。

著書『心ゆたかな社会』を持って写真撮影

 

北九州市内には4年制大学が10あり、人口比での学生数はかなり高いのに、大学卒業と共に多くが北九州市を去っています。これは1にも2にも、受け皿となる企業が乏しいためです。かつての八幡製鉄のような大企業がなくとも、魅力ある中小企業があれば、若者の働き方への考えが変化している中で、学生を引き留められるのではないか。その意味で、市には企業の誘致や育成への努力が求められます。そして最後は、「北九州はコンパッション都市を目指すべきですが、わがサンレーはコンパッション企業を目指します。北九州市は同い年の兄弟のような存在ですので、どちらが先に志を果たすか競争したいです!」と語ったのでした。この日、インタビュー取材をして下さった山田部長は、今年1月17日朝刊にも素晴らしい記事を書いて下さいました。心より感謝いたします!

f:id:shins2m:20220117085558j:plain毎日新聞」2022年1月17日朝刊

 

2022年9月30日 一条真也