町田そのこ氏に会いました

一条真也です。
9日、素晴らしい方とお会いしました。
作家の町田そのこ氏です。12時に 松柏園ホテルで待ち合わせし、同ホテルの貴賓室で初対面を果たしました。

 

町田氏は現在、日本で最も注目されている作家の1人です。1980年生まれで、福岡県京都郡在住。「カルメーンの青い魚」で、第15回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。2017年に同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュー。町田さんの代表作には、ブログ『52ヘルツのクジラたち』ブログ『ぎょらん』で紹介した名作があります。

 

『52ヘルツのクジラたち』は、2021年「本屋大賞」を受賞しました。52ヘルツのクジラとは、他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で1頭だけのクジラです。多くの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。そのため、世界で一番孤独だと言われている存在です。この小説では、自分の人生を家族に搾取されてきた女性と、母に虐待されていた少年が出会い、新たな魂の物語が生まれます。わたしは同書の書評をブログに書いたほか、「サンデー新聞」に連載中の「ハートフル・ブックス」第157回で取り上げ、さらには昨夏に上梓した拙著『心ゆたかな読書』(現代書林)の最後でも紹介させていただきました。それぐらい大きな感動を得た本でした。

 

 

一方の『ぎょらん』は、これは葬儀小説の最高傑作でした。北九州市立文学館今川英子館長から教えられた本でしたが、一読して驚愕しました。著者の町田さんは、あまりにも葬儀の現場をよく知っている、いや知り過ぎていたからです。その上で、珠玉の物語が紡がれているのですから、もう完全に参りました! 主人公である朱鷺の母親が亡くなる直前に言い残した「実はわたし、うれしかった。あんたが、葬儀社に入ったこと。きっと、同じ苦しみを背負うひとに出会い、救い救われ、生きていける、って。あんたが選んだ道は、間違ってない。大丈夫」という言葉に触れたとき、静かな感動で胸がいっぱいになり、もともと弱いわたしの涙腺が決壊しました。わが社の紫雲閣の全スタッフに読んでほしいと思いました。これほど、葬儀というハートフル・エッセンシャルワークに携わる者たちに勇気と志を与えてくれる小説は過去に存在しません。

f:id:shins2m:20220113171032j:plain一条賞(読書篇)大賞の表彰状

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表彰式のようす

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表彰状を贈呈しました

あまりにも感動したわたしは、ブログ「一条賞(読書篇)発表!」で紹介したように、2021年度の一条賞(読書篇)の1位すなわち大賞に『ぎょらん』を選ばせていただきました。今川館長のお力添えで著者の町田氏にお会いできることになり、不遜ながら表彰状も作成いたしました。そこには、「貴殿の小説『ぎょらん』の高い文学的芸術性は私に深い感動と仕事への誇りを与えて下さいました。その稀有な名作への敬意と誇りを与えていただいた感謝を込めて令和三年度一条賞大賞を贈りこれを表彰させていただきます」との文面が記されています。

f:id:shins2m:20220109120342j:plain副賞の記念品もお渡ししました
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一条賞(読書篇)大賞の記念品

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記念品の中身

 

この日は、表彰状を記念品を添えて町田氏にお渡しいたしました。ちなみに、記念品の中身は超高級いくらの醤油漬けです。ぎょらん(魚卵)に合わせてチョイスした品ですが、町田氏はとても喜んで下さいました。本当は、本屋大賞作家に一条賞の表彰状を贈るのは不遜かなとも思ったのですが、わたしも読書家として日々膨大な冊数の本を読んでおり、それなりの目利きでもあると自負しております。ですので、自信をもって背筋を伸ばして表彰状と記念品をお渡ししました。表彰式には、染織家の築城則子先生にご来館いただき、立会人になっていただきました。

f:id:shins2m:20220109120357j:plainマスク姿で記念撮影

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マスクを外して記念撮影


その後、北九州市立文学館の今川館長にも加わっていただき、4人での会話を楽しみました。もちろん、感染対策には万全の注意を払い、マスクは外しませんでした。今をときめく流行作家でありながら、町田さんはとても気さくで、フレンドリーな方でした。この日は文学から映画、葬儀、グリーフケア、そして人生まで・・・・・・さまざまな話題で盛り上がり、至福の時間となりました。

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一条賞(読書篇)のツートップ2冊!

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サインしていただきました!

 

町田氏には、ご著書にサインをしていただきました。わたしは、映画化されることになった拙著『愛する人を亡くした人へ』(現代書林)をお三方にプレゼントさせていただきました。町田氏の『52ヘルツのクジラたち』にも映画化の話が出ているとか。ぜひ、『ぎょらん』の映画化も切に希望いたします。そして、そのときは、わが業界も全面的にサポートさせていただけるといいなと思います。町田氏は新たに葬儀をテーマとした小説を書かれており、しかも主人公の名前が佐久間だそうです! その取材も兼ねて、わが社の施設を見学したいとも言って下さいました。
もちろん大歓迎であります!

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小倉織の築城先生とのスリーショット

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素晴らしい出会いに感謝です!

 

町田さん、今日はわざわざ小倉まで足をお運びいただいて、ありがとうございました。お会いできて、とても嬉しかったです。これからも、多くの名作が生み出されることを楽しみにしています。よろしくお願いいたします!

 

2022年1月9日 一条真也