呪われたオリンピック

一条真也です。 
麻生太郎副総理兼財務相の「呪われたオリンピック」発言には唸りました。新型コロナウイルスの感染拡大で東京五輪開催への懸念が高まる中、18日に開かれた参院財政金融委員会で、麻生氏は国民民主党古賀之士氏への答弁の中で、今年7月から開催が予定されている東京五輪を「呪われたオリンピック」と表現し、「40年ごとに問題が起きた」と自説を展開したのです。

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「ヤフー・ニュース」より

 

麻生氏は、麻生氏はオリンピックについて「40年ごとに問題が起きたんだ。事実でしょうが」と述べた。1940年の開催都市は、夏季大会が東京、冬季大会は札幌が予定されていたが、日中戦争の拡大で返上に追い込まれた。80年のモスクワ五輪ソ連(当時)のアフガニスタン侵攻に抗議し米国や日本などの西側諸国がボイコットした」と、歴史的事実を紹介し、東京五輪を「呪われたオリンピック」だと表現しました。その上で、今年の五輪について「(感染拡大が)日本だけ良くなったからといって、他の国で参加する人がいなくなったらできない」とも語りました。これまで数々の失言で騒動を起こしてきた麻生氏ですが、この「呪われたオリンピック」発言はナイスだと思います。

 

麻生氏の「呪われたオリンピック」発言について、新聞などには「開催に向けて準備を進める競技者や関係者の気持ちを傷つける可能性があり、不適切な発言と批判も出そうだ」と批判的に書かれています。しかし、この発言を評価する人もいます。たとえば、高須クリニック高須克弥院長が自身のツイッターを更新し、「麻生財務相に対する言葉狩りはやめましょう」とツイートし、「飾らない本音を語る政治家は国の宝だと思います。応援します」とつぶやきました。同感ですね。これは失言でなく名言です。

 

 

それにしても、よく、このような40年周期説を思いついたものです。麻生氏自身が発見したとしたら、物凄いことです。誰かが教えたとしたら、そんなオカルト・アドバイザーがいるというのも凄い。まるでオカルト雑誌「ムー」が特集しそうなテーマです。ちょうど、『日本のオカルト150年史』秋山眞人、布施泰和著(河出書房新社)という本を読んだばかりなのですが、同書に登場する出口王仁三郎とか五島勉といった人々にも通じるオカルト言語センスだと思います。わたしも麻生氏には何度もお会いしていますが、頭の回転が速く、話術の巧みな方だと、いつも感心しています。その氏の過去の全発言の中でも、今回の「呪われたオリンピック」は最高傑作です!



しかし、いよいよ東京五輪の開催が危機的になってきましたね。IOCやJOCは日本国政府は相変わらず予定通りの強行開催を叫んでいますが、海外の五輪関係者やアスリートからは批判の声が続々とあがっています。17日、スペイン五輪委員会のブランコ会長は、東京五輪の延期を求める見解を示しました。今夏に開催すれば、新型コロナウイルスの感染が拡大するスペインでは選手が十分に練習できず、不平等だというのです。また、2016年リオデジャネイロ五輪陸上女子棒高跳び金メダリストのエカテリニ・ステファニディ(ギリシャ)は、ツイッターで「IOCは練習を続けさせることで私たちや家族の健康、公衆衛生を危険にさらしたいの?」と怒りをにじませました。

 

フランス全土では不要不急の外出が禁止され、欧州を中心に他国からの入国制限が広がってきました。世界中が緊迫した空気に包まれる中、多くの利権が絡む五輪は7月24日開幕を目指して突き進もうとしています。しかしながら、日本国民の間では東京五輪を延期するか中止すべきだという声が高まっています。14日、「スポーツ報知」が500人を対象に実施した世論調査結果によると、7月24日に開幕する東京五輪を延期すべきだという回答が61.4%(307人)、中止すべきが19.4%(97人)で全体の80.8%が延期か中止すべきだと答えました。予定通り開催すべきだと答えた人は19.2%(96人)に過ぎませんでした。こうなったら、予定通りの開催は無理でしょう。というか、呪われているのですから、開催できなくて当然?

 

2020年3月18日 一条真也