ラグビーと互助会

一条真也です。
17日の午後、東京から北九州に戻りました。
18日、早朝から松柏園ホテルの神殿で月次祭が行われました。

f:id:shins2m:20191018080405j:plain月次祭のようす

f:id:shins2m:20191018081523j:plain玉串奉奠を行う佐久間会長

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わたしも玉串奉奠を行いました

f:id:shins2m:20191018081827j:plain一同礼!

 

皇産霊神社の瀬津神職が神事を執り行って下さいました。
祭主であるサンレーグループ佐久間進会長に続いて、わたしも玉串奉奠を行いました。わたしは、社業の発展と社員のみなさんの健康を祈願しました。

f:id:shins2m:20191018083203j:plain天道塾のようす

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神事の後は、恒例の「天道塾」を開催しました。
最初に佐久間会長が訓話を行いました。会長は、冒頭で台風の話題に触れ、故郷である千葉県の被害について語りました。それから「神の草」と呼ばれるマコモ、日本民俗学や心身医学の志がわが社に受け継がれているとして、「サンレー哲学」というものを提唱しました。そして、その大きなヒントとして茶道の存在を挙げました。

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わたしが登壇しました 


続いて、わたしが登壇して、講話を行いました。わたしはまず、全互連のクアラルンプール研修についての報告を行いました。特に、アジア最大の葬儀会館とされる「富貴生命館」について詳しく話しました。

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東京五輪ラグビーW杯について

 

それから、東京オリンピックのマラソンの札幌移転問題についての私見を述べ、ブログ「ラグビーのような社会へ」で紹介したように、ラグビーワールドカップの話をしました。日本中が、ラグビーW杯の話題で持ちきりです。今後も11月2日まで熱い戦いが繰り広げられます。開催前は「サッカーならいいけど、ラグビーのW杯ねぇ」と今一つ興味が湧かなかったわたしも、世界の強豪チーム同士の熱い闘いに、「ラグビーとは、これほど面白いスポーツだったのか!」と見方が一変しました。

f:id:shins2m:20191018092155j:plain北九州市の「おもてなし」について 

 

強豪ウェールズ北九州市で事前キャンプを行い、地元の子供たちがウェールズ聖歌を歌うなどして歓迎しました。この粋な演出による北九州市の「おもてなし」に、ウェールズの選手や関係者は深い感銘を受けたといいます。9月28日には、日本は世界ランク2位(当時)のアイルランドから大金星を挙げました。ラグビーは番狂わせが起きにくいとされていますが、日本は前回大会で南アフリカを破ったのに続き、再び優勝候補からの金星です。

f:id:shins2m:20191018092203j:plainワン・フォア・オール、オール・フォア・ワン! 

 

ラグビーという競技は、「ワン・フォア・オール、オール・フォア・ワン」という思想に支えられています。「一人は全員のために、全員は一人のために」と訳されることが多いです。由来は古代ゲルマン人の言い伝えなど諸説あります。19世紀半ばのアレクサンドル・デュマ著『三銃士』で、青年ダルタニアンと意気投合した三銃士が結束を誓う言葉として出てくるのが有名です。同時期の空想的社会主義者、エティエンヌ・カベーのベストセラー『イカリア旅行記』の表紙にも登場しますが、この言葉は、相互扶助の思想として社会にも影響を与えました。

f:id:shins2m:20191018093251j:plain「相互扶助」は人類の本能です!

 

「相互扶助」は人類の本能です。ダーウインは1859年に『種の起源』を発表して有名な自然選択理論を唱えましたが、そこでは人類の問題はほとんど扱っていませんでした。進化論が広く知れわたった12年後の1871年、人間の進化を真正面から論じた『人間の由来』を発表します。この本でダーウインは、道徳感情の萌芽が動物にも見られること、しかもそのような利他性が社会性の高い生物でよく発達していることから、人間の道徳感情も祖先が高度に発達した社会を形成して暮らしていたことに由来するとしたのです。そのような環境下では、お互いに助け合うほうが適応的であり、相互の利他性を好むような感情、すなわち道徳感情が進化してきたのだというわけです。

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クロポトキンの『相互扶助論』について

 

ロシアのヒョードルクロポトキンは一般にはアナキストとして知られていますが、ロシアで革命家活動を終えたのち、亡命先のイギリスで1902年に『相互扶助論』を書きました。クロポトキンによれば、きわめて長い進化の行程のあいだに、人類の社会には互いに助け合うという本能が発達してきたといいます。近所に火事があったとき、人々が手桶に水を汲んでその家に駈けつけるのは、隣人しかも見知らぬ人に対する愛からではありません。愛よりは漠然としていますが、しかしはるかに広い互助の本能が人間を動かすというのです。

f:id:shins2m:20191018092527j:plain互助会から互助社会へ!

 

「相互扶助」という考え方は、多くの人々が少額を出し合って万一に備える保険業や、わが社・サンレーのような冠婚葬祭互助会業の根本理念にもなっています。そもそも互助会の「互助」とは「相互扶助」を縮めたものなのです。日本的伝統と風習文化を継承し、「結」と「講」の相互扶助システムが人生の二大セレモニーである結婚式と葬儀に導入され、互助会を飛躍的に発展させる要因となりました。そして、これからは「互助会から互助社会へ」の時代です。

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グリーフケアの現代性について

 

「相互扶助」という人類普遍のコンセプトを形にし、「人間尊重」の思想を実現することが、わが社をはじめとした、すべての互助会のミッションであると思います。ラグビーチームのような社会が本当に実現したら、これ以上に素晴らしいことはありません。そして、それにはグリーフケアという営みが深く関わってきます。

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グリーフケアの時代へ!

 

グリーフケアこそは、日本民俗学や心身医学の志を現代的な形で実現するものであり、そこには哲学もサイエンスも信仰も人間愛も道も、すべてが含まれています。さらに、わが社ではそこに「楽しみ」の要素を加えるべく、「笑い」や「歌」といった新しいグリーフケアの形を提唱しています。「これからも、グリーフケアの実践と普及を目指す集団として前進しましょう!」と述べてから、わたしは降壇しました。

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最後は、もちろん一同礼!

 

2019年10月18日 一条真也