長崎原爆の日  

一条真也です。
8月9日は「長崎原爆の日」です。
詳しくはブログ「小倉に落ちるはずの原爆」をお読みいただきたいと思いますが、今日は、わたしにとって1年のうちでも最も重要な日なのです。


長崎原爆といえば、ブログ「母と暮せば」で紹介した映画を思い出します。
名匠山田洋次監督が、原爆で亡くなった家族が亡霊となって舞い戻る姿を描いた人間ドラマでした。原爆で壊滅的な被害を受けた長崎を舞台に、この世とあの世の人間が織り成す不思議な物語を映し出した作品です。主人公の母親を名女優吉永小百合が演じました。2015年12月12日に公開されましたが、戦後70年という「死者を想う」年の締めくくりにふさわしい名作であると思いました。


今朝のサンレー本社朝礼のようす

朝礼で長崎原爆の話をしました



今朝、サンレー本社の朝礼に参加しました。
そして、社員のみなさんに長崎原爆の話をしました。それにしても数万人レベルの大虐殺に遭う運命を実行当日に免れたなどという話は古今東西聞いたことがありません。普通なら、少々モヤがかかっていようが命令通りに投下するはずです。当日になっての目標変更はずっと大きな謎でした。
ブログ『原爆投下は予告されていた』で紹介した本を読み、ようやく納得しました。いずれにせよ小倉がアウシュビッツと並ぶ人類愚行のシンボルにならずに済んだのは奇跡と言えるでしょう。その意味で、そのような奇跡的な土地に本社を構えるわが社のミッションとは、死者の存在を生者に決して忘れさせないお手伝いをすることだと、わたしは確信しています。


犠牲者の御冥福を祈って黙祷しました

心からの祈りを捧げました



今日の朝礼では、社員全員による長崎原爆犠牲者への黙祷を捧げました。
小倉の人々は、原爆で亡くなられた長崎の方々を忘れてはなりません。
いつも長崎の犠牲者の「死者のまなざし」を感じて生きる義務があります。
しかし、悲しいことにその事実を知らない小倉の人々も多く存在します。
そこで長崎原爆記念日にあわせて、わが社では毎年、「昭和20年8月9日 小倉に落ちるはずだった原爆。」というキャッチコピーで「朝日」「毎日」「読売」「西日本」の各紙に広告を掲載しています。ようやく北九州でも歴史上の事実が知れ渡ってきました。


「朝日」「毎日」「読売」「西日本」新聞8月9日朝刊広告



新聞広告には満月のイラストをバックに「鎮魂」と大きく書かれ、「昭和20年8月9日−−小倉に落ちるはずだった原爆。」と続きます。そして「平和への願いを込めて、長崎に祈りを」として、次のように書いています。
「それは72年前のこと。昭和20年8月9日、長崎に第2の原子爆弾が投下されました。広島に人類最初の爆弾が落とされた3日後のことです。
長崎型原爆・ファットマンは8月6日にテニアン島で組み立てられました。
そして、8月8日にアメリカ陸軍在グアム第20航空軍司令部野戦命令17号において、小倉を第1目標に、長崎を第2目標にして、8月9日に投下する指令がなされました。8月9日に、ソ連が日本に宣戦布告。この日の小倉上空は前日の八幡爆撃による煙やモヤがたち込めていたため投下を断念。第2目標であった長崎に、同日の午前11時2分、原爆が投下されました。小倉の軍需工場が爆弾投下の第1目標であったことを、皆さんはご存知でしたか。長崎ではこの原爆によって74000人もの尊い生命が奪われ75000人にも及ぶ人々が傷つき、現在でも多くの被爆者の方々が苦しんでいます。もし、この原爆が小倉に投下されていたら、あなたの家族や知りあいの方々が命を失い、あるいは大きな痛手を受けたことでしょう。もしかすると、この文章を読んでいるあなたは、この世に存在していなかったかもしれません。絶対に戦争の悲惨さを風化させないためにも、私共は原爆の犠牲になられた方々へのご冥福を祈るとともに、恒久平和への祈りを捧げていきたいと思います。
古来、世界各地で月はあの世に見立てられていました。夜空に浮ぶ月を見上げて手を合わせ、亡くなられた方々を想ってみてはいかがでしょうか。
私たちは、『人間の尊厳』を見つめながら、全国各地で真心を込めて、鎮魂と慰 霊のお手伝いをさせていただきたいと願っております。
株式会社サンレー代表取締役社長 佐久間庸和


また、『般若心経 自由訳』(現代書林)のプレゼント告知も行いました。
さらには、10月4(水)18時からサンレーグランドホテルで行われる「月への送魂」のセレモニーの案内をさせていただきました。ぜひ、今年も多くの方々にご参集いただき、月を見上げてなつかしい故人を偲んでほしいと思います。死者を忘れて、生者の幸福など絶対にありません。


般若心経 自由訳

般若心経 自由訳

新聞広告にも掲載されているように、このたび、わたしは『般若心経 自由訳』(現代書林)を上梓しました。自由訳してみて、わたしは日本で最も有名なお経である『般若心経』がグリーフケアの書であることを発見しました。
このお経は、死の「おそれ」も死別の「かなしみ」も軽くする大いなる言霊を秘めています。葬儀後の「愛する人を亡くした」方々をはじめ、1人でも多くの方々に同書をお読みいただき、「永遠」の秘密を知っていただきたいと願っています。最後に、長崎の原爆で亡くなられた方々の御冥福を心よりお祈りいたします。合掌



2017年8月9日 一条真也