再び、タイ感動CM

一条真也です。
以前、ブログ「タイ感動CM」において、タイで放映され、YouTubeを通じて世界中に感動を与えているCM作品を紹介しました。当ブログにも多くのアクセスがありました。いま、感動CMの先進国はタイなのです。
YouTubeからのおススメにより、新たな「タイ感動CM」を観ました。


最初は、「お人良し」といってもよいほどの善意に満ちた青年の物語です。学校に行くためのお金を必要としている物乞いの少女に、彼はなけなしの金を施します。ある日、彼は感動的な光景を目にするのでした。


次は、路上でギター演奏する高校生の物語です。
彼には、ガン治療中の母親がいました。少しでも母の治療費を得るために、放課後の彼は下手くそなギターでのパフォーマンスを繰り返すのでした。
そんな彼の姿を見つけた音楽部の同級生は・・・・・・。


最後は、商店街などに設置されている監視カメラのCMです。
夜間、ある商店の前で寝ている1人のホームレスがいました。
店先に汚い男がいては商売の邪魔になると、店主は水をぶっかけたり、モップでつついたりの嫌がらせをして、彼を追い払います。ある日、ホームレスの姿が見えなくなりました。気になった店主は監視カメラを見直しますが、いつしか号泣してしまいます。監視カメラは「神の視線」でした。



いかがでしたか? わたしは、ものすごく感動しました。
まず、映像やシナリオのクオリティの高さに驚かされます。
日本ではちょっと考えられないストーリー設定もありますが、こんな完成度の高いCMを作れるということは、タイの映像産業はかなりのレベルにあると思われます。いずれ、タイ映画が世界を席捲する日も近いでしょう。


ハートフル・ソサエティ

ハートフル・ソサエティ

3本ともシチュエーションは異なりますが、いずれも「善意は必ず理解される」「人間は捨てたものじゃない」「世界はそれほど悪くない」といったハートフル・メッセージを強く感じます。かつて、わたしが『ハートフル・ソサエティ』(三五館)で描いた「心の社会」が見事に表現されています。
タイのCMがわたしたちの心の最も深い部分に訴えかけてくるのは、おそらくタイが上座仏教の国であることが大きな理由だと思います。


慈経 自由訳

慈経 自由訳

慈経 自由訳』(三五館)にも説かれているように、タイやミャンマーに伝わる上座仏教では何よりも「慈」の心を重んじます。「慈」は、人間のみならず、あらゆる生きとし生けるものへと注がれます。生命のつながりを洞察したブッダは、人間が浄らかな高い心を得るために、すべての生命の安楽を念じる「慈しみ」の心を最重視しました。そして、すべての人にある「慈しみ」の心を育てるために「慈経」のメッセージを残しました。そこには、「すべての生きとし生けるものは、すこやかであり、危険がなく、心安らかに幸せでありますように」と念じるブッダの願いが満ちています。


慈を求めて

慈を求めて

ここで最初に紹介したCMには、人間から犬への「慈しみ」も描かれています。わたしも、『慈を求めて』(三五館)で、わが愛犬の死の話題から、あらゆる生命への「慈しみ」を語りました。上座仏教の「慈」の心は、アジアを代表する最高級ホテルである「マンダリン・オリエンタル・バンコク」をはじめ、至上のホスピタリティを発揮しています。もうすぐ、わたしはインドネシアのバリ島に行くのですが、タイにも行きたくなりました。


*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2015年11月7日 一条真也