「もののあはれ」と日本の美

一条真也です。
東京に来ています。
23日はいくつかの打ち合わせの後、夕方から久々に六本木にある「東京ミッドタウン」を訪れました。ここにある「サントリー美術館」で開催されている展覧会『「もののあはれ」と日本の美』を観賞するためです。


東京ミッドタウン」を訪れました

長女から贈られたネクタイを締めて



東京に住んでいる長女も時間が空いているというので呼び、現地で待ち合わせしました。ブログ「シュガーマン 奇跡に愛された男」で紹介した感動ドキュメンタリー映画で、歌手のロドリゲスがどんなに貧しくとも娘たちを美術館やコンサートホールなどに連れていき、一流のものに触れさせることを怠らなかったということを知って感銘を受けたからです。
ブログ「50回目の誕生日」で紹介したように、長女が誕生日プレゼントとして紫色のネクタイをくれましたので、それを着けていきました。長女は結婚記念日のお祝いとして、自分で焼いたクッキーを持ってきてくれました。


「もののあはれ」と日本の美』の会場前で



公式HPによれば、この展覧会の趣旨が次のように説明されています。
「『花鳥風月』という言葉は、現代を生きる私たちにも雅な響きをもって耳に届きます。春の桜、季節の訪れを告げる鳥たち、秋の夜空に輝く月は、美しい日本の四季や自然を代表する風物として絵画や工芸の題材となりました。この展覧会は、古来、親しまれてきた『雪月花』や『花鳥風月』にあわせて『もののあはれ』という言葉をとくに採り上げ、その歴史を辿るとともに、誰もが心癒されるであろう抒情性あふれる日本美の世界へご案内します」
このテーマは、ブログ「花鳥のしらべ」で紹介した出光美術館の展覧会にも通じる世界がありました。日本人であることに感謝したい気分になります。


日本の美を堪能しました



「もののあはれ」と日本の美』は、以下の8つの章で構成されています。
第一章 「もののあはれ」の源流  貴族の生活と雅びの心
第二章 「もののあはれ」という言葉 本居宣長を中心に
第三章 古典にみる「もののあはれ」 『源氏物語』をめぐって
第四章 和歌の伝統と「もののあはれ」 歌仙たちの世界
第五章 「もののあはれ」と月光の表現 新月から有明の月まで
第六章 「もののあはれ」と花鳥風月 移り変わる日本の四季
第七章 秋草にみる「もののあはれ」 抒情のリズムと調和の美
第八章 暮らしの中の「もののあはれ」 近世から近現代へ



この展覧会では、本居宣長の世界観が詳しく紹介されており、宣長をこよなく敬愛するわたしにとって非常に興味深い内容でした。
また、和歌という文化が「もののあはれ」、ひいては日本文化の核心に関わっているという指摘も、へっぽこ歌人であるわたしの心に響きました。
そして、日本人の美意識にいかに月が大きな影響を与えているかも示されていて、月狂いのわたしは大満足しました。



じつは、この展覧会の存在は、「ベスト50レビュアー」こと不識庵さんのブログの「そうだ サントリー美術館、行こう(“「もののあはれ」と日本の美”)」という記事で知りました。その記事には、次のように書かれています。
「興味深く鑑賞したのが、“第五章「もののあはれ」と月光の表現 新月から有明の月まで”です。展示された作品もさることながら、なんと「月の満ち欠け」を説明する大型ディスプレイが展示されていました。これには、いたく感動しました。さらに、会場出口には「一条真也のハートフルムーン」よろしく、「今宵の月」がスクリーンに映し出されていました。このこだわり…たまりませぬ。会場内は撮影禁止なので画像でご覧いただけないのが残念!(泣)
わたしもそれらの演出をしっかり見ました。オー、ルナティック!
やはり、わたしのような月狂いにはたまらない趣向ですね。


戦利品の数々を見よ!

満月をモチーフとした漆器

御伽草子』のサクマドロップス



出口のすぐ近くにある売店では、満月をモチーフにした皿、猪口(ともに自然木に漆を塗ったスグレモノ)、「知恵の板」、『御伽草子』のオリジナル・サクマドロップス、ポストカードセット、それに図録の『「もののあはれ」と日本の美』、『本居宣長の不思議』などを求めました。うーん、これはもう、たまらぬものなり・・・。最近は特に多忙な日々ですが、「サントリー美術館」で日本の美を堪能し、心の洗濯ができたような気がします。
いやあ、美術館ってやっぱりイイですね!



*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2013年5月24日 一条真也