美しい老人になりたい

一条真也です。9月18日は「敬老の日」。
わたしは妻と一緒に実家を訪れました。もうすぐ米寿を迎える87歳の父と85歳の母にお祝いを渡したところ、とても喜んでくれました。「長生きしてね」と言いながら、わたしは2人としっかり握手をしてから帰りました。

ヤフーニュースより

 

ヤフーニュースで「世界最高齢100歳のビューティーアドバイザー、入院中も新規顧客獲得・・・生きている限り続ける」という読売新聞オンラインの配信記事を見つけました。福島市の堀野智子さん(100)は、化粧品大手「POLA」(東京都)に委託された化粧品販売員として活躍を続け、今年8月には「世界最高齢の女性ビューティーアドバイザー」としてギネス世界記録にも認定されたそうです。堀野さんは「生きている限り仕事を続けたい」と意欲を見せているとか。本当に素晴らしいことです!

老福論〜人は老いるほど豊かになる(成甲書房)

 

拙著『老福論〜人は老いるほど豊かになる』(成甲書房)にも書きましたが、わたしは、人生には美が必要であると思います。美のない人生には、潤いがありません。そして、人生に潤いを与える魔法として、形容詞というものがあります。「わたしは生きる」という名詞と動詞だけの文章と、「わたしは美しく生きる」のように「美しい」という形容詞を加えた文章との間には、大きな潤いの差があります。まさに、言葉の魔法、言葉の錬金術です。わたしたちの社会は、形容詞を必要としています。心ゆたかな社会とは、形容詞社会でもあるのです。名詞と動詞のみでできているものには、潤いが感じられません。

心ゆたかな社会(現代書林)

 

20世紀に大きく発展した日本の工業化社会は、モノの所有とその使用の時代であり、モノとしての名詞とそれを動かす動詞の時代でした。しかし、21世の社会は、人生に潤いを与える形容詞、さらには感動詞をその体内に取り込んでいかなければなりません。「美しい」「豊かな」「平和な」「楽しい」、そして「幸福な」といった形容詞で、今日さまざまな分野がデザインされています。当然ながら、老いについても「美しい老い」「豊かな老い」「平和な老い」「楽しい老い」「幸福な老い」というものがデザインされる必要があります。今こそ、「わたしは老いる」から「わたしは美しく老いる」へのデザインが必要です!

年長者の作法主婦と生活社

 

さらに「老いと美」について考えると、堀野さんが世界最高齢の女性ビューティーアドバイザーとして多くの方々を美しくすることは本当に素敵だと思います。ただ、美には外見の美だけでなく、内面の美もあります。トシを取ると頑固になり、わがままになって、他人に傍若無人なふるまいをする老人も目立ちます。そういった人は「老害」と呼ばれるのがオチです。わたしも今年で還暦を迎えて老人の仲間入りをしましたが、内面の美しさを追求して、他人に優しい老人になりたいと願っています。そんな想いから『年長者の作法』(主婦と生活社)を執筆。「敬老の日」の今日、「まえがき」を書き上げて校了しました。10月13日に発売予定です。どうぞ、お楽しみに!

 

 

 

2023年9月18日  一条真也