一条真也です。
金沢に来ています。ブログ「青木新門さんのお墓参り」で紹介した墓参を終えた後、故人のご長男である青木新太郎さんの提案で新門さんの書庵に案内していただきました。富山在住の作家として知られた故人の一戸建ての書斎ですが、晩年はここに住んでおられたそうです。
青木新門氏の書庵「延寿杯」
ご長男の青木新太郎さんと
書庵はご自宅の隣接地に建てられており、「延寿杯」と書かれた看板がかかっていました。表札には「新門」とあります。わたしは、数々の名作を書かれた作家の製作工房を拝見できることに胸が高まりました。
手前には囲炉裏、奥には書棚
本木雅弘さんも訪れました
中に入ると、茶室のような風情のある造りになっています。小ぶりの日本庭園もありました。室内に足を踏み入れると、手前に囲炉裏が奥に書棚が見えます。囲炉裏は ブログ「おくりびと」で紹介した映画に主演した俳優の本木雅弘さんが座っている写真を見たことがあります。本木さんはまさにこの場所で ブログ『納棺夫日記』で紹介した名著の映画化を新門さんに直訴したのでした。
故人の書棚の前で正座する
『ハートフル・ソサエティ』を発見!
『唯葬論』を発見!
『永遠葬』を発見!
書棚には、さまざまな本が並んでいましたが、やはり「死」や「仏教」に関わる本が多かったです。拙著『ハートフル・ソサエティ』『唯葬論』(以上、三五館)、『永遠葬』『死を乗り越える読書ガイド』、『死を乗り越える映画ガイド』(以上、現代書林)、『人生の四季を愛でる』(毎日新聞出版)もありました。しかも、わたしの本にはいずれもたくさんの付箋が貼られ、書き込みもありました。わたしが感動したのは言うまでもありません。
仏間のような小部屋がありました
拙著が2冊置かれていました
また、書棚がある部屋の隣には仏間のような小部屋がありました。生前の新門さんは仏壇には否定的だったそうで、「仏壇などなくとも心の中で故人を思い出せばよい」と言われていたと新太郎さんにお聴きしました。その部屋の飾り棚には故人の遺影や著書や思い出の品々などが飾られていましたが、先程墓前に捧げたばかりの2冊の拙著が置かれていました。1冊は故人に捧げた『葬式不滅』(オリーブの木)、もう1冊は故人との思い出を記した『供養には意味がある』(産経新聞出版)です。新門さんの遺影の下にその2冊が置かれている姿を見て、また感動しました。
青木新太郎さんと語り合う
青木新門さんの偉大さを語りました
その後、新太郎さんがお茶のペットボトルを出して下さったので、それを飲みながら語り合いました。わたしは、今日のお墓参りと書斎訪問がどれだけ嬉しかったかを訴えました。また、新門さんの『納棺夫日記』や映画「おくりびと」がいかに葬祭業界で働く人々に勇気と誇りを与えたかを語りました。今度、拙著『愛する人を亡くした人へ』を原案とした映画が製作されるので、ぜひ「おくりびと」のような影響力のある作品になってほしいということもお話しました。新太郎さんは、穏やかな笑みを浮かべながら、わたしの話を聴いて下さいました。そして、「そこまで父のことを想っていただき、ありがとうございます」とも言って下さいました。仏像のようなコンパッション・スマイルを浮かべた新太郎に高い人間性を感じました。数多くの名作を残された新門さんですが、もしかしたら最高傑作は青木新太郎その人ではないかとさえ思いました。
ありがとうございました!
囲炉裏の上には、「ありがとう」と新門さんが直筆で書かれた大きな看板のようなものが掲げられていました。それを見上げながら、わたしは改めて合掌し、「新門さん、ありがとうございます」と心からの感謝の言葉を述べました。このたびの心に残るお墓参りと書斎訪問を実現して下さいました青木新太郎さんにも心より感謝申し上げます。
2023年7月12日 一条真也拝