坂本龍一さん、旅立つ!

一条真也です。
2014年に中咽頭がん、21年に直腸がんを公表し、闘病していた坂本龍一さんが3月28日に亡くなられました。71歳でした。巨匠の死去について、ロイター通信や英BBC放送などの海外メディアも相次いで報じました。


ヤフーニュースより

 

坂本龍一さんは、世界的に活動した日本人ミュージシャンです。その音楽性は幅広く、クラシック音楽が根幹にあるものの、民俗音楽、ポピュラー音楽にも造詣が深いことで知られました。愛称は「教授」。晩年は環境や憲法に関する運動にも積極的に参加していました。河出書房の名編集者であった坂本一亀の長男として、1952年に東京に生まれました。子どもの頃からピアノと作曲を学び、東京芸術大に入学、大学院時代からスタジオミュージシャンとしての活動を始めました。


1978年、細野晴臣さん、高橋幸宏さんと「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」を結成、自身は教授の愛称で親しまれました。シンセサイザーやコンピューターを駆使した革新的な音楽世界を構築し、「テクノポリス」や「ライディーン」「君に、胸キュン。」などを世に問うて人気を博した。グループは83年に「散開」(解散)しましたが、93年に「再生」(再結成)するなど、折に触れて共演しました。



YMOの活動の傍ら、故忌野清志郎さんとシングル「い・け・な・いルージュマジック」を発表し、資生堂、同年春のキャンペーンテーマ曲に使用され大ヒットしました。プロモーションビデオでは派手な化粧姿で歌う坂本さんと忌野さんが熱烈にキスして話題となりましたね。ちなみに、坂本さんの死去が明らかになった4月2日は、2009年5月に58歳で亡くなった忌野清志郎さんの誕生日(1951年生まれ)でもありました。


じつは、わたしは数日前に坂本さんのことを考えていました。ブログ「デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム」で紹介した映画を観たのですが、そのレビュー・ブログの最後に、デヴィッド・ボウイと坂本さんが共演した大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」(1983年)で2人がキスするシーンについて言及したのです。ヨノイ大尉(坂本龍一)とジャック・セリアズ陸軍少佐(デヴィッド・ボウイ)のキスシーンの衝撃は、鑑賞から40年経った今も忘れられません。この映画の主題曲も坂本さんが作曲し、英国アカデミー賞の作曲賞を受賞しました。



坂本さんが甘粕正彦役を務めたベルナルド・ベルトルッチ監督の映画「ラストエンペラー」(1987年)の音楽にも携わり、米国アカデミー賞作曲賞を獲得。以来、映画音楽の作曲家としての名声が高まり、拠点をニューヨークに置きながら、「リトル・ブッダ」や「鉄道員(ぽっぽや)」の映画音楽も担当。ブログ「レヴェナント:蘇えりし者」ブログ「MINAMATA―ミナマタ―」で紹介した作品の映画音楽も印象深かったです。

 

また、ブログ「母と暮せば」で紹介した日本映画の音楽では毎日映画コンクール音楽賞を受賞。バルセロナ・オリンピック(1992年)の開会式の曲も制作しています。日本が生んだ偉大な世界的音楽家坂本龍一さんの旅立ちにあたって、心より御冥福をお祈りいたします。合掌。

 

2023年4月3日 一条真也