『アウターQ』

アウターQ 弱小Webマガジンの事件簿

 

一条真也です。
『アウターQ』澤村伊智著(祥伝社)を読みました。
「弱小Webマガジンの事件簿」がサブタイトルです。


本書の帯

 

本書の表紙カバーには、夜の公園にいる2人の人物が描かれており、帯には「駆け出しの貧乏ライター湾沢陸男―この男の行くところに、奇っ怪な事件あり」「癖の強すぎるスタッフが集うウェブマガジン『アウターQ』。エンタメサイトのはずなのに引き寄せてしまう、ホンモノを・・・・・・。ホラー界の俊英が描く、あなたのヨミを必ず裏切る新感覚ミステリー!」と書かれています。


本書の帯の裏

 

帯の裏には、「『笑う露死獣』――かつて子供たちを震え上がらせた“パンダ公園"の落書き「露死獣の呪文」。湾沢は十五年ぶりに解読を試み調査するが・・・・・・。『歌うハンバーガー』――摂食障害を患ったフードライターが起死回生をかけてグルメルポに挑戦。ちょっと変わったバーガーショップを見つけて・・・・・・。『飛ぶストーカーと叫ぶアイドル』――熱狂的なファンに襲われ、大怪我を負ったアイドルが地下で復活。白熱したライブ中、ある男がクラウドサーフィングをしながらステージに近づいていき・・・・・・。――ほか、7編を収録。すべての記事が繋がるその瞬間、突き落とされる世界とは。本当に怖いものって何ですか?」



本書には、「笑う露死獣」「歌うハンバーガー」「飛ぶストーカーと叫ぶアイドル」「目覚める死者たち」「見つめるユリエさん」「映える天国屋敷」「涙する地獄屋敷」の7編の短編小説が収められていて、どれもなかなか面白いです。いずれも単なるミステリというよりは奇妙な味の小説といった感じです。わたしが一番気に入ったのは最初の「露死獣の呪文」でした。暗号解読ミステリなのですが、オチの意外性が良かったです。ただ、わたしは著者を当代一の短編の名手だと思っていますが、ブログ『怖ガラセ屋サン』ブログ『怪談小説という名の小説怪談』で紹介した名作短編集に比べると、物足りなかったですね。

 

 

2023年3月29日 一条真也