炎上動画に思う

一条真也です。
姫路に来ています。昨夜は業界の大先輩の通夜式に参列しました。本日20日は告別式に参列してから、小倉に戻ります。今朝、ヤフーニュースで信じられない記事を目にしました。「『終電ギリギリで走ってる人を阻止してみた』BreakingDown出場者企画に批判殺到も・・・本人は反省ゼロ」と言う記事です。

ヤフーニュースより

 

格闘技イベント「BreakingDown6」に出場した2人組Tiktoker「双子のケン&ヨシ」が投稿した動画が物議を醸しているという記事です。彼らのTikTokのプロフィール欄には「街の人に突然イタズラする双子です」との表記がある通り、ドッキリ企画などで知られているとか。問題視されているのは、2人が2023年1月17日に投稿した「終電ギリギリで走ってる人たちを危ないから双子で阻止してみた」とする動画です。動画は3本投稿されており、夜の渋谷駅に駆け足で向かう人々に2人が両手を広げて向かい、阻止するという内容でした。


言語道断の内容ですが、ヤフーニュースのコメント欄も荒れています。多くの批判の中で、yotさんという方の「この人達のことは全く存じ上げませんが、ぜひ尋ねてみたいことがあります。もし自分の奥さんが急に産気づいてどうしても終電に乗らないと間に合わない、という時に同じことをされたらどう思いますか? もし自分の大切な人が事故に遭い、今すぐ駆けつけてあげたくて、この終電を逃したらもう二度と話が出来なくなるかもしれない、という時に同じことをされたらどう思いますか? 物理的な危険はもちろん、周りの状況や心情等も想像できないような人達を応援する気なんて一切起こりません。わけわからんインフルエンサーとかいうのが増えて困る」という意見で、最も支持を集めています。素晴らしいコメントです。わたしも、この方の意見に全面的に賛成です。


わたしは基本的に、YouTuberとかTikTokerの類が嫌いです。特に「炎上系」と称する連中は、自分の動画の再生数をあげるためには迷惑行為でも何でもしてしまう考え方が危険ですね。このようなアンモラルな動画をアップしても再生数が伸びると、より大きな迷惑行為や暴力行為などにエスカレートしていきそうです。おそらく最終的に問題が大きくなると「仕込みでした」などと言って逃げを打つのでしょうが、こういった迷惑行為は徹底的に取り締まる必要があります。そもそも、このような炎上動画を上げて稼げるシステムそのものがおかしい。これでは、オレオレ詐欺でも食えなくなった反社の連中が必ず参入してきます。いや、もう参入していると思います。


そもそも、YouTubeやTikTokで食える社会というのが、わたしはどうしても気に入りません。出版とか映画とか演劇とか音楽とか、きちんとした文化事業に関わっている人々が思うような収入を得られずに苦しんでいるのに、安易な炎上動画で金を稼げる社会というのはおかしいと思います。有名になりたければ、素晴らしい本を書くとか、演技をするとか、歌をうたうとか、もしくは自分の主義主張を述べるとか、そういった正々堂々とした方法で世に出るべきです。もちろん、SNS自体には良い側面もあります。特に、ブログ「コンパッション報道」で紹介した「振り袖墨汁事件」での善意の行為が拡散されたのは、SNSの使われ方を大いに見直しました。そのような善意の拡散と、今回の炎上動画は、SNSの使い方において真逆だと思います。わたしもブログは続けていますが、もとよりアクセス数などは求めていないので、長々と自分の主義主張を述べています。「日本一長い文章を書くブロガー」などと呼ばれることもありますが、上等です!


また、この双子TokTokerが参戦したBreakingDownが無法地帯と化していることも良くないです。もともと、少年院とか刑務所の出身者が大量に登場する格闘技イベントなわけですが、とにかく最近のカオスぶりは異常です。ブログ「朝倉未来襲撃に思う」にも書きましたが、「このままでは、オーディションでいつか殺人事件が起こるぞ」とか、「もはや格闘技ではなく、プロレスだ!」などとの声が上がっています。しかし、笑止千万。運営はすべてわかっていて、底辺YouTuberをオーディションにかき集めているのです。彼らにはギャラも支払わなくて済みますし、そのくせ動画再生数は稼げるということで、運営側にとってこれほど旨い話はありません。スペシャルアドバイザーの朝倉選手も含めて、「商売がうまい」「頭がいい」ということなのでしょうが、わたしは「えげつないなあ」と思ってしまいます。


だいたい、商売がうまいどころか、BreakingDownは商売のルールを守っていません。BreakingDownは、いま、前田日明が創設した格闘技イベント「The Outsider」出身の選手たちを利用して商売しています。「アウトサイダーvsブレイキングダウン」の対抗戦なども堂々と謳っていますが、なんと前田に1銭もフィーを払っていないどころか、アウトサイダー名称使用の許可も取っていないそうです。これは、いくらなんでも筋が違うでしょう。今では人気者になった朝倉未来だって、もともとは少年院出身でした。その彼が世に出たのは、前田が創設したアウトサイダーのおかげです。不良少年の更生というアウトサイダーの理念を最も体現している者こそ、朝倉未来なのです。どうか、彼には金儲けだけに走らず、前田日明やその師であるアントニオ猪木のような高い志を持っていただきたいですね!


2023年1月20日 一条真也