死を乗り越えるナイチンゲールの言葉

 

看護を行う私たちは、人間とは何か、
人はいかに生きるかを
いつも問いただし、

研鑽を積んでいく必要がある。
ナイチンゲール

 

一条真也です。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。
今回の名言は、イギリスの看護婦、社会起業家統計学者、看護教育学者であったフローレンス・ナイチンゲール(1820年~1910年)の言葉です。「看護教育の母」と呼ばれた彼女は、病院建築でも非凡な才能を発揮しました。クリミア戦争での負傷兵たちへの献身や統計に基づく医療衛生改革で有名です。彼女の誕生日である5月12日は、「国際看護師の日」となっています。



テレビドラマで描かれる人気のジャンルが3つあるといいます。犯罪モノ、裁判モノ、そして医療モノです。犯罪、裁判、医療というシチュエーションには、人間の本質が出やすいということでしょうか。ナイチンゲールのこの言葉に触れるとき、医療という仕事の重さを感じずにはいられません。子どもの頃に読んだ彼女の伝記物語、クリミア戦争での彼女の献身的な活動に涙したことを思い出します。



看護学生が病棟実習に出る前に看護師としての意識を高めるため、ナースキャップをかぶる「戴帽式」というセレモニーがかつてはありました。ナイチンゲール像からろうそくの火をもらい、「ナイチンゲール誓詞」を刻む大切な儀式でした。今はナースキャップが廃止されてしまい、この式もなくなりつつあると聞きます。残念です。看護師の理想像こそ、ナイチンゲールのその人なのです。



わが社がお手伝いをさせていただく葬儀の仕事も、死別というもっとも辛い別れの中にあります。このナインチンゲールの言葉の中の「看護」というフレーズを「葬儀」というフレーズに置き換えたとき、身が引き締まる思いがします。なお、このナイチンゲールの言葉は『死を乗り越える名言ガイド』(現代書林)に掲載されています。

 

 

2022年12月13日 一条真也